不動産の賃貸借契約で、
契約を更新する際に、
必ず「更新料」を
支払わなければならない、
と誤解している人が
少なくありません。
「更新料」を請求されたときは、
必ず賃貸借契約書の内容を
まず確認するようにしてください。
(今日の「棒人間」 悪徳業者に「更新料」を請求される?)
<毎日更新750日目>
先日、
輸入卸売販売業を営んでいる
A社の社長さんから、
会社のオフィスの土地の
賃貸借の問題について、
ご相談を受けました。
弊社では、建物とその敷地の借地権を購入して、会社のオフィスとして使っていました。
この敷地の借地権が2015年に更新の時期を迎えたのですが、地主さんから特に何のお話もなかったので、こちらはそのまま従来の地代を支払って使用を続けていました。
なるほど、いわゆる「法定更新」の状態ですね。
法律的には、借地契約が適法に更新されたことになります。
ところが、最近になって、仲介の不動産業者から連絡がありまして、借地権が更新されていないので、更新料を支払って借地権を更新せよとの要求があったのです。
先ほど述べたとおり、法定更新として有効ですから、借地権が更新されていない、という不動産業者の言い分は、法律的には間違いですね。
ところで、更新料はどのくらい請求されているのですか?
それが、地代の60ヶ月分の更新料を支払えと請求されているのです。
土地の地主さんとの契約書はどうなっていますか?
更新の際に更新料を支払うという定めはありますか?
それが、契約書を確認してみたのですが、更新料のことはどこにも書かれていないのです。
そうであれば、更新料を支払うという合意がないので、御社が更新料を支払わなければならない義務はそもそもありません。
借地や借家で、
「更新料」というものが
支払われることが
あります。
更新料とは、
契約期間が満了して、
契約が更新される際に、
借主から貸主に対して
支払われる金銭のことを
意味します。
ただし、
この「更新料」は、
契約を更新する場合に
当然に支払わなければ
ならないものでは
ありません。
実は、
この点は多くの人が誤解
しているポイントなので、
注意が必要です。
そもそも、
地主が更新料を
請求するためには、
賃貸借契約において、
更新料を支払うという
約束(更新料特約)
をしておく必要があります。
つまり、
地主が更新料を
請求できるのは、
あくまで賃貸借契約書において、
将来契約の更新をする際に、
更新料としていくらを支払う、
という特約をしていた
場合に限られるのです。
逆に言えば、
こうした更新料特約
がなければ、
借主は契約の
更新に際して、
地主に更新料を支払う
義務はないのです。
ところが、
世の中には、
こうしたことを当然に
理解していながら、
あえて借主に対して更新料を
支払うように請求してくるという、
悪徳不動産業者がいるので、
注意が必要です。
というのは、
仮に、
更新料特約がない
にもかかわらず、
地主や不動産業者から
請求されて、
更新料を支払って
しまったとしましょう。
その場合、
本来は法的に
支払う義務のない
お金を支払った
ということで、
支払った更新料を
返してくれと
請求できるでしょうか?
答えは残念ながら
です。
更新料の支払いを
請求されて、
それに応じて
支払ってしまうと、
その時点で
地主と借主の間で、
更新料を支払う合意が成立したとみなされてしまう
からです。
したがって、
合意に基づいて支払われた
更新料ということになるので、
あとでやっぱり返して、
とは言えなくなって
しまうのです。
実は、
悪徳不動産業者は、
こうしたことを狙って、
更新料特約がないにも
かかわらず、
あえて「更新料」の支払いを
請求してきたりする
ケースがあるのです。
しかし、
世の中には、
法律の知識がない
ばっかりに、
地主や不動産業者から
請求されるままに、
特約もないのに
更新料を支払ってしまう
ケースは結構あるのでは
ないかと思われます。
もちろん
上記の不動産業者の
やり方は、
法律の素人に対する
詐欺のようなもので、
まったく卑劣極まりない
酷いやり方です。
ただ、
法律上は残念ながら、
更新料を請求されて
支払ってしまうと、
上記のように
後で返してくれと
言えなくなってしまいます。
そこで、
更新料の支払いを
請求された場合には、
慌てて支払うのではなく、
必ず賃貸借契約書に
更新料の特約があるかどうかを
確認することが大切です。
もし、
契約書を見ても
よくわからない、
という場合には、
必ず弁護士に相談
するようにしてくださいね。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。