「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

「朝7時会社集合、現場で8時から17時で8時間勤務」って求人広告、どうよ??

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「朝7時会社集合、

現場で8時から17時で

8時間勤務」という

求人広告を見つけました。

 

 

え、

それって本当に

「8時間勤務」

なのでしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 その求人広告大丈夫??)

 

<毎日更新839日目>

建設業で見かけるある求人広告

求人募集!

朝7時会社集合、現場で8時から17時で8時間勤務
(休憩1時間)

建設業の求人募集で、

時々こんな広告を

見かけることがあります。

 

 

なるほど、

午前8時から夕方の17時までで、

お昼休憩1時間をのぞいて、

合計8時間勤務か・・・。

 

 

あれ、

なんか変だぞ!

 

 

朝7時会社集合ということは、

そこからみんなで

現場まで行くわけですね。

 

 

移動手段は書いてありませんが、

おそらくトラックなどで

移動するものと思われます。

 

 

そうすると、

朝7時に会社に行って、

ひょっとしたらその日の

現場作業で使う道具や資材の

準備などもやって、

それで現場まで出発。

 

 

そんなケースも多いのでは

ないかと思われます。

 

 

そうすると、

朝8時に現場に着く前に、

1時間程度準備や移動の

時間がかかっている。

 

 

これは「勤務時間」には

含まれていないのですかね?

 

 

さらに、

果たして17時で現場の

仕事が終わって、

そこで「解散」となって

帰れるのだろうか?

 

 

もしかしたら、

またトラックで会社まで戻って、

後片付けして、

18時に会社を出るなんて

パターンではないだろうか?

 

 

そうなると、

17時から18時までの、

同じく移動や後片付けの時間は

「勤務時間」に含まれない

のでしょうか?

 

 

もしこれらの時間が

「勤務時間」に含まれるとすれば、

8時間ではなく、

「10時間勤務」となって

しまいます。

 

 

8時間勤務なのか、

10時間勤務なのかでは、

えらい違いですよね。

 

 

 

現場で働く時間だけが労働時間なのか?

もし、

本当は「10時間勤務」なのに、

「8時間勤務」と表示していると、

それは虚偽の求人広告

ということになってしまいます。

 

 

職業安定法という法律があり、

その65条9号では、

虚偽の広告をなし、

または虚偽の条件を提示して、

労働者の募集等を行った場合には、

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

という罰則が定められています。

 

 

それでは、

果たして上記の余分な2時間は、

「勤務時間」ということに

なるのでしょうか?

 

 

この点、

「勤務時間」すなわち法的な

「労働時間」とは、

労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間

をいうとされています。

 

 

労働者は社員、

使用者は会社と置きかえても

良いでしょう。

 

 

そして、

具体的に、

「使用者の指揮命令下に

置かれている時間」

に当たるかどうかは、

・業務遂行に関する義務づけ
・場所的な拘束性
・その他の業務性

といった要素で判断されます。

 

 

詳しくは、

下記の記事を読んで

いただきたいのですが、

【仕事の準備、後片付け、移動時間】それって、労働時間??

通常、

現場仕事の場合は、

事前に会社に集まって

事前準備をしてから現場に

向かわざるを得ない、

と言う場合も少なく

ないでしょう。

 

 

帰りも同様で、

現場で仕事が終わって

「さあ終わり!」ではなく、

会社に帰って片付けの作業も

必要でしょう。

 

 

そう考えると、

事前準備や事後の片付け、

そして会社から現場までの

往復の移動時間なども、

 使用者の指揮命令下に置かれた時間

と判断されやすい

ものと考えます。

 

 

ですから、

一概には言えませんが、

上記のようなケースでは、

「8時間勤務」ではなく、

実は「10時間勤務」であると

判断されやすいのでは

ないかと思われます。

 

 

 

 

建設業2024年問題との関係

さて、

この社員の労働時間に関連して、

建設業では、

2024年問題といわれる

ものがあります。

 

 

これは、

来年の2024年4月1日から、

建設業にも社員についても、

残業の「上限規制」が

適用されます。

 

 

具体的には、

残業は原則として月45時間、

年間360時間までと

されています。

 

 

ただし、

労使が特別に合意した場合には、

例外的にこれを超えて

残業させることができます。

 

 

しかし、

その場合でも、

以下の規制がかかります。

・年間720時間以内(休日労働は含まない)

・複数月平均で80時間以内(休日労働含む)

・月100時間未満(休日労働含む)

・月45時間を超えて良いのは年6回まで

 

ただ、

この残業の上限規制は、

建設業に関しては、

2024年3月31日までは、

適用が猶予されています。

 

 

すなわち、

現在のところは、

建設業については、

上記の上限規制の適用を

受けずに済んでいる

わけです。

 

 

ところが、

建設業でも、

いよいよ来年の

2024年4月1日より、

この上限規制が適用

されます。

 

 

そこで、

建設業においても、

社員の労働時間の見直しを

余儀なくされる、

それがいわゆる建設業の

「2024年問題」と

言われるものです。

 

 

この2024年問題との絡みで、

上記の問題を考えると、

本来労働時間とすべき

前後の2時間を除いて、

「8時間勤務」とかやっていると、

知らない間にこの上限規制に

違反するという可能性が

出てきます。

 

 

単純に、

週5日、

月20日間このシフトで

勤務した場合、

実は1日2時間の時間外労働(残業)

が発生していたとすると、

それだけで40時間の残業時間

となります。

 

 

繁忙期などで、

時間外労働や休日労働が

多くなると、

いつの間にか上記の

「上限規制」に違反して

しまう場合が起こりうる

わけです。

 

 

問題は、

それだけではありません。

 

 

1日「8時間勤務」としておきながら、

実は「10時間勤務」だったとすると、

1日2時間の時間外労働(残業)

発生していますので、

その分の割増賃金の支払いの

必要が出てきます。

 

 

そうすると、

今後は社員から、

未払い残業代の請求をされる

リスクが高まると思われます。

 

 

社員から裁判を起こされて、

 いや、現場の午前8時から17時以外の時間は、労働時間ではない!

といっていくら争っても、

上記のとおり会社にとっては

かなり分が悪いのも事実です。

 

 

時間とお金をかけて裁判で争っても、

結局多額の残業代の支払いを

余儀なくされる危険が

大きいわけです。

 

 

この点、

私のミッションは、

ということ。

 

 

「裁判沙汰」を避けるためにも、

まず大事なことは、

「勤務時間」か、

それ以外の時間かを

はっきりさせること。

 

 

やはり、

虚偽の求人広告になってしまう

ような現状がもしあるとすれば、

早急に改善していく必要が

あろうかと思われます。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、社員の留学費用と、未払い賃金との相殺ができるか?こんなテーマでお話しています。

 

 

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裁判しないで解決する
ノーリスクプロモーター

                               
名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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