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渋谷の弁護士吉田悌一郎

社員との間の「雇用契約書」を作成したほうがよい3つの理由

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法律上は、

社員が入社するにあたり、

「雇用契約書」を作ることは

義務づけられていません。

 

 

しかし、

できるだけ「雇用契約書」は

作っておいた方がメリットが

あります。

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 雇用契約書は必要??)

 

<毎日更新895日目>

「雇用契約書」を作らないのは法律違反か?

新たに社員が入社するときに、雇用条件通知書は渡しているのですが、雇用契約書は作っていません。
なにか法律的にまずいでしょうか?

会社経営者の方から、

こんなご質問をいただく

ことがあります。

 

 

社員が新たに会社に

入社するということは、

会社とその社員が法律上

「雇用契約」を結んだ、

ということになります。

 

 

そこで、

法律上、

その社員との間で「雇用契約書」を

作ることが求められる

のでしょうか?

 

 

この点、

契約の原則を

定めた民法522条では、

次のように定められています。

 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

 

つまり、

原則として契約書を

作らなくても、

当事者間の合意のみで

契約は成立すると

されています。

 

 

そして、

会社と労働者との間の

法律関係を定めている

労働契約法の6条でも、

雇用契約の成立要件として

次のように規定されています。

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

 

ここでは「労働契約」

となっていますが、

これは「雇用契約」

と同じ意味です。

 

 

また、

「使用者」というのは

会社のことを指すと

考えていただいて

構いません。

 

 

要するに、

法律上雇用契約が

成立するためには、

合意があればよく、

必ずしも雇用契約書を

作る必要はない、

ということになります。

 

 

 

「雇用契約書」を作った方がよい3つの理由

しかし、

私は、

それでもやはり社員が

新たに入社する際には、

なるべく「雇用契約書」を

作成した方が良いと

考えています。

 

 

以下で、

その理由をご説明

したいと思います。

 

 

理由1)労働条件の明示が義務づけられている

会社が社員と

雇用契約を結ぶ際には、

社員に対して賃金や

労働時間その他の労働条件

を明示する義務が

あるとされています。

(労働基準法15条、

労基法施行規則5条)

 

 

その上で、

次の5つについては、

書面で明示することが

義務づけられています。

 

1 労働契約の期間に関する事項
2 就業の場所・従事する業務の内容
3 労働時間に関する事項
(始業・就業時刻、残業の有無、休日や休暇等)
4 賃金に関する事項
5 退職に関する事項

こうした書面を渡さなければ

ならないので、

それならば、

これらのことを盛り込んだ

「雇用契約書」を作って

おいた方が無難です。

 

 

よく、

実務上は、

上記の内容を記載した

「雇用条件通知書」を

社員に渡すという方法が

とられている場合が

あります。

 

 

それでも良いのですが、

やはり以下の理由で、

「雇用契約書」にして

おいた方がより

良いと考えます。

 

 

 

理由2)会社のルールの周知徹底

「雇用契約書」には、

上記の労働条件の明示以外に、

社員が守るべき「服務規律」を

記載することがあります。

 

 

また、

「服務規律」のすべてを

「雇用契約書」に記載

するのが面倒だ、

という場合には、

「雇用契約書」の中に、

当社就業規則等に定める諸規則を遵守し、誠実に職責を遂行すること

という条項を入れる

こともできます。

 

 

雇用契約書と一緒に、

会社の就業規則の写し

などもその社員に

交付すれば、

社員が守るべき

「服務規律」を社員に

知らせることができます。

 

 

それ以外にも、

就業規則には、

もし社員がルールに

違反した場合の「懲戒規定」

なども定められています。

 

 

これらも含めて、

社員が守るべき会社のルールを、

新入社員に周知徹底

することができる、

というメリットが

あるわけです。

 

 

 

理由3)自覚を持たせてトラブル予防に

「雇用契約書」というのは、

会社と社員双方が

の内容を理解した上で、

調印するものです。

 

 

この点が、

会社が一方的に渡す

「雇用条件通知書」との

違いです。

 

 

いわば、

社員も就業規則上の

ルールも含めて、

その内容をある程度

理解した上でサイン

するわけです。

 

 

そこで、

新入社員には、

この会社の社員になるということ、

社内のルールを守るべき

ことについて、

自覚を持たせる、

という意味があります。

 

 

入社時に、

社員にこうした自覚を

持たせることで、

間接的に将来の社員との間の

トラブルを予防することにも

つながります。

 

 

 

 

 

 

 

あらかじめ用意しておいた方がよい書面とは?

このように、

「雇用契約書」を作った方が

メリットは大きいわけですが、

社員が入社するにあたり、

「雇用契約書」を作らない

という会社も少なくありません。

 

 

その理由の1つとしては

いちいち「雇用契約書」を作成して、

サインしてもらうという

手続きが面倒だ、

ということがあるかも

知れません。

 

 

この点、

その会社の「雇用契約書」の

フォーマットをあらかじめ

用意しておけば、

それほど面倒だということは

ありません。

 

 

また、

社員に秘密保持の義務を

課すときには、

別途秘密保持の「誓約書」を

書いてもらうこともありますが、

こうした書類も、

あらかじめフォーマットを

用意しておいた方が

良いでしょう。

 

 

取引先との契約書

などもそうですが、

そうした何度も使うことが

予想される契約書面は、

あらかじめフォーマットを

作って用意しておかれることを

お勧めします。

 

 

一度、

「雇用契約書」も含めて、

自社の契約書類の整備を

検討された方が

良いと思います。

 

 

こうした契約書の作成や

内容チェックのご相談も

承っております。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

 

 

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活動ダイジェスト

昨日は、午前中は自宅で仕事。
お昼過ぎに、家族で近所のくら寿司へ。
くら寿司のラーメンを初めて食べました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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