マンションなどで漏水事故が起こった場合に、その
漏水の箇所が特定できない、という場合があります。
その漏水箇所が、マンションの居住者の専有部分か
ら生じたのか、それとも共用部分から生じたのか?
もし調査の結果それがわからない場合は、誰が責任
を負うのでしょうか?
(古い建物は漏水が心配?)
<毎日更新580日目>
古い建物やマンションなどにつきものなのが、いわ
ゆる漏水事故。
先日、不動産業を営むある社長さんから、会社のオ
フィスが漏水事故の被害に遭ったというご相談を受
けました。
この会社のオフィスが入っている建物は、1階部分
が店舗、2階より上が居住者のマンションとなって
いるそうです。
実は、弊社のオフィスが漏水で被害に逢いまして。
それは大変でしたね。
具体的には、どんな被害状況だったのですか?
オフィスのパソコン3台が壊れてしまいました。
それは大変でしたね。
パソコンの中のデータなどは大丈夫だったのですか?
はい、データはクラウドに保存してるので問題はなかったのですが、パソコン3台を新しく買い換えなければなりませんでした。
なるほど、それで、漏水の原因は何だったのですか?
それが、私は上の階のマンションの部屋からの漏水だと思って、上の居住者のところに行ったのですが、上の居住者の方は、「うちの部屋ではなくて、マンションの共用部分の漏水のはずだから、うちの責任ではない!」とものすごい剣幕でおっしゃるんです。
なるほど、もし漏水の原因が共用部分だとすると、マンションの管理組合と話をすることになりますね。
はい、それで管理組合に話をしたのですが、ここの管理組合もひどいもので、「それは共用部分ではなくて、上の階の部屋から漏水したに違いないから、上の階の居住者と話し合ってくれ。管理組合は関知しない」とか言われてしまったのです。
それで、結局漏水の箇所というのは特定できたのですか?
それが、業者を入れて漏水の調査を行ったのですが、結局その箇所が共用部分なのか、上の階の部屋からなのか、特定ができなかったのです。なにせ古いマンションなもので・・・。
漏水箇所が特定できない、というのは困りましたね〜。
そうなんです。結局管理組合と、上の階の居住者との間でお互いに責任のなすりつけあいをしているみたいで、保険会社どうしもモメていて、話が全然進まないのです。
この点、マンションに関する建物の区分所有法という法律があって、そこでは、漏水が共用部分か、区分所有者の専有部分か明らかでないときは、共用部分と推定されるという内容の規定があります。
そこで、ご相談のケースでは、管理組合に対して損害賠償の交渉をすべきだということになります。
マンションなどで漏水事故が起こって、他の居室に
損害を与えたという場合、民法の工作物責任という
ものが適用されます。
すなわち、建物などの工作物に欠陥があった場合に、
その工作物の占有者ないし所有者は、被害者に対し
て損害賠償責任を負います。
マンションでの漏水の場合は、区分所有者の専有部
分(マンションの各居室など)から生じた場合には、
区分所有者が工作物責任を負うことになります。
他方で、専有部分ではなくて、マンションの共用部
分(専有部分以外の廊下や階段など)から生じたと
いう場合には、マンションの区分所有者全員の責任、
ということになります。
しかし、古いマンションなどでは、業者が漏水の原
因を調査しても、その原因箇所を特定できない、と
いう場合が少なくありません。
すなわち、被害者が民法の工作物責任を追及したく
ても、漏水の箇所が特定できなくては、誰に対して
損害賠償請求をすべきなのかが明らかになりません。
そこで、マンションなどに適用される建物の区分所
有法という法律があり、その9条では、
と規定されています。
したがって、管理組合の側で、漏水の原因が特定の
区分所有者の専有部分から生じたものであると証明
できない限り、漏水の原因は共用部分の瑕疵という
ことになります。
そうなると、区分所有者全員の責任ということにな
るのです。
建物が古くなればなるほど、漏水事故のリスクは高くなります。
たかが漏水事故とは言え、場合によっては大きな被害が生じることがあります。
大規模修繕などで、常日頃からきちんと配水管のメンテナンスをしておくことが重要ですね!
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
そうそう、オフィスなどではなるべくペーパレ
ス化して、重要な文書のデータなどはパソコン
本体ではなく、クラウドに保存しておく、とい
うのもいざというときのリスクヘッジとして重
要ですね。
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今回は、会社が社員を新たに雇用する場合に、身元保証人をつける場合がありますが、この身元保証契約の注意点というテーマでお話ししています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。