タイムカードに打刻された時刻を
手書きで書き換える。
実はこれ
労務管理が甘い会社に
起きがちな現象です。
社員の労働時間
きちんと把握されていますか?

(今日の「棒人間」 書き換えで遅刻をごまかす??)
<毎日更新1816日目>
都内で建設会社を営むA社長から
先日ご相談を受けました。
A社長の会社で長年事務職を
担当している女性社員の
Bさんのお話。

いや〜、ちょっと困った問題が起きましてね。

A社長、どうされました?

うちの事務職員のBのことなんです。

ああ、Bさんですね。Bさんがどうされました?

お恥ずかしい話なんですが、Bがタイムカードに打刻された時刻を勝手に書き換えていた事実が発覚したんです。

タイムカードの記載をですか?

そうなんですよ。弊社は午前9時が始業時刻なんですが、どうも彼女はちょいちょい5分とか10分くらい遅れて出社していたようです。

なるほど、始業時刻に遅刻していたわけですね。

はい。その場合、タイムカードは実際に彼女が出社した時間、たとえば9時5分とか9時10分といった時刻が打刻されるわけです。

そうでしょうね。

しかし、彼女が後から、そのタイムカードに打刻された時間を二重線で消して、午前9時と手書きで書き直していたんですよ。

本当ですか?それはまた大胆ですね。

さらにお恥ずかしいお話しですが、社長の私がしばらくそれに気づかず、他の社員からのクレームでその事実が発覚したのです。

でも、たとえば経理の方が給与計算をする場合に、タイムカードが手書きで書き直されていたら不審に思うでしょう?

ところが、彼女にはうちの会社の事務的な仕事をすべて任せていて、社員の給与計算も彼女がやっていたのですよ。

う〜ん、な、なるほど・・・。
タイムカードに打刻された時刻を
勝手に手書きで書き換える。
かなり大胆な行為ですが
こうした行為は
法的に何が問題になるのでしょうか?
実は
こうした行為は
刑法上の犯罪になり得る問題です。
まず
タイムカードというものは
社員の労働時間を証明する
「私文書」にあたります。
そして
その「私文書」を虚偽の内容に
書き換えて使用した場合は
私文書偽造罪や偽造私文書行使罪
(3ヶ月以上5年以下の拘禁刑)が
成立する可能性があります。
また
タイムカードの書き換え
によって遅刻扱いを免れ
その時間分の賃金を不正に
取得した場合には
詐欺罪が成立する可能性があります。
これは
いわば会社を騙して
財産上の利益(減額されるはず
だった遅刻分の賃金)を
得ていることになるからです。
さらに
民事上は
この社員はタイムカードの書き換え
によって本来支払われる
べきでなかった賃金
すなわち不当利得を
受け取ったということになります。
そこで
不当利得として
その分の賃金を会社に義務が生じます。
また
雇用契約や会社の就業規則上も
当然問題になり得ます。
すなわち
こうした刑法上の犯罪に
なり得る行為を行って
会社に損害を与えていますので
就業規則で規定されているけん責や減給
あるいは場合によっては懲戒解雇などの
懲戒処分の対象になり得ます。
引き続き
A社長との会話です。

A社長、そもそも会社には社員の労働時間を把握する義務があるのですが、社長は御社の社員さんの労働時間をきちんと把握されてますか?

いや〜、本当にお恥ずかしい話、その辺は全部くだんのBに任せきりだったので・・・・。

そうですか。確かにBさんの行為は問題です。しかし、社長が社員の労働時間管理をすべてBさんに丸投げしてしまっていた。厳しい言い方ですが、それも今回のトラブルを招いた一因にはなっていますね。

そうですね、反省します・・・・。
法律上
会社には自社の社員の労働時間を
把握する義務があります。
ところが
実際には
自社の社員の労働時間を
きちんと記録や把握を
していない会社というのは
結構あります。
そして
だいたいそういう会社では
社員との間で労働時間や残業代を
めぐってトラブルになりがちです。
確かに
上記のBさんの行為は
許されるものではありません。
しかし
会社がもっと社員の労働時間をきちんと
把握する体制を作っていれば
彼女もここまで大胆な行動には
出られなかったでしょう。
労務管理が甘い会社は、
はり社員の風紀などが乱れがち
になるものです。
社員との間のトラブルや
「裁判沙汰」を避けるためにも
労働時間の把握を含めた労務管理の
体制はきちんとしておきたいものです。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。