
「侮辱罪」という地味な刑罰の法定刑が
数年前に引き上げられました。
「侮辱罪」はネット上の誹謗中傷や
カスハラ被害に対する一定の
抑止力になるのでしょうか?
(今日の「棒人間」 それって侮辱罪??)
<毎日更新1602日目>
個人投資家でインフルエンサーの田端信太郎氏を
侮辱罪の疑いで東京地検に書類送検した
との報道がありました。
“モノ言う株主”「趣味は炎上」のインフルエンサー田端信太郎がメルカリ社員をSNSで侮辱した疑いで書類送検…被害者は複数? 本人を直撃すると「事実です」
田端氏は
有名企業の役員を務め
株価や仕事論などの情報を
発信するインフルエンサー。
他方で
「モノ言う株主」として活動し
「趣味は炎上」と名乗っているとか。
過去には
実際に行き過ぎた投稿内容で炎上をしており
取締役を解任されたこともあるそうです。
その田端氏が今回
メルカリについて自身のSNS上で
などと発言したとのことです。
被害者は今年の4月に
侮辱罪に当たるということで
麻布署に告訴状を出し
受理されたとのこと。
メルカリ側は今回
とコメントしているそうです。
この「侮辱罪」というのは
刑法231条で規定されています。
公然と人を侮辱した場合
と規定されています。
ここで言う「侮辱」とは
簡単に言えば
公然と人を軽蔑する行為のことをさします。
公然と「バカ」とか「アホ」などと
言うことがその典型例とされています。
実は
この侮辱罪は
約3年前に刑法が改正されて
それまでの「拘留又は科料」から
上記のように法定刑が引き上げられました。
侮辱罪の法定刑が引き上げられた背景は
主にインターネット上の誹謗中傷の
増加と悪質化があります。
SNSなど
個人が情報発信できる場が増えたこともあり
無責任な誹謗中傷などが横行しました。
これにより
深刻な被害が生じるケースもあり
またこの問題に対する社会の
関心の高まりもありました。
この点
法務省で
「侮辱罪の事例集」というものを
公表しています。
これを見ますと
侮辱罪に該当するとされた事例や
実際の処分内容などが書かれています。
この事例集の中で
たとえば
などの投稿が目につきました。
これらの侮辱罪の事例は
いわゆる「カスハラ」が
疑われるケースです。
「カスハラ」とは
カスタマーハラスメントの略で
いわゆる顧客による嫌がらせ行為
のことを言います。
確かに
カスハラ被害は
加害者から誹謗中傷されたり
人格否定の言葉を投げつけられたり
するケースがあります。
私は何も
刑罰をどんどん厳罰化すれば良い
とは思っていません。
また
侮辱罪というのは
一種の「表現行為」を罰するものですから
憲法で保障された表現の自由との
関係も難しい問題があります。
ただ
「侮辱罪」という地味な刑罰が
今社会問題となっているカスハラ被害
に対する一定の抑止力になっている
ことも事実かと思います。
インターネット上での発言は
ついつい過激になりがち
という特徴があります。
誹謗中傷やカスハラ被害を防止するためには
やはり一定の抑止力も必要な
場合はあるでしょう。
ネット上の情報発信に限りませんが
その辺は節度を持って行いたいものですね。
それでは
また。
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中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。