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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【取締役の責任】引き抜き・転職で5000万円の賠償命令

会社法関係

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会社の「取締役」というのは、

経営者の一員として

それなりに重い責任を

負っています。

 

 

いやしくも、

「取締役」に就任する際には、

こうした法的な義務や責任を

きちんと自覚しておく

必要があります。

 

 

 

(今日の「棒人間」 会社に対する「忠実義務」は大事??)

 

<毎日更新896日目>

部下4人を引き抜いて同業他社に転職

あるコンサル会社で、

取締役だった男性が、

部下4人を引き抜いて

同業他社に転職。

 

 

前職の会社から、

「違法な引き抜き」であるとして、

約1億2000万円の

損害賠償請求をされる、

という事件がありました。

 

 

この取締役は、

前職の会社の部下4人に対して、

自身とともに同業他社への

転職を促した、

ということです。

 

 

具体的には、

4人の部下に、

移籍後の構想を説明し、

移籍先会社での勤務条件についても、

この部下らに変わって

この取締役が交渉を

するなどしたそうです。

 

 

また、

この取締役の男性は、

前職の会社の内部情報を

知り合いのフリーランスの

記者に伝えて、

前職会社に批判的な記事の

執筆を依頼し、

それが掲載されていました。

 

 

ちなみに、

この前職会社では、

就業規則に社員の引き抜きを

禁止する条項が定められており、

もし引き抜きがあった場合には、

引き抜いた社員の前年の

報酬分を会社側に支払う、

というルールが

定められていました。

 

 

しかも、

この取締役は、

退職時に、

「退職後も引き抜きはしない」

という誓約書を前職会社と

交わしていたそうです。

 

 

地裁は、

この取締役の男性の一連の行為は、

前職会社の事業に悪影響を

及ぼすために行われたもので、

違法であると認定し、

この男性に約5000万円の

損害賠償を命じました。

 

 

要するに、

この男性の引き抜き行為が

あまりに悪質であり、

裁判所によって

「違法な引き抜き」である

とされたわけです。

 

 

引き抜きが違法である点は、

まあ異論はないと

思われますが、

ここで取り上げたいのが、

この判決が、

この男性の行為が

 取締役としての善管注意義務・忠実義務に違反している

 と認定した点です。

 

 

 

 

取締役の善管注意義務、忠実義務とは??

言うまでもなく、

会社の「取締役」というのは

会社の役員であり、

いわば「経営者」の一員です。

 

 

その点が、

単なる従業員・社員

とは決定的に異なる点です。

 

 

この「取締役」というのは、

会社との間で「委任契約」

を結んでいます。

 

 

そして、

委任契約を定めた民法644条では、

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

と定めています。

 

 

「受任者」とは、

委任を受けた者、

という意味で、

ここでは会社から会社経営の

委任を受けた「取締役」

のことを意味します。

 

 

すなわち、

取締役は、

善良な管理者の注意をもって、

会社経営にあたるべき義務で、

これを取締役の

「善管注意義務」と言います。

 

 

要するに、

会社の経営者として当然に

要求される注意をもって

会社経営に当たらなければ

ならない。

 

 

チョンボや放漫経営で

会社の経営を危うくすると、

会社に対して責任を問われますよ、

というのが、

この取締役の「善管注意義務」

の中身です。

 

 

他方で、

会社法355条では、

取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。

と規定されています。

 

 

これは、

取締役の「忠実義務」と

言われる義務を定めています。

 

 

この「忠実義務」は、

会社と取締役都との間の

高度の信頼関係に基づく

義務を意味しています。

 

 

具体的には、

取締役がその地位を利用して、

会社の利益を犠牲にして、

自己または第三者の利益を

図ってはならない、

とする義務です。

 

 

いやしくも、

会社の取締役の地位にある人が、

自社の部下を引き抜いて

同業他社に転職する行為は、

意図的に会社の利益を

害する行為ですから、

「善管注意義務」に違反

していることは明らかです。

 

 

さらに、

こうした行為は、

会社との信頼関係を裏切り、

会社の利益の犠牲のもとに、

自己の利益を図るものであり、

取締役の「忠実義務」にも

違反している、

というわけです。

 

 

 

 

 

 

取締役が経営者として負うべき責任

このように、

会社の「取締役」というのは、

会社の経営者の一員として、

単なる社員・従業員よりも

重い責任を負っています。

 

 

これは、

社長、

すなわち代表取締役だけではなく、

単なる平取締役であっても、

これらの責任を負うことに

違いはありません。

 

 

ですから、

やはり会社の「取締役」に

就任するということは、

それだけ重い責任を負っている、

ということを自覚する

ことが必要でしょう。

 

 

逆に、

それだけの覚悟がなければ、

安易に「取締役」に就任

すべきではない、

と言えます。

 

 

こうした「取締役」としての

責任の自覚がなく、

好き放題なことをやっていると、

会社から訴えられて

「裁判沙汰」に陥る危険が

あります。

 

 

なお、

上記のコンサル会社の

取締役の事例は、

その後裁判に負けた取締役が控訴し、

高等裁判所で前職会社と

和解が成立したそうです。

 

 

いずれにしても、

経営者として「取締役」の

責任は自覚しておきたい

ものですね。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

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昨日は、午前中は事務所で仕事。
午後は、息子の小学校が振替休日だったので、お昼頃家族と新橋で待ち合わせ。
ウルトラマン好きの息子の希望で、「怪獣酒場」に行ってきました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
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Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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