
公務員が不適切な接待を
受けて懲戒処分を受ける
というケースが相次いでいます。
実はこの問題
接待をした業者側も罰せられる
可能性がありますので
注意が必要です。
(今日の「棒人間」 その金子はもしや???)
<毎日更新1631日目>
最近
公務員が事業者から接待を
受けて懲戒処分を受ける
というニュースが相次いでいます。
1つは
千葉地方検察庁の男性検察官の事例。
取り調べを担当した参考人から
事件終結後に複数回にわたって
飲食を伴う100万円超の接待を
受けたとのことです。
千葉地検は
この男性検察官を停職10ヶ月の懲戒処分とし
その後この検事は辞職したとのことです。
もう1つは
大阪国税局の男性国税管理官のケース。
この職員は
徴収部所属だった2017年3月
滞納法人の代表者と勤務時間外に飲食。
事務処理を円滑に進めるために
職員から飲食に誘い
「割り勘を申し出たが
受けてもらえなかった」とのことで
合計4万7000円の飲食費を業者が
負担したとのことです。
結局
この男性職員は
減給10分の1(3ヶ月)の懲戒処分を
受けたとのことです。
「割り勘受け入れてもらえなかった」国税職員、4万7千円接待受け減給 滞納法人が負担
公務員が
民間の事業者から接待を
受けるのは何となくマズい。
そういった感覚はお持ちだと思います。
しかし
法的に何がどうマズいのか
この2つの件を機に
少し深堀してみたいと思います。
まず
公務員が
その職務に関して
「賄賂(わいろ)」を受けることは
刑法によって禁止されています。
いわゆる「収賄罪」という犯罪です。
「賄賂」というのはやや抽象的な概念ですが
ごくごく常識的・儀礼的なものを除き
物をもらったり
接待を受けたるすることを
広く含む概念です。
ただし
収賄罪が成立するためには
「その職務に関して」という
職務関連性の要件があります。
具体的に
もらった賄賂とその職務が
どう関連するかどうか
これは結構微妙な問題があり
裁判での立証も難しい点があります。
それでは
「収賄罪」に当たらなければ
公務員は事業者から接待を
受けたりして良いのかと言えば
そんなことはありません。
国家公務員倫理規程
というものがありまして
そこでは
公務員が「利害関係者から
供応接待を受けること」を
禁止しています。
また
「利害関係者」でなくても
社会通念を超えるような高額な
接待などはやはり禁止されています。
これは
こうしたことが横行すれば
公務員に賄賂を渡したり
接待したりしなければ仕事を
してもらえないという疑念が起こり
公務員に対する国民の信頼が
傷つけられます。
また
何か悪いことをしても
公務員に賄賂を渡せば
許してもらえるというような
不公正な社会になってしまいます
(実際、こういう国はたくさんありますね)。
そこで
刑法上の収賄罪や国家公務員倫理規程を定め
公務員が接待を受けること等を
広く禁止しているわけです。
これは
裏を返せば
公務員と仕事上付き合いの
ある事業者についても
注意が必要となります。
それは
公務員に対する接待は
接待を受けた公務員だけではなく
接待を行なった方も刑法上の
「贈賄罪」という犯罪になり得ることです。
昔は
事業者が公務員を接待することが
横行しているような時代もありました。
私も
昔大手都市銀行の支店長をしていた人から
官僚を接待したら大喜びされた
という話を聞いたことがあります。
しかし
今の時代はこうしたことを行うのは
非常にリスクがあります。
今はインターネットで何でも
可視化されてしまう時代です。
表向きはダメだけど
裏でコッソリ
というのは通用しないのです。
不正行為は必ずバレる
と思った方が良いでしょう。
万が一「贈賄罪」などで摘発された場合
会社に対する信頼も大きく
失墜してしまうことになります。
江戸時代ではありませんので
袖の下を入れて
なんとかお上に良きに
はからってもらいたい
こういう発想は持たないに
越したことはないですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。