
個人事業主と契約をして
仕事を発注していた。
しかし
それが「労働者」と判断
されることがあります。
どんな場合に労働者と判断されるか
どんなリスクがあるかについて
お話ししています。
(今日の「棒人間」 どっちか悩む??)
<毎日更新1562日目>
すみません、もう辞めさせて下さい。
それじゃあ、違約金1000万円ね!
そんな・・・。
大阪市の芸能事務所からアイドルグループ
への加入を持ちかけられた男性。
事務所と3年間の専属
マネイジメント契約を結び
芸能活動を始めました。
しかし
現実には下積みの苦労と
仕事漬けの日々。
週6日は働きづめで
事務所からの固定給は月6〜16万円。
心身ともに疲れ果て
体調を崩した男性は
事務所に脱退を申し出ました。
ところが
この男性が事務所と
交わした契約書には
期間の途中で脱退した場合には
1000万円近い違約金を支払わなければ
ならないとの条項がありました。
事務所側は
この違約金の定めを根拠に
男性に対して違約金を請求する
裁判を起こしました。
裁判では
この男性の働き方が
焦点となりました。
すなわち
この男性は事務所とマネイジメント契約
を結んだ独立事業者なのか
それとも事務所に雇用された
労働者なのかが争われました。
男性側は
仕事上のスケジュールが事務所側に
一方的に決められて自由がなく
毎月の固定給が支払われて
いたことなどから
実態は労働者であると主張しました。
そして
大阪地裁は
この男性の実態は労働者
であると判断しました。
その上で
違約金については
労働契約の不履行について違約金を
定める契約をしてはならないという
労働基準法16条に違反して
無効であると判断しました。
さらに
第二審である大阪高裁は
より踏み込んで
そもそもこの違約金が過大で
経済的威嚇として指示に
従わせる手段となっており
公序良俗に反し無効であると
判断しました。
*以上の事案は
日本経済新聞「揺れた天秤」シリーズ
より引用しました。
アイドル脱退、1000万円請求 芸能事務所違約金訴訟 「払い終えるまでステージ出て」 下積みの日々「雇用関係」か
たとえば
運送業などでも
ドライバーを「個人事業者」
であるとして契約をしている
会社が少なくありません。
そもそも
この個人事業主か
労働者かの違いはどこに
あるのでしょうか?
その一番の違いは
にあると言ってよいでしょう。
労働者は
会社(事業主)と雇用契約を結び
事業主に対して従属的な
立場にあることが多いです。
これに対して
個人事業主は
会社(発注者)に対してある程度
対等で自由な立場にある
ということが前提です。
個人事業主か
労働者かの違いについて
具体的には下記のような要素で
判断されることになります。
比較項目 | 個人事業主 | 労働者 |
---|---|---|
基本的な立場関係 | 会社(発注者)に対して対等で自由な立場 | 会社(事業主)に対して従属的な立場 |
使用従属性 | 使用従属性が弱い | 使用従属性が強い |
仕事の依頼・指示に対する拒否権 | 断る自由がある | 断る自由がない(拒否しにくい) |
業務内容・仕事の仕方 | 自由度が高い | 依頼者が指揮命令権を持つ |
働く場所 | 自由に選択できる | 決まった場所で拘束される |
働く時間 | 自由に決められる | 決まった時間で拘束される |
報酬の基準 | 仕事の結果を基準 (成果報酬:1件いくら等) |
働いた時間を基準 (時給、月給等) |
さて
個人事業主だと思って取引
していたにも関わらず
労働者だと判断されてしまった場合
会社にはどのようなリスクが
あるでしょうか?
まず
労働者
すなわち雇用契約である以上
会社には雇用主として
社会保険の加入義務が発生します。
さらに
労働者となると
労働基準法や労働契約法が
適用されますので
残業代を請求されたり
有給休暇を請求される
可能性があります。
また
契約を打ち切りたくても
解雇の規制が適用されます。
ですから
簡単に契約を終了できない
という問題が発生します。
それでは
このように「労働者」と判断
されないようにするために
会社としてはどのような点に
気をつければよいのでしょうか?
この辺は
長くなりましたので
また明日お話ししますね。
それでは、また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。