周辺の家賃相場が大きく上がれば
貸主としては「うちも相場まで
値上げしたい」と考えるのは当然でしょう。
しかし
「相場が50万円だから
26万円の家賃を50万円にできる」
わけではありません。
そこには
賃料増額請求ならではの
意外な落とし穴があります。

(今日の「棒人間」 突然の値上げ??)
<毎日更新1926日目>
都内でオフィスビルを所有する
不動産管理会社のA社は
ビルの一室をIT企業のX社に
長年貸していました。
広さは100㎡ほどで
月額賃料は26万円。
X社との間の賃貸借契約は
10年以上続いており
最後に賃料を改定したのも
10年以上前でした。
その後
最近の賃料上昇の流れで
周辺オフィスの賃料相場も
大きく上昇しました。
A社の社長があるとき近隣の
オフィスの募集状況を調べてみると
同じような広さ
立地の物件が
で募集されていました。
A社長は

ちょっと待てよ。
うちはX社から26万円しかもらってないぞ。
さすがに安すぎる。
今新しくテナント募集すれば、月50万円で貸せるだろう。
と考え
ということで
X社に賃料の値上げを通告。
ところが
納得いかないのはX社です。

そんな、今まで月額26万円だった物件を、いきなり50万円に値上げすると言われても・・・。
都心の時価上昇などの影響を受けて
賃貸物件の賃料増額請求に関する
トラブルも増えています。
上記のように
周辺の賃料相場が急激に上がっている
ケースもよく見かけます。
このような場合
物件の貸主としては
上がった相場に合わせて賃料の
増額を請求できるのでしょうか?
この点
貸主が
貸している物件について
家賃の値上げをするには
次ような手続きが必要です。
貸主が
家賃の増額請求ができる場合について
借地借家法という法律で
次のように定めています。
土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき
そこで
貸主がこうした近隣の物件と比較して
賃料が不相当になったと判断した場合は
一方的に値上げができて
しまうのでしょうか?
この点
借地借家法の建て付けは
あくまで賃料の増額については、
貸主と借主という当事者間の協議
つまり話し合いによって決める
ことを前提にしています。
ですから
仮に貸主が賃料の増額を
求めたとしても
借主がそれに「No」と言った場合には
一方的に値上げをすることは
できないのです。
そして
貸主としては
当事者間で協議しても賃料の増額の
合意ができないときは
賃料の増額を求める調停なり
裁判なりを起こす必要があります。
その中で
貸主は
現在の賃料が近隣の物件等の相場と
比較して不相当である
ということ等を客観的に証明する
必要があります。
そんなわけで
貸主としては
賃料の値上げをしたいと思えば、
借主と話し合って合意するか
合意できなければ
調停や裁判といった手続きを
経る必要があるわけです。
それでは
仮に貸主がこうした正規の手続きを
踏んで賃料の増額請求を行った場合
果たしてどの程度賃料の増額が
認められるのでしょうか?
この点
上記でA社の社長が主張するとおり
近隣の同種の物件の賃料相場が
月額50万円であれば
その程度まで賃料の増額が
認められると思われるかも知れません。
実際に
このようなご相談をされる方も
少なくありません。
しかし
実際はそうでもないので
注意が必要です。
というのは
賃料には
「新規賃料」と「継続賃料」という
2つの種類があります。
「新規賃料」とは
簡単に言えば
今この物件を新しく貸すとすれば
いくらの賃料が妥当かという問題。
他方で
「継続賃料」というのは
すでに続いている賃貸借契約の賃料を
今いくらに改定するのが相当か
という問題です。
そして
賃貸借契約における賃料増額請求は
この後者の「継続賃料」が
問題となります。
重要なポイントは
これらの「新規賃料」と「継続賃料」
は異なるということ。
ですから
周辺の賃料の相場が上がれば
そのままダイレクトに増額請求できる
というわけではないのです。
この辺は
多くの人が誤解しているところですが
長くなりましたので
この辺はまた明日詳しくお話しします。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。