マンション管理会社の紹介で
マンションの外壁工事を行なった建設会社。
工事代金の支払いを
マンション管理組合に請求すると
すでに管理会社との契約は
解除したので支払えないとの回答。
果たしてこの建設会社は
工事代金を誰に請求したら
良いのでしょうか?

(今日の「棒人間」 払わないと開き直る人??)
<毎日更新1633日目>
先日
私の顧問先のお客様である建設会社のA社長より
ご相談をいただきました。

実は、とあるマンションの管理会社から紹介を受けて、そのマンションの外壁工事をうちでやったのです。

なるほど、マンションの外壁工事ですね。

で、工事完了後に、そのマンションの管理組合に、工事代金の請求書を送ったんですよ。

なるほど、それで、どうなりました?

ところが、その管理組合が、なんとうちにこの仕事を紹介したそのマンション管理会社との間の管理契約を1ヶ月前に解除しているので、代金は払えないとか言うのです。

なんと・・・。

うちとしては、工事をした後になって代金を払ってもらえないのは非常に困ります。これ、何とかなりませんか?

そうですね、今回のケースですと、マンションの外壁工事の契約は、あくまで御社とマンションの管理組合との間で締結されています。

そうですよね。でも、管理組合としては、管理会社との契約を解除したので払えない、の一点張りなんです。

マンションの管理会社は、あくまで御社に仕事の紹介をしたに過ぎません。管理組合が管理会社との契約を解除したかどうかは、御社との間の工事契約には関係のない話です。

よかった!やっぱりそうですよね。それで、今後どうしたら良いでしょう?

私が御社の代理人として、マンションの管理組合と交渉しましょう。それでもダメなら、裁判も視野に入れた方が良いかも知れません。

ありがとうございます!助かります。
とあるマンションの管理会社から紹介を受ける形で
A社長の会社はマンションの
外壁工事を実施しました。
しかし
工事代金を請求したところ
マンションの管理組合から
管理会社との契約をすでに解除したので
代金は支払えないと拒否されてしまいます。
まず
この場合
A社長の会社は
いったい誰と契約したのでしょうか?
この点は
A社長の会社は
マンションの管理会社から
仕事の紹介を受けたものの
あくまで契約の相手方はマンションの
管理組合ということになります。
マンションの管理組合というのは
建物の区分所有法という法律によって
マンションの外壁など
共用部分の管理を行う主体です。
ですから
この場合
A社長の会社は
あくまで
マンションの管理組合との間で
外壁工事の請負契約を締結した
ということになります。
発注者が管理組合
受注者がA社長の会社
という形になります。
ですから
A社長の会社としては
契約の相手方であるマンション管理組合に対し
工事代金の支払いを請求することができる
という結論になります。
なお
マンションの管理組合が
1ヶ月前にマンション管理会社との
管理契約を解除していたという事情は
あくまで管理組合と管理会社
との間の問題です。
工事の受注者である
A社長の会社には関係ない
ということになります。
そこで
A社長の会社としては
あくまでマンションの管理組合に対して
外壁工事の代金を請求することになります。
ところが
上記のとおり
管理組合は
管理会社との契約解除を理由に
工事代金の支払いを拒否しています。
このような場合
次の問題として
A社長の会社は
マンションの管理組合に対して裁判を
起こすことはできるのでしょうか?
この点
マンションの管理組合というのは
簡単に言えば
各マンションの区分所有者の
代理人のような立場になります。
そして
上記のとおり
マンションの共用部分に関して
管理権限を持っています。
さらに
マンションの管理組合が
法人ではなかったとしても
管理組合自体を相手に裁判を
起こすことができるとされています。
具体的には
管理組合の代表者または
管理者が決まっていれば
法人でなくとも民事裁判の
当事者となることができるのです。
ですから
管理組合側があくまでも
支払いを拒否した場合には
A社長の会社としては
管理組合を相手に工事代金の支払いを
求める裁判を起こすことができる
という結論になります。
実際には
マンションの管理組合の場合
契約している管理会社が主導して
外壁など共用部分の修繕が
行われることが多いでしょう。
その場合
工事を行う業者も管理会社が
紹介することが行われています。
そのような場合
冒頭の事例のように
時として工事契約の主体が誰なのかが
曖昧になることがあります。
しかし
マンションの場合はあくまで
管理組合が当事者であり
また裁判も可能であることは
覚えておかれた方が良いでしょうね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。