「業務委託契約だから
残業代を支払う必要はない」
と思っていませんか?
しかし
業務委託のつもりで仕事を
依頼していた会社が
裁判で130万円の支払いを
命じられたケースがあります。
「業務委託」か「雇用」か
これは実際には結構トラブルに
なりがちなテーマだったりします。

(今日の「棒人間」 これって雇用?業務委託?)
<毎日更新2004日目>
最近の人手不足を背景に
社員として雇用するのではなく
個人事業主やフリーランスに
仕事を外注する会社が増えています。
運送業や建設業
美容業やIT業界などでは
個人と「業務委託契約」を結んで仕事を
してもらうケースも少なくありません。
法的には
「業務委託契約」であれば
雇用契約とは異なり
社員のように残業代を
支払う必要がない
というのが原則になります。
ところが実際には
この「業務委託契約」か
「雇用契約」かで争いになる
ケースが多いのです。
大阪市内のある運送会社は
2023年10月に
20代の大学生の男性と
配送業務の契約を結びました。
仕事の内容としては
荷物を個人宅に届けるというもので
報酬は荷物1件につき150円
という歩合制でした。
契約書は作成されず
いわゆる「口約束」でしたが
会社としてはあくまで「業務委託」
として仕事をお願いしている
という認識だったようです。
ところが
実際には男性には会社から午前6時半に
出勤して荷物の積み込みなどを
するように求められ
配送時間も午前9時から
午後9時とされていました。
また男性は
会社の勤務シフトに従い
会社から貸与された車両で
配送を行っていました。
その後
男性は歩合報酬の未払いに加えて
荷物の積み込みや配送実績の報告などに
対する残業代も支払われていないとして
会社に対して裁判を起こします。
これに対して会社側は
この男性とは
と裁判の中で反論しました。
しかし
裁判所は男性側の主張を認め
会社に対して未払いの歩合給や残業代など
合計約130万円の支払いを命じました。
要するに
裁判所はこの会社と男性との契約は

雇用契約!
だと判断したわけです。
*この事案は、日本経済新聞・リーガル処方箋シリーズ「残業代など未払い訴えたドライバー、委託か雇用か 裁量・拘束で争い」より引用しました。
この問題で重要なことは
実は「業務委託契約」か
「雇用契約」かは
契約の名前だけで形式的に
決まるわけではないということです。
社員として雇用する場合には
労働基準法という労働者を
保護する法律が適用されます。
そして
法定労働時間を超えて働かせれば
原則として割増賃金(残業代)を
支払う必要があります。
他方で
業務委託契約であれば
労働者ではなくあくまで
独立した事業者との契約ですので
原則としてこういった残業代の
支払義務はありません。
ただし
上記のとおりこの両者の区別は
契約書のタイトルではなく
実際の働き方によって判断されます。
具体的には
といった事情を総合的に
判断することになります。
具体的な業務委託契約と
雇用契約の違いの要素は
次の表にまとめましたので
参考にしてください。
| 比較項目 | 業務委託契約 | 雇用契約 |
|---|---|---|
| 基本的な立場関係 | 発注者に対して対等で自由な立場 | 事業主に対して従属的な立場 |
| 使用従属性 | 使用従属性が弱い | 使用従属性が強い |
| 仕事の依頼・指示に対する拒否権 | 断る自由がある | 断る自由がない(拒否しにくい) |
| 業務内容・仕事の仕方 | 自由度が高い | 依頼者が指揮命令権を持つ |
| 働く場所 | 自由に選択できる | 決まった場所で拘束される |
| 働く時間 | 自由に決められる | 決まった時間で拘束される |
| 報酬の基準 | 仕事の結果を基準 (成果報酬:1件いくら等) |
働いた時間を基準 (時給、月給等) |
ですから
たとえ「業務委託契約書」を
交わしていたとしても
実態として雇用契約の社員と
変わらないような働き方をしていれば
それは法的に「雇用契約」であると
判断されてしまいます。
そうなると
労働基準法が適用されて
残業代の支払義務が生じたり
社会保険料を負担する義務が生じたりと
会社にとって思わぬリスクとなります。
では
こういったトラブルを予防するためには
どうしたら良いのでしょうか?
まず大切なことは
業務委託契約であれば
実際の働き方も
業務委託にふさわしいものにする
ということです。
たとえば
仕事の依頼を受けるかどうかについて
相手方に一定の自由を認めること。
また
仕事の進め方や時間配分についても
会社が必要以上に細かく
指示しないことが重要です。
そして
もう1つ重要なことは
何よりも契約書をきちんと
作成することです。
冒頭の事例でも
そもそも契約書が作られて
いなかったとのこと。
ただ
上記のとおり
契約書さえ作れば安心
というわけではありません。
「業務委託契約」とされていながら
働き方の実態が雇用契約をした
社員と同じになっていないか。
やはり
業務委託契約を活用している
中小企業の経営者の方には
ぜひこの点を意識していただきたい
と思いますね。
日頃の契約管理や現場の運用を
見直すことで
こうしたトラブルや「裁判沙汰」は
予防したいものです。
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。