顧客からの過度のクレームなどのカスタマーハラスメント、
すなわちカスハラが今社会問題となっています。
それに関して、最近、任天堂が利用規約を改定して
カスハラ対策を盛り込んだとの報道がありました。
今日は、利用規約を使ったカスハラ撃退法について
お話したいと思います(^ ^)
(沖縄の美ら海水族館にて)
<毎日更新531日目>
任天堂が利用規約を改定して、「カスタマーハラスメントについて」
という新たな項目を追加するとの発表がなされました。
報道によれば、任天堂の新たな規定で、同社製品のアフターサービスを
客が希望した際、
と明記したとのこと。
そして、その具体的な例として、次の7つを例示しました。
その上で、こうしたカスハラ被害があった場合、
製品の交換や修理に応じないケースもあるとし、
悪質な客には警察や弁護士に相談のうえ、
「適切な対処をさせていただきます」としています。
顧客からの度を超えたクレームや、ひどい苦情や暴言などを、
カスタマーハラスメント、すなわちカスハラと言います。
カスハラとは、簡単に言えば、広く顧客からの嫌がらせを意味する言葉。
具体的には、暴言、脅迫、長時間の拘束、同じ苦情の繰り返し行為
などをさします。
現在カスハラは社会問題になっており、厚労省が対応マニュアル
を作成したほど。
コロナ禍で社会的に不安が高まり、人々のストレスの高まりが、
このようなカスハラ増加の背景にあるようです。
企業としても、カスハラを放置するわけには
行きません。
カスハラでは、主に会社の従業員が被害を受けるケースが
多いわけですが、会社は、従業員の労働環境などに配慮する
安全配慮義務を負っています。
そして、この安全配慮義務の一環として、カスハラを防止する
法律上の義務を負っています。
この度任天堂がとった手段は、利用規約でカスハラの例示を規定し、
そうしたカスハラ行為があった場合には、その顧客との取引を拒否する
ことができるという利用規約の改定を行ったというものです。
会社が定める利用規約は、民法上の定型約款の要件を満たす場合には、
それが会社と顧客との間の一定のルールとして法的な効力を持ちます。
ですから、利用規約を用いてこうしたカスハラ対策を規定した任天堂
の手法は、ある意味画期的と言えるでしょう。
ただ、利用規約が民法上の定型約款として効力を生じるためには、
以下の要件を満たす必要があります。
すなわち、
1.定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき
2.定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき
という要件が必要です。
さらに、
定型約款の条項が相手方の権利を制限、又は相手方の義務を加重し、 かつ
その定型取引の態様・実情・取引上の社会通念に照らして、条項が相手方の利益を一方的に害するもの
である場合には、定型約款としての効力が生じない
とされています。
利用規約や定型約款についての詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
⏬⏬⏬
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
ただ、カスハラ対策を利用規約に規定するのはよい方法ですが、
せっかく規定を作っても、民法上の定型約款の要件を
満たしていないと、効力がなくなってしまいます。
ですから、カスハラ対策で利用規約の改定を検討する場合には、
必ず弁護士など専門家に法的な面をチェックしてもらった
方が良いでしょう。
もしご相談をご希望の場合は、下記よりお問合せをいただければと思います。
⏬⏬⏬
下記の関連動画もご覧ください!
最新動画
今回は、イノダコーヒーというところの事業承継の事例を参考にしながら、中小企業のM&Aの問題についてお話ししています。
活動ダイジェスト
住所 | 150-0031 東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階 マップを見る |
---|---|
受付時間 | 【平日】9:30〜18:00 【土曜日】9:30〜12:00 |
Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。