
ここ数年で
不動産の賃料増額に関する
トラブルが増えています。
中には
いきなり家賃を2倍にすることを
求められるケースも。
貸主の賃料増額請求に
借主としてはどう対処したら
よいのでしょうか?
(今日の「棒人間」 2倍を要求する人?)
<毎日更新1581日目>
すいませんけど、来月から家賃2倍にさせていただきます。
に、2倍??急にそんな・・・。
今は地価が高騰してるんだから当然です。嫌なら出て行ってもらいます!
都心の地価上昇などの影響を受けて
不動産賃貸借のトラブルも
多くなっています。
特に最近多いのが
いわゆる賃料増額に関する
トラブルです。
具体的には
地価の高騰を背景に
貸主が借主に家賃の増額を請求する。
中には
一方的に家賃の値上げを宣言して
嫌なら出て行くように借主に
迫るケースもあります。
ひどい例では
突然「家賃2倍払え」などと言われる
場合もあるようです。
ただ
貸主からそう言われると
やはり家賃は上げなければいけないのか?
もし貸主の要求額に応じられなければ
賃貸借契約を解消して
出ていかなければならないのか?
いろいろ不安に感じる借主さんは
少なくないと思います。
それでは
この辺の法律的なところは
どうなっているのか
見てみましょう。
まず、貸主が
貸している物件について
家賃の値上げをするには
次ような手続きが必要です。
貸主が
家賃の増額請求ができる場合について
借地借家法という法律で
次のように定めています。
土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき
ですから、まず
こうした状況がなければ
家賃の増額の請求はできない
ことになります。
では、逆に
貸主がこうした近隣の物件と
比較して、家賃が不相当になった
と判断した場合は
一方的に値上げができて
しまうのでしょうか?
この点
借地借家法の建て付けは
あくまで家賃の増額については、
貸主と借主という当事者間の協議
つまり話し合いによって決める
ことを前提にしています。
ですから
仮に貸主が家賃の増額を
求めたとしても
借主がそれに「No」と言った場合には
一方的に値上げをすることは
できないのです。
そして
貸主としては
当事者間で協議しても家賃の増額の
合意ができないときは
家賃の増額を求める調停なり
裁判なりを起こす必要があります。
その中で
貸主は
現在の家賃が近隣の物件等の相場と
比較して不相当である
ということ等を客観的に証明する
必要があります。
そんなわけで
貸主としては
家賃の値上げをしたいと思えば、
借主と話し合って合意するか
合意できなければ
調停や裁判といった手続きを
経る必要があるわけです。
ただし
貸主が実際に裁判を起こし
現行の家賃が近隣に
比較して不相当であり
貸主(大家)の賃料増額を認めるという
裁判所の判決が出てしまった場合。
この場合には
あとでさかのぼって差額を
支払わなければならなくなります。
ですから
近隣に比較して賃料が明らかに安い物件などは
この点の注意が必要でしょう。
それでは
こうした貸主からの賃料値上げの
要求があった場合
借主としては
どのように対処したら
良いのでしょうか?
この点
貸主が一方的に賃料を
値上げできないことは
上記で述べたとおりです。
ですから
いくら貸主が言っているからといって
その通りに賃料値上げに応じなければ
ならないということではありません。
ましてや
貸主の要求に応じられなければ
賃貸借契約を解除して
出ていかなければならない
ということもありません。
この点は重要なので
ぜひ押さえておいてください。
ここでは
貸主の要求にただ従うというのではなく
まず今の賃料が妥当かどうかを
調査する必要があります。
そして
仮に今の賃料が不相当だったとしても
どの程度の賃料値上げに応じるべきか
貸主との交渉が必要になります。
もしご自身での調査や
交渉が難しいという場合は
弁護士に相談することも
検討すべきでしょうね。
いずれにしても
不動産賃貸借についての
法律知識がないばかりに
貸主側の一方的な要求が
通ってしまうのは
あまりにも理不尽です。
この辺は
ある程度ポイントを押さえて
おくことをお勧めします。
それでは
今日のダジャレを1つ。
突然「家賃が2倍だ」と言われたら、「倍返しだ!」と返しましょう。
それでは
また。
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今回は、「業務委託契約でも「雇用契約」と判断される!?経営者が知っておくべきリスクとは」というテーマでお話ししています。
活動ダイジェスト
キャンプで使っているラージメスティンで、手羽先の蒸し焼きを作ってみました。パパ友に教わったレシピで、簡単にできるおつまみで美味しかったです。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。