
製造業などで
下請業者に製造に使用する金型を
長期間保管させていた
というのはよくあるケースです。
これは
下請法で禁止する「不当な経済的利益の提供要請」
にあたるおそれがありますので
注意が必要です。
(今日の「棒人間」 失われた50年??)
<毎日更新1543日目>
失われた50年を返して下さい。
どういうこと?
過去50年分の保管料を請求させていただきます。
ドヒャ!!
公正取引委員会は建材メーカー
である不二サッシの下請法違反を
認定したとの報道がありました。
公取委、不二サッシに下請法違反で勧告…下請け業者に窓サッシ金型を無償保管させる
具体的には
不二サッシが自社製品の
製造に必要な金型を
下請け業者に無償で
保管させていたとのことです。
報道によると
同社は遅くとも2023年12月以降
新たな発注の見通しがないにもかかわらず
窓サッシの部品製造に必要な自社所有の
金型等合計7789個を
下請け業者46社に長期間無償で
保管させていたそうです。
なんと最長で保管が約50年間
続いていた金型もあったというから
驚きです。
公正取引委員会は
不二サッシが下請け業者にこうした
金型を無償で保管させた行為について
下請法が禁じる利益提供要請の
禁止に該当すると認定し
下請け業者側への保管費用の
支払い等を求める勧告を行った
とのことです。
製造業などでは
下請けに製造を委託する際に
製造に使用する金型などを
下請業者に保管させておく
というのはよくあるパターンです。
実際に製造に使われていればよいですが
使われなくなっても長期間金型を保管
させておくようなケースも少なくありません。
金型などの物品を無償で保管させる。
これは
下請業者もそのことを承諾
しているのであれば
本来それは当事者の自由
なはずです。
これを
「契約自由の原則」と言ったりします。
ところが
実際には
会社には
規模の大小などで力の優劣関係が
存在するのが現実です。
そうなると
下請け業社などは
理不尽な要求であっても
元請など親事業者から要求されると
事実上従わざるを得ない立場にあります。
そこで
この契約自由の原則を修正し
下請事業者を保護するために
作られたのが「下請法」という法律です。
そして
下請法では
元請会社や親事業者が
下請会社に対して
自社のために金銭やサービスその他の
「経済上の利益」を不当に提供させることを
禁止しています。
この点
保管料を支払わずに下請業社に
金型を保管させていたということになれば
やはりこの「経済上の利益」
を提供させたことになります。
そこで
親事業者が下請業者に対して
金型を無償で保管させることは
基本的に下請法違反にあたり
許されないということになります。
上記の不二サッシのケースでも
公正取引委員会は
下請事業者に保管費用の支払い等を
求める勧告を行なっています。
それでは
ここで問題となるのが
保管費用といっても
過去どの程度さかのぼって
支払うべきなのでしょうか?
何しろ
上記のとおり
不二サッシのケースでは
長いところで50年も金型を無償保管
させていたというのですから
その保管費用はいったい
どうなってしまうのでしょう?
この点、これまでの
公正取引委員会による金型の
無償保管に関する勧告の事例の中で
そうした不利益行為の認定期間が
2年程度とされることが多いとされています。
そこで
一般的には
過去1年分ないし2年分の保管費用を
支払うことが一つの目安
と言われています。
なお
この下請法は改正され
「中小受託取引適正化法(取適法)」
という名称で2026年1月1日から
施行されることになっています。
「下請法」が変わる!2026年1月施行までに中小企業がすべき準備とは?
施行まであと半年を切っていますので
改正法の内容を踏まえ
早めに準備をされることをお勧めします。
それでは
今日のダジャレを1つ。
金型の無償保管なんてさせてると、公取に「カタ」にはめられる?
それでは
また。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。