
私生活上で
社員が会社の企業秘密を
うっかり漏らしてしまう
ということは現実に
あり得ることです。
このような場合
会社としてはどのように
対処したら良いのでしょうか?
(今日の「棒人間」 企業秘密がBBQで丸焼けに??)
<毎日更新1582日目>
A株式会社の入社10年目の
社員であるXさん。
先週
共通の趣味をもつ仲間で
BBQをしていました。
その席で
お酒も入り
すっかり気持ちよくなって
しまったXさん。
そこに参加していた
仲の良いYさんに対して
ついうっかり
という話をしてしましました。
ところが
そのYさんは
実はXさんが勤めるA社とは
競合他社であるB社の社員だったのです。
Yさんが
Xさんからこのとき聞いた話を
勤務先であるB社に報告したか
どうかは定かではありません。
しかし
今回のXさんの情報漏洩行為は
A社に大きな損害を与える
可能性があります。
さて
こうした事実が発覚した場合
A社としては
まずどのような対応を
とるべきでしょうか?
たとえ現時点でA社に実害が
発生していないとはいえ
安易に企業秘密を競合他社の社員に
漏らしたXさんの行為は
重大ではあります。
そこで
法的な観点では
まずA社としては
自社の就業規則の懲戒規定の内容を
確認するのが出発点となります。
たとえプライベートな場に
おける発言であっても
Xさんの行為は
一般的には就業規則の懲戒事由に
あたる可能性が高いでしょう。
その上で
A社としては
当の本人であるXさんに対する
詳細なヒアリングを行います。
具体的に
当時のXさんの正確な発言内容や
相手の立場等を聞き取り
事実関係を正確に
把握することが重要です。
そして
最終的には
A社の就業規則に基づき
Xさんに対する懲戒処分を検討します。
懲戒処分には
一般的に
軽い順に戒告、けん責、減給
出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇
などいくつかの種類があります。
社員に懲戒処分を行う際には
いわゆる「比例原則」というものが
考慮されなければなりません。
「比例原則」というのは
簡単に言えば、
という原則。
要するに
社員の行った行為と
科される懲戒処分のバランスが
保たれている必要があります。
今回の件では
少なくともA社に実害が発生していない以上
諭旨解雇や懲戒解雇は難しいと考えます。
さて
それでは
A社としては
具体的に今回の件でXさんに
どう接していったら
良いのでしょうか?
この手の問題は
一歩間違えると社員とのトラブルや
「裁判沙汰」の種になりますので
注意が必要です。
まず
Xさんに対して何らかの
懲戒処分を科す場合です。
この場合には
やはりXさんに対する
丁寧な説明が重要になります。
具体的には
今回のXさんの行為の重大性
Xさんに対する処分はA社の
就業規則に則っていること
処分に至った理由
そして再発防止の重要性
などについての説明です。
ここが重要でして
あくまで感情的にならずに
会社のルールに基づいた対応
であることをXさんに伝えます。
そして
これと並行して
Xさんに対し
Xさん自身の行為について
弁明する機会を与えることです。
曲がりなりにも
社員に懲戒処分を科す場合には
こうしたある種適正な
プロセスは重要です。
これにより
会社の一方的な処分ではないことを示し
Xさんの納得を得やすくなるでしょう。
さらに
懲戒処分を科した後も
Xさんに対して今後の情報管理や
行動について指導・助言を
行うことも重要です。
ここでは
問題を起こした社員に
単なる罰を与えるだけではなく
Xさんの成長を支援する
姿勢を見せることは
何より再発防止のためにも重要です。
どうでしょうか?
今回のような事例は
決して絵空事ではなく
結構現実に起こり得る話です。
企業秘密を守るための対策は
今やどの会社にとっても重要です。
今回は
起こってしまった情報漏洩トラブルへの
会社の対処法についてお話ししました。
明日は
そもそもこうした社員による
情報漏洩問題をなるべく
予防するにはどうしたら良いか?
その観点からお話しします。
それでは
今日のダジャレを1つ。
BBQで社員がうっかり発言、企業秘密が丸焼けに??
それでは
また。
◼️新作note(有料記事)「ファン付き作業着は義務?」知らなきゃ大損!夏の熱中症対策、会社がすべきこと
◾️裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール
◾️あなたの会社のトラブルを予防します〜あんしん法務ガード(顧問契約)
◼️「裁判沙汰」を予防する、契約書作成・リーガルチェックサービス
◾️【無料】セルフマガジン『裁判しないで解決する方法』の無料送付
◾️YouTube(渋谷の弁護士・吉田悌一郎の中小企業ビジネス法務チャンネル)
最新動画
今回は、「業務委託契約でも「雇用契約」と判断される!?経営者が知っておくべきリスクとは」というテーマでお話ししています。
活動ダイジェスト
住所 | 150-0031 東京都渋谷区桜丘町4番23号渋谷桜丘ビル8階 マップを見る |
---|---|
受付時間 | 【平日】9:30〜18:00 【土曜日】9:30〜12:00 |
Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。