
契約期間の満了の一定期間前までに
申し出がない限り
契約は自動的に更新されるという
「自動更新条項」が契約書に
入っていることがあります。
事業者である以上
後で「自動更新条項」を
知らなかったと主張することは
基本的には許されません。
(今日の「棒人間」 いつの間にか更新されてた??)
<毎日更新1534日目>
オタクとの契約だけど、今月末で期間満了なので、取引を終了したいんですけど。
いやいや、契約書に、期間満了の3ヶ月前までに申し出がない限り、契約は自動で更新されると書いてます。なので今回は契約更新となります。
そ、そんな契約書の条項、初めて知ったんだけど・・・。
A社はコピー機をB社から
5年間のリース契約で導入しました。
契約期間満了の直前に
A社はB社との契約をやめて
他社との新たなリース契約を
締結しようと考えました。
そこで
A社はB社に対し
契約期間の満了で取引を
終了しますと連絡しました。
ところが
実はB社とのリース契約の契約書には
次のような条項がありました。
本件契約の有効期間は、2020年8月1日から5年間とする。ただし、期間満了の3ヶ月前までに、甲及び乙のいずれからも契約を終了する旨の書面による申出がなされない場合は、同一条件にてさらに1年間延長されるものとし、以後も同様とする。
A社がB社に対して
取引の終了の連絡をしたのは
期間満了のわずか半月前でした。
B社は
この契約書の条項を理由に
契約はさらに1年間延長された
と主張しています。
A社としては
期間の満了でB社との取引を終了
させることはできないのでしょうか?
上記のB社との取引における契約書
のような条項のことを
「自動更新条項」と言います。
契約書にこうした「自動更新条項」
を入れる理由としては
契約関係を一定期間継続させて
事業運営の安定を図ることや
毎回更新の度に契約書の取り交わし
を行うのは事務的負担が大きい
ことなどがあります。
ここで注意しなければならないのは
「自動更新条項」においては
上記のB社とのリース契約書のように
期間満了前の何ヶ月前までに
更新しない旨を相手方に伝えない限り
自動的に契約が更新されて
しまうということです。
よく問題となるのは
上記のA社のように
契約書にこうした「自動更新条項」が
規定されているとは知らなかった
という場合です。
そのため
A社のように3ヶ月前までに契約を
更新しない旨を伝えることができなかった
という言い分は通用するのでしょうか。
残念ながら
少なくとも事業者間の取引においては
契約書に「自動更新条項」があるとは
知らなかったという言い分は
基本的に通用しません。
事業者が契約を結ぶ以上
当事者がその契約内容を理解
していなかったでは済まされない
という考慮があるためです。
ただし
裁判例では例外的にこの事業者間の契約
における「自動更新条項」が無効である
と判断されたケースがあります。
具体的には
広告会社の無料求人広告が
契約の自動更新後に有料契約に移行する
ことを説明しなかったことなどについて
詐欺にあたる
あるいは契約が公序良俗違反ということで
取り消しや無効が認められたものがあります。
しかしながら
こうした裁判例はあくまでレアケース
例外的な事例と考えた方が良いでしょう。
基本的には
契約書に「自動更新条項」がついている場合
当事者はそれに拘束される
というのが原則です。
大切なことは
契約を結ぶ際に
こうした「自動更新条項」が付けられている
ということをきちんと確認すること。
そして
契約の期間満了の時期が近づいたら
「自動更新条項」で定められた期間内に
契約の拒絶を行うかどうかを
判断することです。
もし取引相手と契約をするときに
不安がある場合には
弁護士に契約書のリーガルチェックを
依頼するという方法もあります。
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いずれにしても
「知らなかった」では
済まされないのが契約の世界。
「契約書をチェックする」という
基本に立ち返ることが
トラブル回避の第一歩です。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。