
世の中には
変えてはいけないものと
時代や環境の変化に合わせて
変えるべきものがあります。
永く生き残る企業というのは
過去の「成功体験」を捨てるという
苦渋の決断をどこかでしているものです。
(今日の「棒人間」 過去を振り返る人?)
<毎日更新1481日目>
先日
とある講演会に参加してきました。
あのApple社にも卸しているという
椅子のヒット作品「HIROSHOMA」などを
制作している広島県の
家具メーカー「マル二木工」
そこの山中洋社長の講演会でした。
マル二木工は
「工芸の工業化」を理念に
戦後の高度成長期の波に乗り
順調に売上を伸ばしてきました。
特に
1960年代から
重厚感のあるヨーロッパ調の
クラシック家具がヒットし
1980年代には会社の売上は
300億円まで伸びて行きました。
ところが
1991年
バブル崩壊を堺に会社の売上は
右肩下がりで下降し始めます。
折から
海外の格安家具との競争
家具の流行の変化などの
市場環境の悪化の煽りを受け
売上は悪化の一途をたどります。
そして
2002年頃には
会社の売上がかつてのピーク時の
10分の1以下である25億円程度
にまで落ち込みます。
会社がそんな「最悪」な状況のときに
マル二木工の創業家に生まれた
山中さんがマル二に入社します。
当時のマル二は
事業の立て直しの中
まさに暗中模索の状態。
過去に成功したクラシック
家具生産から抜けられず
他社の家具の模倣をしてもうまくいかず
まさに「どうして良いかわからない」
状況でした。
ピーク時には1200人いた従業員も
大規模リストラで300人ほどに縮小。
誰がどう見ても
マル二木工には未来はなく
まさに「倒産」の危機に瀕した状態でした。
時代遅れのアンティーク家具に
固執していた当時のマル二木工。
山中さんは
会社で作っている家具が
自分で欲しいとは思えず
と思ったそうです。
山中さんは
自分の考えに賛同してくれる
若手社員とともに
新しい家具の生産を
計画します。
そのとき山中さんが考えたのは
「工芸の工業化」という
マル二の原点に立ち返りつつ
マル二が苦手だったデザイン部分は
思い切って外部の著名な
デザイナーとタッグを組みます。
こうして出来上がったのが
海外から高い評価を受けた椅子の「HIROSHIMA」
(マル二木工公式サイトより)
過去のクラシック家具から一変した
熟練の職人技と優れたデザインの
融合したヒット作となりました。
この「HIROSHIMA」が大ヒットし
あのApple社からも大量発注を受けます。
また
2023年に行われたG7広島サミットでは
各国首脳が座る椅子にも選ばれ
日本を代表する高級家具ブランド
としての地位を確率しました。
実は
過去にクラシック家具で
成功したマル二木工の社内では
このクラシック家具を捨てることに
特に古参社員を中心に
強い反対がありました。
しかし
山中さんは
「自分は間違っていない」という感覚を頼りに
思い切って過去の「成功体験」を捨て
新らしい時代のマル二の家具の
創出に心血を注いだのです。
ところで
私は「倫理法人会」という
ところで学んでいますが
倫理の世界では
「易不易(えきふえき)の原理」
というものがあります。
それは
「易」すなわち変えるべものと
「不易」変えてはいけないものを
きちんと判断できることの重要性です。
永く生き残る企業というのは
実にこの「易不易」の原理を
実践しています。
マル二木工の場合も
まさにそれが当てはまります。
「工芸の工業化」という
会社の理念はしっかりと守りつつ
過去の成功体験であるクラシック家具
に固執しない柔軟さ。
それにしても
毎年売上が右肩下がりで下がっていく。
売上がピーク時の10分の1まで落ちる。
会社がそんな状況下にあって
社内の強硬な反対を押し切り
過去の成功体験を捨てて
新しいタイプの家具作りという
挑戦に果敢に打って出る。
山中社長のメンタルの
強靭さは半端ではありません。
見た目はとても穏やかな感じの方でしたが
内に強い芯と燃えるような情熱を
秘めている方なのでしょうね。
大変に学ぶものの多い講演会でした。
振り返ってみて
自分はちゃんと日々
チャレンジしているか。
反省することしきりでした・・・。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。