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渋谷の弁護士吉田悌一郎

飲酒運転した社員でも解雇できない?郵便局員の懲戒解雇が無効になった理由

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「飲酒運転をした社員なら

当然クビにできる」

 

 

そう思ってしまいそうですが

実は解雇はそんなに簡単ではありません。

 

 

今回は

郵便局員の懲戒解雇が無効になった裁判例と

 

 

「一晩寝ても残る酒」の怖さについて

考えてみます。

 

 

(今日の「棒人間」 自己判断は危険??)

 

<毎日更新1949日目>

飲酒運転した郵便局員の「懲戒解雇」が無効に?

 

 飲酒運転をした社員を懲戒解雇した

そう聞くと

多くの経営者の方は

 

 

「それは仕方がないだろう」と

思うかも知れません。

 

 

ところが

そんな懲戒解雇を「無効」とする

判決が出たとの報道がありました。

 

「残り酒」で酒気帯び運転 日本郵便配達員解雇は無効 福岡地裁が「故意なし」と認定

 

 

日本郵便の元郵便局員の男性が

酒気帯び運転を理由に懲戒解雇されたこと

 

 

を不服として裁判を起こしたところ

福岡地裁はこの懲戒解雇を無効とする

判断をしました。

 

 

報道によれば

この男性は夜に酎ハイ1本と

焼酎の水割り3杯を飲んで就寝。

 

 

その約9時間半後

翌朝に車を運転し

追突事故を起こしました。

 

 

その際

呼気1リットルあたり0.53ミリグラムの

アルコールが検出されたとのことです。

 

 

日本郵便の社内規程では

「故意」に飲酒運転をした場合には

懲戒解雇または停職と定められていました。

 

 

しかし、裁判所は

男性には「残り酒」の自覚がなく、飲酒運転について故意があったとは認められない

と判断し

今回の懲戒解雇は上記の社内の懲戒規程に

違反して無効であると判断しました。

 

 

もちろんこれは

「飲酒運転」が大した問題ではない

という判決ではありません。

 

 

 

要するに

飲酒運転が重大な問題であることと

 

 

会社が社員を解雇できるかどうかは

別問題だ、ということです。

 

 

 

 

 

 

安易な解雇は危険

 

このブログでもお伝えしているとおり

日本の法律も

また裁判所の判断も

 

 

「解雇」というものには非常に

厳しい姿勢でのぞんでいます。

 

 

労働契約法という法律で

社員を解雇するには

① 解雇の客観的合理的理由
② 解雇の社会通念上の相当性

という2つの要件が必要とされています。

 

 

社員に不祥事があったという場合でも

会社として実際に何が起きたのかを

きちんと調査したか。

 

 

本人の言い分も聞いたものか。

 

 

過去の処分事例と比較して

「解雇」は重すぎないか。

 

 

停職や減給など

解雇より軽い処分ではダメなのか。

 

 

こういった点を慎重に

検討する必要があります。

 

 

冒頭のケースでも

ポイントになったのはまさに

会社自身が定めた懲戒規程でした。

 

 

「飲酒運転だから当然クビ」

という感覚だけで判断するのではなく

 

 

規程に定められた要件を満たしている

のかを丁寧に検討する必要があった

というわけです。

 

 

こうした慎重な検討をせず

安易に社員を解雇してしまうと

 

 

後から裁判で「不当解雇」と

判断されるリスクが高いでしょう。

 

 

その場合

解雇は無効であるということで

社員としての地位が残っていることになる。

 

 

そうなると

解雇してから裁判所の判決が出るまでの賃金

 

 

いわゆる「バックペイ」の支払いを

命じられることもあります。

 

 

問題社員を辞めさせようとした結果

逆に会社が泥沼の「裁判沙汰」に

巻き込まれてしまう。

 

 

そうならないためにも

解雇という重大な判断こそ

慎重な検討が必要となります。

 

 

 

 

 

 

「一晩寝たから大丈夫」も危ない?

 

ところで

この報道を見て

 

 

酒好きの私としてはもう1つ

気になったことがあります。

 

 

報道によれば

この男性が前の晩に飲酒してから

 

 

翌朝事故を起こすまで

約9時間半も経っていたということ。

 

 

しかも

飲んだお酒の量も

酎ハイ1杯と焼酎水割り3杯ですから

 

 

お酒をよく飲む人であれば

まぁ「晩酌」レベルというか

それほど大量の飲酒とも言えないでしょう。

 

 

しかし

翌朝の事故時には

いわゆる「残り酒」

 

 

すなわち呼気から高い数値の

アルコールが検出されています。

 

 

たしかに

アルコールが体から抜ける

までの時間には個人差があり

 

 

飲酒量や体格

体調などによっても変わる

と言われていますね。

 

 

だから

「一晩寝たから大丈夫」とか

 

 

「昨日の酒だからもう抜けているだろう」

といった自己判断は危険

ということですね。

 

 

経営者にとっては

 これだけのことをした社員なら、当然解雇できるだろう

酒飲みにとっては

 一晩寝たんだから、もう酒は抜けているだろう

どちらも

その安易な思い込みが

大きなトラブルにつながりかねません。

 

 

トラブルや「裁判沙汰」を

予防するためには

 

 

まず自分自身の「これくらい大丈夫だろう」

を疑ってみる。

 

 

そんなことを改めて

考えさせられる報道でした。

 

 

いやぁ

私も酒飲みなので

これは他人ごとではないですね・・・。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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