
世の中
社員の副業がブームとなっていますが
会社の業務と競業する社員の副業を
会社は制限することができるのでしょうか?
また
社員が退職した後は
どうなるのでしょうか?
最近
何かとご相談をいただくことが
多い問題です。
(今日の「棒人間」 二足の草鞋を履く??)
<毎日更新1378日目>
世の中
社員の副業ブームが続いています。
働き方改革の一環で
政府が社員の副業を奨励している
部分もあります。
さらに
インターネットの発達で
個人が比較的簡単に副業が
できるようになりました。
タイミーなどを利用すれば
隙間バイトもやりやすくなりました。
ただ
会社にとっては
社員が無制限に副業をやられてしまうと
不利益を被る部分があります。
極端な例ですが
社員が夜中にコンビニでアルバイトをして
翌朝の始業時間に遅刻した。
業務時間中に
副業の疲れが出て居眠りをしている
などという状況では困ります。
さらに
社員が会社の業務と同種の副業をする
いわゆる競業行為を行う場合も
社員の副業によって会社の利益が
害される場合があります。
そこで
会社としては
社員の副業を禁止したいと
考えるかも知れません。
しかし
基本的に社員の勤務時間以外の時間は
社員の自由時間です。
そして
社員がその自由時間をどう過ごすかは
社員の自由なわけです。
ですから
会社が社員の副業を一切禁止
してしまうことはできない
とされています。
ただ
さりとて
社員の副業をまったく自由にしてしまっては
上記のような会社にとっての弊害もあります。
そこで
裁判例では
社員の副業について
会社の許可制とすることは許される
としています。
許可制とは言っても
実際には不許可とする場合は制限されていて
次のような場合以外は
許可しなければならない
とされています。
すなわち
会社が副業を制限できるのは
などに限られるとされています。
ここで
上記の③の
社員が会社の業務と競業する副業を
行う場合が問題となります。
たとえば
不動産業を営むある会社の社員が
副業で同じく不動産業を
行なったという場合。
この社員は
いわば会社の業務で
得た情報などを使って
自分の副業で利益を得ることに
なります。
そうなると
本来は会社の利益になるべきものが
社員の副業による
個人的利益になってしまう
という事態も考えられます。
そうすると
社員の副業によって
会社の利益が害される
ことになります。
この点
社員は
会社との雇用契約の存続中
信義則に基づく付随義務として
競業避止義務を負うとされています。
競業避止義務というのは
要するに会社と競業する業務を
社員個人が行ってはならない義務
という意味です。
ですから
この場合
会社は上記のように
副業を会社の許可制とし
会社と競業する副業については
許可を与えない
という処置をとることが
できるわけです。
それでは
社員の退職後はどうでしょうか?
社員が退職した後は
もう「副業」とは言いませんね。
むしろ
この場面は
社員が会社と競業する事業で独立起業
する場合によく問題となります。
この辺のことは
先日ブログに書きました。
社員が退職して独立起業、「競業避止義務違反」に問えないのか?
社員の退職後でも
個別に誓約書などを書かせて合意すれば
一応競業避止義務を課すことはできます。
しかし
退職後は
社員の「職業選択の自由」の
問題が出てきます。
ですから
あまり過度な制約を課した
競業避止義務の合意は
公序良俗違反で無効と
されるおそれがあります。
具体的には
地域と期間の制限が
問題となります。
まず
競業を禁止する地域ですが
日本全国とか
関東地方一円などといった
範囲では広すぎるでしょう。
微妙なところですが
同一の市区町村やその近隣程度
としておいた方が無難でしょう。
また
期間ですが
かつては禁止期間を2〜3年程度とする
ものも有効とされていましたが
昨今では
むしろ社員の「職業選択の自由」を
重視する傾向が強まっています。
最近では
期間を1年未満とする「競業避止義務」
の合意でも無効とされる裁判例が
出ていますので
注意が必要です。
このように
社員の副業について
会社と競業する業務については
社員の在職中はある程度
制限を課すことが可能です。
しかし
社員の退職後は
今の流れではあまり厳しい義務を
課すことができない傾向に
ありますので
注意が必要です。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
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中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。