
新人教諭が担当する児童の前で
校長を大声で叱責した行為が「逆ハラ」
として問題となっているようです。
そもそも
組織の職階上
下の人から上の人に対する「パワハラ」は
成立するのでしょうか?
(今日の棒人間 これって「逆ハラ」??)
<毎日更新1597日目>
神奈川県相模原市の公立小学校で
20代の新人男性教諭が
児童の目の前で60代の男性校長を大声で叱責し
児童を困惑させ泣かせるという
トラブルがありました。
〈相模原23歳教諭・逆ハラ〉「校長先生謝ってください」新人教諭が教室で校長を大声で叱責、泣き出す児童も…「先生はいじめをうけた」と言い訳
新人教諭は
担当クラスで紛失物があり
その対応への助言を校長に求めたそうです。
ところが
校長はそのとき忙しくて
対応できませんでした。
その翌日の朝に
新人教諭が校長に
「なぜ昨日対応してくれなかったのか」
といった話し合いをしたところ
授業開始前の「朝の会」の時間を
過ぎてしまった。
そこで
新人教諭は校長に対し
と言ったそうです。
そこで
校長はこの新人教諭の提案を受け入れ
この教諭のクラスに行き
児童に対して「朝の会が遅れた経緯」と
「遅れて悪かった旨」を伝えたそうです。
ところが
この新人教諭には
この校長の説明が気に入らなかったようで
児童の目の前で大声で校長を
叱責したとのことです。
報道によれば
このとき新人教諭は
と校長に対して怒鳴ったそうです。
その怒声に驚いた児童が泣き出す
騒ぎになったようで
結果的にこの新人教諭は減給1ヶ月の
懲戒処分を受けたとのことです。
上記の報道では
「逆ハラ」
すなわち逆パワーハラスメント
という概念が使われています。
そもそも
新人教諭と校長のような組織上の
立場の上下関係がある場合に
立場が下の人から上の人に対する
「パワハラ」というのは
成立するのでしょうか?
そこで
同じみですが
ここで法的なパワハラの定義を
確認しておきましょう。
すなわち
職場におけるパワハラとは
であり
①から③の要素をすべて
満たすものを言うとされています。
今回のようなケースでは
まさにこの①の
「優越的な関係を背景とした言動」
という要件が問題となります。
一般的には
「優越的な関係を背景とした言動」
とは
通常は上司から部下に対して
といったように
職階上
上の立場の人から下の立場の人に
対してなされることが想定されます。
ですから
冒頭の事例のように
新人教諭から校長に対する言動が
果たして「優越的な関係を背景とした言動」
と言えるかどうか
ここが問題となるわけです。
この点
「優越的な関係を背景とした言動」
と言えるかどうかは
形式的な上司や部下
といった職階などではなく
もっと実質的に判断
すべきとされています。
これは
今の「パワハラ」は非常に多様化しており
単に職階上の上下関係
のみで判断することはできない
というのがその理由です。
ですから
仮に職階上は下の立場であっても
上記の例のように
児童の前で大声で叱責するなどした場合。
この場合に
校長とされる立場の人が事実上
それに逆らうことができない
ような関係であれば
これも「優越的な関係を背景とした言動」
に当たる場合があり得るのです。
このように
職階上
下の立場の人から上の立場の
人に対して行うパワハラのことを
俗に「逆ハラ」などと呼ぶことがあります。
最近では
会社組織などで「パワハラ」
と言われるのを恐れ
上司や経営者が正しい指導を
ためらうといった傾向があります。
このような状況で
部下がその弱みに付け込んで
「逆ハラ」が発生するケースも
あると言います。
また
上司の正当な指導に対して
「パワハラだ!」と過度に主張し
騒ぎ立てて周囲を萎縮させる。
このような行為を最近
「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」
などと呼ぶ向きもあるそうです。
いずれにしても
今のパワハラは非常に多様化しており
単に職階上の「優越関係」だけで
形式的に判断されるものではない
ということは押さえておかれた方が
良いでしょう。
それにしても
自分が担当している児童の前で
校長を大声で叱責するなど
ちょっと尋常ではないですね。
その場にいた子どもたちの
メンタルが心配になります。
しっかりしてほしいものですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。