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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【変形労働時間制】マクドナルドに「無効」の判決⁉︎

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仕事の繁忙期や閑散期に合わせて労働時間のシフトを柔軟に調整するための制度として、「変形労働時間制」というものがあります。

 

 

ただし、法律上の要件がそれなりに厳しく、要件を満たさないと「無効」とされてしまいますので、注意が必要です。

 

 

 

 

<毎日更新573日目>

「変形労働時間制」とは?

先月のことになりますが、名古屋地方裁判所で、マクドナルドが導入していた社員の「変形労働時間制」を「無効」とする判決が出されました。

 

 

「変形労働時間制」というのは、1日及び1週間の労働時間の法的規制にかかわらず、一定の要件のもとにこれを超えて社員を働かせることができる制度のことを言います。

 

 

そもそも、社員の労働時間は、労働基準法という法律で、

原則として1日8時間、1週間で40時間を超えてはならない 

という規制があります。

 

 

ただ、業種によっては繁忙期などがあり、この時期はかなり忙しいけれど、それ以外の時期は比較的ヒマがある場合などがあります。

 

 

「変形労働時間制」は、そうした場合に、労働時間を1日単位ではなく、月または年単位で計算することができる、という制度です。

 

 

たとえば、労働時間を1日8時間、1週間で40時間という枠でしばられず、28日(4週間)で法定労働時間を160時間として、その範囲内で柔軟にシフトを組むことができます。

 

 

ある日は忙しいので1日の労働時間を10時間として、別の日はヒマなので6時間とする、などとすることができる、というわけです。

 

 

ただ、この「変形労働時間制」を導入するためには、次の要件を満たさなければなりません。

 

 

すなわち、

① 対象となる労働者の範囲
② 対象となる期間の起算日
③ 労働日(勤務日)及び労働日(勤務日)ごとの労働時間
④ 労使協定の有効期間 

をあらかじめ労使協定または就業規則などに定める必要があります。

 

 

②の対象期間と起算日というのは、たとえば

 毎月1日を起算日とし、1ヶ月を平均して1週間あたり40時間とする

といった定め方をします。

また、③労働日(勤務日)ごとの所定労働時間は、

その月の1日から24日は午前9時始業、午後5時終業
25日から月末までは午前8時始業、午7時終業

などと決めることになります。

 

なお、「変形労働時間制」は、1ヶ月単位または1年単位で導入することができます。

 

 

1年単位の変形労働時間制は、対象期間を1ヶ月を超えて1年以内とします。

 

 

その上で、「変形労働時間制」を際ようする場合でも、対象期間で平均して1週あたりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、1日10時間、1週52時間以内とする必要があります。

 

 

なので、ある日は1日20時間働かせて、別の日は1日2時間とする、みたいなやり方はできません。

 

 

さらに、連続勤務の場合も、連続勤務日数を6日以内として、勤務日ごとに労働時間を特定する必要があります。

 

 

マックの「変形労働時間制」はなぜ無効に?

上記のとおり、「変形労働時間制」が法律上有効となるためには、いくつかの要件があり、しかも

 あらかじめ労使協定または就業規則で定めておく

という必要があります。

 

 

この点、冒頭のマクドナルドの裁判例では、1ヶ月単位で勤務シフトが変わる変形労働時間制を採用していて、店舗ごとにシフトが異なっていたそうです。

 

 

しかし、それらすべてのシフトが就業規則には定められていなかったそうです。

 

 

マクドナルド側は、全店舗864店舗に共通するシフトを設定することは不可能であると反論したようです。

 

 

しかし、上記の名古屋地裁の判決は、あらかじめ就業規則にすべてのシフトが定められていなかった、ということで、

マクドナルドが導入していた変形労働時間制は無効である

と判断しました。

 

 

変形労働時間制が無効だとされてしまうと、原則に戻って、1日8時間、1週間で40時間を超えると、いわゆる残業扱いとなり、超えた部分は割増賃金を支払わなければならなくなってしまいます。

 

 

このように、「変形労働時間制」の制度は、繁忙期に合わせて柔軟にシフトが組めるというメリットはあるものの、法的な要件はそれなりに厳しく、要件を満たさないと無効とされてしまうリスクがあります。

 

 

したがって、「変形労働時間制」を導入するにあたっては、事前にしっかりとしたリーガルチェックを行なっておく必要がありますね。

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 「変形労働時間制」は、あらかじめ就業規則等で定めておかないと無効とされてしまう!

ということです。

 

 

今回のマクドナルドの判決の教訓として、このことは頭に入れておいた方がよいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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昨日は、午前中は自宅で仕事。
午後は家族で地元の荏原町の商店街に出かけるなど、のんびり過ごしました。

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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