「うちは固定残業代制度を
入れているから大丈夫です」
そう安心している社長ほど
実は見落としている
ポイントがあります。
制度の理解を誤ると
逆に「多額の未払残業代」という
リスクを抱えることになりかねません。

(今日の「棒人間」 見落としがちなリスク??)
<毎日更新1801日目>
中小企業では
社員の「残業代」に頭を悩ませて
いる会社もあるでしょう。
労働基準法では
会社が労働時間を延長させたり
休日労働をさせたような場合には
割増賃金(残業代)を支払わなければ
ならないと規定されています。
この点
日々の残業代の支払いの代わりに
「固定残業代制度」を導入
している会社があります。
これは
いわば一定の残業時間を見込んで
その分を毎月の給料に上乗せして
定額の残業代として支払う
というものです。
時々

我が社は「固定残業代制度」をとっているので、安心ですよ。
とおっしゃる社長がいます。
ところが
この「固定残業代制度」は
制度をきちんと理解していないと
会社にとって思わぬリスク
となることがあります。
どういうことか
ちょっと具体例で
考えてみましょう。
たとえば
ある会社で基本給が月額20万円
であったとして
あらかじめ会社と社員との
合意に基づいて
1ヶ月15時間の残業を
見込んだとします。
この15時間分の割増賃金
(残業代)として
5万円を基本給にプラスして
支払っていたような場合です。
この5万円がいわゆる
「固定残業代」ということに
なります。
このケースで
実際の残業時間が
約束どおり月15時間以内で
収まっている場合には、
あまり問題となることはありません。
ところが
実際の残業時間が月に15時間を
超えてしまったような場合は
そもそもこのような固定残業代制度が
有効なのかどうか、
争いになることがあります。

この点
固定残業代制度が有効となるための
要件を示した最高裁の判例があります。
それによると、
固定残業代制度が有効
となるためには
① 会社と労働者の間で、基本給(上記の例でいえば25万円)のうち、割増賃金に当たる部分(上記の例で15時間分の残業代5万円の部分)が明確に区別されて合意されていること
② 実際の残業代の額が、固定残業代の額を上回るとき(上記の例で、実際の残業時間が15時間を超えるとき)は、その差額(実際の残業時間の残業代と、あらかじめ定めた15時間分の残業代の5万円との差額)を支払うことが合意されていること
が必要だとされています。
上記の例で考えますと
要するに
会社と社員との間で,上記の20万円の基本給と明確に区分されて,あらかじめ15時間の残業時間を見込んだ残業代5万円を基本給に組み込んで支払うということが合意されていること,
しかも,もし実際の労働時間があらかじめ予定していた15時間を超えた場合には,その超えた部分の残業代をさらに追加して支払うということが合意されていなければならない
ということです。
上記の例で
仮に月の残業時間が
15時間を超えて
18時間だったと
仮定しましょう。
この場合
上記の15時間分の残業代をあらかじめ
見込んだ固定残業代制度が有効であれば
あくまで基本給は20万円
として考えて
会社は残りの3時間分の残業代を
支払えば良いことになります。
ところが
この固定残業代制度がそもそも
無効であるということになると
基本給は20万円ではなく
25万円となってしまいます。
しかも
その25万円を残業代計算の
基礎として
残業時間の合計額である18時間
分の割増賃金(残業代)を支払わ
なければならなくなります。
ですから
会社にとっては
自社が定めたこの固定残業代制度が
法的に有効であるかどうかは
とても重要な問題なのです。

それでは
固定残業代制度を採用
する会社としては
どのような点に注意が
必要でしょうか?
この点
社員との間の雇用契約書や
労働条件通知書において
この固定残業代について
明記しておくことが大切です。
具体的には
下記のような記載を
入れておくべきと考えます。
要するに
割増賃金(残業代)に当たる部分
(5万円)が
15時間の残業代見込みの分で
あることをあらかじめ
明記しておく、ということです。
このような規定があれば
仮に後々裁判などで問題に
なった場合でも
上記の「明確に区分されて合意」
されていたことが相当程度証明
できることになるでしょう。
さらに上記の例で
実際の残業時間が予定していた
15時間を超えた場合には
超えた部分については追加して
残業代を支払わなければならない
ことは言うまでもありません。
このように
実は
固定残業代制度というのは
法律上の要件が結構厳しいのです。
ところが、世の中では
あらかじめ1ヶ月の残業代は
いくらと決めておき
実際に何時間残業しようが
予定していた残業代しか支払わ
ないといったようなケースが見られます。
このような
「定額働かせ放題」のシステムは
法的には認められませんので
注意が必要です。
それでは
また。
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中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。