
最初に有期雇用契約を結び
その間に社員としての適格性が
あると判断した場合に
その後に正社員として採用する。
このようなお試し期間として
「有期雇用契約」を使うケースが増えています。
この方法を会社が用いる場合の
注意点をまとめてみました。
(今日の「棒人間」 「お試し」期間??)
<毎日更新1492日目>
人の採用とは
つくづく難しいものです。
送られてきた履歴書を見て
採用面接を行う。
しかし
たったそれだけのプロセスで
その人の仕事の適性や人格などを
判断することは至難の業です。
そこで
採用した後に「こんなはずじゃなかった」
というミスマッチが起こることになります。
ところが
いったん正式に採用してしまえば
単に適性がないとか
協調性がないといったような理由で
その社員に辞めてもらうことは極めて難しい。
我が国では
社員の解雇は非常に
厳しいハードルがあるからです。
そこで
すぐに本採用をするのではなく
いったん「試用期間」というものを設けて
その期間に社員の適性や能力などを
判断するという方法があることについて
昨日のブログに書きました。
ところが
この「試用期間」であっても
一応雇用契約は成立しています。
ですから
「試用期間」後に
という本採用拒否は
一種の解雇にあたるのです。
もちろん
解雇のハードルも正社員の
解雇ほど高くはありませんが
それでも一定の制約があります。
すなわち
試用期間後の本採用拒否というものは
会社が自由にできるわけではなく
ある程度の事情がある場合に
限られているのです。
そこで
最近多くの会社でとられている方策の1つに
最初一定期間有期雇用の契約社員として雇い
その後も採用したい社員を無期雇用の
正社員に登用するというものがあります。
たとえば
3ヶ月とか
6ヶ月といった有期雇用の契約社員として採用し
その期間にその社員の能力や
適性などを見極めます。
その結果
本採用は厳しいという場合には
期間の満了でもって有期雇用契約を更新せずに
雇用契約はそこで終了することになります。
逆に
この人はぜひその後もうちで働いてもらいたい
という場合には
期間の満了とともに
無期雇用の正社員として新たに
雇用契約を結ぶということになります。
このように
お試し期間として「有期雇用契約」を使うこと自体は
特に法律で禁止されているということはありません。
ただ
この方法を用いる場合
一定の注意事項があります。
というのは
有期雇用契約で契約を更新しないで雇用契約を
終了させることを「雇止め」と言います。
そして
法律で
この会社が行う雇止めには
一定の制約が課されています。
どのような場合に「雇止め」が
規制されるかというと
労働契約法19条というところで
とされています。
そこで
このお試し期間として
「有期雇用契約」を使う場合は
特に上記の②の点に注意が必要です。
具体的には
有期雇用契約の期間中に
「期間の満了後は正社員として採用される」
などという説明はしないこと。
また
採用の際に
「有期雇用は試用期間的な運用であり
その後原則正社員として採用する」
などという説明をしないこと。
会社側がこういう説明をしていると
やはり社員は期間満了後に正社員として
採用されることを期待してしまいます。
そうなると
違法な雇止めであるとして
雇止めができなくなってしまいます。
そうではなく
採用の段階から
正社員としての適格性を
判断するための有期雇用契約である
ということをはっきり説明
しておくことが大切です。
さらに
こうしたことを雇用契約書や就業規則で
規定しておいた方がよいでしょう。
具体的には
こうしたことを書面化しておくべきです。
今
会社と社員との間の労働トラブルは
非常に増えています。
社員との間のトラブルや
「裁判沙汰」を予防するためには
お試し期間で「有期雇用契約」を用いる場合でも
上記の点には注意が必要です。
冒頭で申し上げたとおり
人の採用は難しいからこそ
トラブルを予防するための
いろいろな工夫が必要ですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。