お客様から「ありがとう」
と手渡された500円。
それが
解雇や裁判にまで発展する可能性が
あるとしたらどうでしょうか。
社員が受け取る「チップ」は適法なのか
それとも業務上横領なのか
その境界線を整理してみます。

(今日の「棒人間」 チップをおねだり??)
<毎日更新1709日目>
自社の社員が
実はお客様から「チップ」を
いただいていた。
これって
法的に適法なんでしょうか?
ある美容室に雇われていた女性美容師が
自分の担当顧客からチップを
受け取っていました。
具体的な事情としては
この女性美容師が勤務する
店の料金体系は
以前に在籍していた店舗よりも
安かったそうです。
そこで
当時からのなじみの顧客が
差額分を「チップ」として
渡してくれたそうです。
ただ、この女性
いったん顧客から代金を受け取り
レジに納めた後
顧客が帰った後でそのレジから
「チップ」として500円を
抜いていたそうです。
それで、店側は
業務上横領として
この女性美容師を解雇。
女性美容師は
不当解雇であるとして
店長を提訴しました。
この裁判の中で認定されただけで
この女性は合計13回
レジから500円を抜いていた。
ところが
注目すべきは
そのうちの9回は
顧客の承諾を得て受領した適法な
「チップ」であると判決が認めた点です。
*この事例は
日本経済新聞の「揺れた天秤」
シリーズから引用しています。
このように
社員が会社からもらう給料とは別に
直接顧客から「チップ」を受領することは
法的に有効なのでしょうか?
ここで重要なのは
まずその会社の社内ルールが
どうなっていたのか
という点です。
この点
たとえば就業規則などで
「チップの受領禁止」や
「受け取った場合は店に報告・納入する」
というルールが定められていた場合。
この場合には
社員が内緒で「チップ」を受け取ることは
「職務規律違反」にあたり
戒告や減給などの「懲戒処分」の
対象になり得ます。
それでは
就業規則などで「チップ」に関する
明確なルールを設けていなかった場合は
どうなるのでしょうか?
この場合には
原則として顧客からその社員への
「贈与」として有効になりますので
「チップ」の受領は適法となります。
ただし
これはあくまでその社員個人宛に
明示して渡された「チップ」の場合です。
どういうことかと言うと
たとえば
お釣りの端数などを「取っておいて」
と言われた場合や
サービス料のような性質で
渡された場合は
法的にはそのお金は会社のものであると
判断される場合があります。
この場合に
社員がそのお金を会社に
報告せずに受領した場合には
「業務上横領」や「窃盗」に
該当する可能性があります。
ところで
欧米では
飲食店などをはじめ
様々なサービスに対して「チップ」を
支払う文化が根付いています。
たとえば
飲食店の店員やホテルマンなどで
年収1000万円を超えるサービスパーソンが
ゴロゴロいると言われています。
それはもちろん
日本よりも物価が高い
ということもありますが
やはり給料以外に「チップ」の収入が
あることが大きいとされています。
その影響か
欧米のサービスパーソンは
プロとしての自覚とプライドを持って
働いている人が多いと聞きます。
YouTube講演家の鴨頭嘉人さんは
飲食店で働くサービスパーソンが
もっと輝く世界を作るために
日本に「チップ文化」を広める
活動をされています。
私も行ったことがありますが
鴨頭さんが運営している
「YAKINIKUMAFIA IKEBUKURO」では
このチップを導入しています。
それゆえ
このお店のステージパフォーマーの方々は
とても活き活きと働いていて
実際に年収1000万円を超えて
いる方もいるそうです。
いつの日か
日本にも本格的にこの「チップ文化」が
広まる日が来るかも知れません。
「チップ」をめぐって
社員との間でトラブルや
「裁判沙汰」を予防するためには
やはり「チップ」をめぐる社内の
ルール化が非常に重要です。
顧客から「チップ」を受け取る
可能性のある会社では
就業規則などできちんとルール化を
整備しておくことをお勧めします。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。