中小零細企業の現実として、
取引相手が用意した契約書を、
あまりチェックしないで
サインしてしまう、
というケースが少なくありません。
しかし、どんな企業も、
必ず自社が一番有利になる契約内容
を作るものです。
ノーチェックでサインしてしまうと、
あなたの会社にとって大きなリスクが
潜んでいるかも知れません。
(そこは「注意」が必要?@福岡県八女市黒木町)
<毎日更新626日目>
先日、
顧問先のA社長から連絡がありました。
なんでも、
今度大手の企業から商品の製造委託の仕事を
受けたとのことで、
テンションが上がっています。
当然、この大手企業との間で、
商品の製造委託の取引基本契約書を
作ることになります。
こういう場合、
よくありがちなのが、
大手が契約書の案を用意してきて、
そこにこちらもサインするというもの。
こちらは大手と取引を開始できる、
ということで浮き足だっていますし、
まさか大手が用意する契約書に
間違いはなかろうと、
ろくにチェックもせずに
サインしてしまうケースがあります。
しかし、これは危険です。
試しに、
今回A社長が取引をする大手企業が
用意した契約書を見せてもらうことに
なりました。
すると、
次のような契約書の条項が目に止まります。
ここで、
もし仮にこちらの「責めに帰すべき事由」
によって、相手方である大手企業に
損害が発生した場合、その損害とは
具体的にどのようなものなのでしょうか?
実は、
「損害」というものは、
際限なく広がる可能性を持っています。
たとえば、
大手企業が大々的にCMを打って
ある新商品を販売するとします。
その新商品の製造をA社長の会社が
委託されて請け負った場合。
もしA社長の会社が作った製品に
不備があったとします。
今から作り直していては、
大手企業の新商品の発売日に
間に合わない。
そこで、
大手企業はコストを度外視して、
別の会社に急遽同じ商品の製造を
依頼します。
その結果、
A社長の会社が請け負った製造委託の代金は
数百万円程度でしたが、
大手企業から賠償請求される額は、
1億円に近い巨額の金額に上る
可能性があります。
そうなると、
下手をすれば中小零細企業は一発で
倒産の危機に追い込まれてしまいます。
それでは、
こんなときはどうしたら良いか?
それは、
基本契約書の条項で、
賠償すべき損害の範囲を一定に
抑えるような条項を作るように
求めることです。
例えば、
というように、
賠償額の上限額を設けるパターン。
あるいは、
これは、
相手方が「直接かつ現実に被った損害」に
賠償範囲を制限するもので、
間接的なものや派生的な損害などは
除外するという定めです。
こうした条項を入れておくことで、
突然巨額の賠償請求を受けるリスクを
相当程度軽減できます。
とはいえ、
契約書の内容というものは、
その取引相手との間の力関係が
大きく影響するのも事実です。
当然大手企業も、
できるだけ自社に有利な内容の
契約書を用意してきます。
それに対して、
こちらの要求通りに契約書の内容を
訂正してもらうことが難しい場合も
あるでしょう。
しかし、
こうした損害賠償額を制限する
条項の有無は、ときに会社の存亡を
左右するくらい重要な問題です。
ですから、
やはり訂正を求めて粘り強く交渉
することが大切でしょう。
そして、
最終的には経営判断の問題にはなりますが、
どうしてもこちらの要求がまったく
聞き入れてもらえない、
という場合には、残念ながら
今回の取引を見送る、という判断が
必要になる場合もあろうかと思われます。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
中小零細企業の現実として、
取引相手が用意した契約書を、
あまりチェックしないでサイン
してしまう、というケースが
少なくありません。
相手が大手企業だったりすると、
テンションも上がって、
なおさらそうした脇が甘くなって
しまいがち。
しかし、
どんな企業も、
必ず自社が一番有利になる
契約内容を作ります。
逆に言えば、
それはあなたの会社にとって決定的に
不利な条項が含まれていたりする
可能性もあるのです。
というわけで、
重要な契約書などについては、
必ず弁護士のリーガルチェックを
受けるようにしてくださいね。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。