
社内でいろいろと問題を起こす社員に
会社を辞めてもらいたい。
しかし
日本の法律上「解雇」は
簡単ではありません。
今回は
実際にあった解雇事例から
学んでみたいと思います。
(今日の「棒人間」 最終兵器??)
<毎日更新1616日目>
人手不足の今の世の中
新たに入社してくれる若手社員は貴重です。
しかし
当たり前ですが
誰でもいい
というわけには行きません。
東京都心に本社を構える
老舗メーカー会社での出来事。
ある困った新人社員が入社しました。
この社員は
入社前の内定式に欠席
内定者懇談会もアルバイトを理由に欠席。
入社前説明会では
ボサボサの髪の毛で出社し
自己紹介では制限時間をオーバーして
日本の年金制度についての持論を
勝手に展開して注意を受けました。
工場の研修にもだらしない服装で出社し
作業がうまくいかずに大声を出して
工具を放り投げるなどの問題行動も。
研修のときも
などと反発していたそうです。
その後
営業部門に配属されたこの社員。
作成した書類について
先輩社員が質問すると
と投げやりに返答したそうです。
3ヶ月の試用期間が過ぎようとするとき
上司はこの社員に退職を勧めました。
そして
退職に応じるなら1カ月は
働かずに就職活動をしていいと提案。
しかし
この社員は「辞めるつもりはないです」
とこの提案を拒否。
会社は
6月末までだった試用期間を1ヶ月延長し
会議室にこの社員の席を設けて
特に仕事は与えませんでした。
7月下旬に行われた面談で
この社員の上司や役員から
といった言葉が飛び出しました。
しかし
この社員はそれでも退職を
拒否し続けました。
会社は試用期間をさらに1ヶ月延長
その上で8月末に解雇予告通知書を交付し
9月末で解雇しました。
この社員は
「不当解雇」であると主張し
法廷闘争に発展。
裁判所の判決は
「新人男性の勤務態度などに少なくない
問題があった」などとしつつも
解雇権の濫用であるとして
会社が行った解雇は無効である
と判断しました。
法的に社員を解雇するためには
という2つの要件が必要です。
この2つの要件を満たさない解雇は
解雇権の濫用として法的に
無効となります。
実際には
この2つの要件を満たすことは
容易ではありません。
上記の事例では
裁判所は
研修時点でこの社員の問題が
報告されていたにもかかわらず
この社員に対して直接の指導が
なされなかったことなどを
指摘しています。
さらに
この社員に対して
会議室に席を設けて特に
仕事を与えない「追い出し部屋」
の待遇を行ったことなども問題視。
その辺の事情から
解雇は無効であると判断したようです。
このように
日本の裁判所は
解雇を非常に厳しく判断します。
解雇は
あらゆる手段を尽くした後の
本当に最後の手段という位置付けでしょう。
また
解雇に至るまでのプロセスも
非常に重視されます。
安易な解雇は
後々「不当解雇」の裁判を
起こされるリスクは高いので
注意すべきです。
さて
今回の事例では
会社がこの社員の「試用期間」を
延長していることも論点となっています。
果たして
会社が決まった「試用期間」を
延長することができるのか?
長くなりましたので
この辺はまた明日お話しします。
それでは
また。
*なお、上記事例は、日本経済新聞「揺れた天秤」シリーズから引用しました。
見限られた「論破系」新人 解雇無効訴訟 「研修、強制できないですよね?」 「追い出し部屋」は妥当か
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今回は「カンタンに作れる? おつまみ3選」というテーマでお話ししています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
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