借地権付き建物を
購入したけれども、
実は敷地に
土壌汚染があった。
この場合、
地主との関係で、
借地契約が終了する際の
原状回復の場面で、
土壌汚染の浄化で莫大な
費用がかかることが
ありますので、
注意が必要です。
(今日の「棒人間」 土壌汚染の浄化作業は大変??)
<毎日更新1002日目>
会社経営者であるA社長は、
B社から、
借地権が付いた建物を
購入しようとしていました。
この建物は、
長らく工場として利用
されていたのですが、
この度B社が工場を閉鎖
することになったので、
割安な価格で売って
もらえることになったのです。
A社長としては、
このB社から購入した建物を、
倉庫や資材置き場として
使用したいと考えていました。
そして、
実際に使い始めて
しばらくしてからのこと。
この建物の敷地の土壌が、
環境省の定める環境基準値を
超える汚染があることが
発覚したのです。
幸い、
この土壌汚染は、
すぐに浄化工事をしなければ、
人体に有害な影響がある
というレベルではなく、
そのまま倉庫として使用する
分には問題がないようです。
おそらくこの借地権付き建物の
売主であるB社が長年
工場として使用し、
その影響で土壌の汚染が
進んだものと思われます。
A社長は、
弁護士に相談したところ、
もともとこの建物を倉庫や
資材置き場として使用する
目的で購入したこと、
汚染の程度は軽く、
人体に有害な影響がある
とはいえないことから、
B社に対して契約違反などの
責任を問うのは難しい
とのことでした。
A社長としては、
特に使い続けることに
支障はないし、
B社との関係が悪化する
ことも望まなかったので、
特になにもせずそのまま
使用し続けていました。
最近、このように、
購入した土地の
土壌汚染が原因で、
トラブルになるケースが
増えています。
借地契約というものは、
通常は何十年という
長期間にわたって
継続します。
特に、
高度経済成長期に
公害問題が社会問題として
深刻化する前は、
工場の敷地に工場排水を
垂れ流す行為や、
汚染物質を敷地内に
埋めるようなことが
行われていたことが
ありました。
その結果、
土壌汚染が存在したまま
借地契約が続いている
ことも珍しくありません。
この点、
借地権付き建物を購入する場合、
建物のほか、
敷地の借地権、
すなわち借地に関する
権利義務も売主である
前賃借人から受け継ぐ
ことになります。
すなわち、
売主はもともと敷地
について地主との間で
借地契約を結び、
土地を借りてそこに
工場を建てて操業
していたわけです。
その借地権付き建物を
購入するということは、
買主は地主との関係では、
売主が地主との間で
結んでいた借地契約上の
権利義務を引き継ぐ、
ということになります。
ここで問題となるのが、
もし借地権が期間の満了や
中途解約によって契約終了
となる場合です。
この場合、借主は、
地主に対して、
借りた土地の「原状回復」
をして地主に土地を
返さなければいけない義務
があります。
これは、
上記のように、
借地権付き建物を購入して、
売主から土地の賃借人の
地位を受け継いだ買主も
当然に同じ義務を負う
ことになります。
この、契約終了の場合の
「原状回復」義務とは、
借地契約の終了時に、
賃借物である土地を
借りてから生じた損傷を
回復する義務のことです。
わかりやすく言えば、
地主から借りた土地を、
元の借主(借地権付き建物の売主)が
借りる前の状態に戻して返す、
ということを意味します。
具体的には、
もし土壌汚染があれば、
地主から土地の浄化工事
を求められ、
そのために莫大な費用が
かかる可能性があります。
このように、
借地権付き建物を
購入した後になって、
敷地の土壌汚染が
発覚した場合、
将来この敷地を
地主に返す際に、
土壌汚染の浄化工事などの
負担を地主から求められる
というリスクがあります。
上記で述べたとおり、
売主(前賃借人)から借地権を
受け継いだ買主(新賃借人)は、
前の賃借人が負っていた
原状回復義務も引き継ぐ
ことになるわけです。
こうしたリスクを計算に入れないで、
安易に借地権付き建物を
購入するのは大きなリスクがあり、
場合によっては原状回復の
範囲を巡って地主との
トラブルになり、
最悪は「裁判沙汰」に
陥る危険があります。
この点、
私のミッションは、
ということ。
原状回復をめぐる
地主とのトラブルや
「裁判沙汰」を
避けるためには、
まず、借地権付き建物を
購入する前によく調査を
することが欠かせません。
具体的には、
まず、前の賃借人(売主)が
敷地の賃借を始めてから
現在までの土地の
利用状況などを確認
すべきです。
その上で、
前の賃借人がもし工場
などとして利用していた
場合には、
その土地に土壌汚染が
存在しないかどうかを
きちんと調査した上で
購入すべきでしょう。
このように、
土壌汚染のある土地は、
すぐに問題にならなかったとしても、
借地の原状回復の場面で
モメごとになる可能性
があるので、
注意が必要です。
それでは、
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。