問題がある社員には
出向先や転籍先を自分で探してもらう。
一見すると穏やかな対応にも思えますが
やり方を誤ると違法な「退職勧奨」
と判断されることがあります。
では
会社はどこまで踏み込むことが
許されるのでしょうか。

(今日の「棒人間」 圧迫面接??)
<毎日更新1717日目>
目次
旭化成の子会社「旭化成エレクトロニクス」で
50代の男性社員に対する実質的な
「退職勧奨」が違法であるとして
東京地裁が同社に対して55万円の賠償を
命じたとの報道がありました。
「出向先探し」を2年以上続けさせたのは「違法な退職勧奨」、旭化成子会社に55万円の賠償命令…東京地裁
報道によると
同社は
この社員に対して2023年9月に半導体など
の製品開発関連の部署から人事室付への
異動を命じました。
背景には
この社員は入社以降
同僚や取引先とトラブルを繰り返し
コミュニケーションに問題があると
評価されていたようです。
その後
同社はこの社員に対し
「社内の制度に基づいて
旭化成グループ外への出向や
転籍先探しに取り組むよう」
命じたとのことです。
さらにその後
2024年1月
会社側は
解決金と退職金計6000万円を支払う
ことを条件に退職することを
提案しましたが
この社員は拒否し
提訴に及んだとのことです。
判決では
旭化成という日本有数の企業グループ内で
配属先を全くみつけられないことは
想定しがたい。
にもかかわらず
1年を超えて外部の出向先を
探し続けさせることは
実質的には違法な「退職勧奨」に
あたると判断しました。
一般の会社でも
たとえば問題のある社員に
会社を辞めてもらいたい
という話はよくあります。
その場合に
会社が退職勧奨を行なって
その社員に自ら会社を辞めてもらう
ように働きかけること自体は
特に違法な行為ではありません。
たとえば
退職金として一定のお金を払うので
辞めてほしいとお願いする
ことはあり得ることでしょう。
ただし
退職勧奨は
一定の限度を超えた場合には
「違法」な退職勧奨
となってしまいます。
そして
その場合には
その社員に対する不法行為となり
損害賠償責任が発生
することがありますので
注意が必要です。
それでは
どのような場合が違法な
退職勧奨なのでしょうか?
この辺は
要するに程度問題
ということになりますが
退職勧奨が違法に
ならないためには
次の3つの注意点があります。
すなわち
の3つです。
この点,
一度退職勧奨を拒否
した社員に対して
再度退職のための説得
を行うこと自体は
違法ではありません。
しかし
非常にしつこく
長期間にわたって繰り返し
退職勧奨が行われた場合には
違法となる可能性があります。
裁判例で問題となった事案では
3〜4ヶ月の間に11回ないし13回にわたり
退職勧奨が行われたケースがあります。
このケースでは
退職勧奨が行われる
時間が短い時で20分
長い時で2時間15分
にも及んで行われた
というものです。
さすがに
このような退職勧奨は違法である
と判断されています。
退職勧奨のための面談時間は,
せいぜい数十分に
とどめておいた方が良いでしょう。
次に
2つ目の注意点ですが
退職勧奨を行う会社側
の人数が問題となります。
たとえば
退職勧奨の対象となる
社員1人に対して
会社側が6名くらいの
大人数で面談に
のぞむような場合は
圧迫面談と言われる
おそれが高く
違法とされる可能性があります。
ですから
面談する会社側の
人数としては
2名程度が適切では
ないかと思われます。
退職勧奨は
その社員が退職するように
説得する行為ですので
どうしてもその社員の
問題点を指摘せざるを
得ないことになります。
そうすると
話し合いの過程でお互いに冷静さを失い
感情的になってしまいがちです。。
その際に
たとえば怒鳴りつけるなどして
社員を圧迫するような
言動を行ったり
その社員の尊厳や人格を傷つけるような言動
をしないようにしなければなりません。
このように
「退職勧奨」は
問題のある社員などに退職を促す
ための合理的な方法ではあります。
しかし
どうしても対立的
感情的な交渉となりがちで
会社側にとっては
一歩線を踏み越えた違法な
「退職勧奨」になってしまう
リスクがあります。
会社側としては
会社を辞めるように説得する
退職勧奨の場面でも
あくまで社員を1人の人間
として誠意を持って接する
ことが重要ではないかと考えます。
そんなわけで
「退職勧奨」はできるだけ綿密な準備のもと
くれぐれも慎重に行う必要があります。
場合によっては
そのやり方が違法な「退職勧奨」
にならないかどうか
事前に弁護士に相談・確認する
ことも必要ですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。