「退職します」と言っていた社員が
後になって「やっぱり辞めません」。
こんな場合
会社は退職の撤回を認めなければ
ならないのでしょうか?
今回は
「退職願」と「合意退職」の
ルールについて考えてみます。

(今日の「棒人間」 白紙撤回??)
<毎日更新1935日目>
IT企業で10年以上勤務
していた女性社員が
休職中に会社に退職願の
メールを出しました。
しかし
この女性社員は
その1週間後に会社宛に
とメッセージを送信。
会社がこの撤回を認めなかったため
女性社員は会社相手に
雇用契約上の地位があることの
確認を求めて裁判を起こしました。
女性社員は裁判で
「休職の延長ができないと勘違い
をして退職願を出した」と主張しました。
しかし
裁判所の判決は

退職願の取り消しは認められない
として
この女性社員の請求を認めませんでした。
*この事案は、日本経済新聞「揺れた天秤〜法廷から〜」シリーズの「「退職したい」とショートメール 1週間後に撤回、人事労務は認めず」より引用しました。
社員が自ら会社を
辞めようとする場面では
厳密に言えば「辞職」と
「合意退職」の2つがあります。
「辞職」というのは
社員が一方的な意思表示によって
雇用契約を終了させようとするものです。
民法627条1項では
無期雇用の社員の場合は
この「辞職」すなわち解約の
申し入れの意思表示をした日から
2週間経過後に雇用契約が終了する
と定められています。
他方で
「合意退職」というのは
社員と会社の合意によって雇用契約を
終了させようとするもので
これは法的にいうと一種の
「契約」ということになります。
冒頭の事例で
女性社員は当初
というメールを送っています。
これは
法的に見るとこの「合意退職」の
申込みと見ることができます。
これに対して
会社が承諾をすれば
「合意退職」が成立するわけです。
問題となるのは
あくまで「契約」である以上
成立後には
一方当事者が勝手に
「撤回」はできない
ということです。
冒頭の事例でも
会社の承諾後に女性社員が「撤回」の
メッセージを送っています。
この「撤回」が有効かどうかが
裁判で争われましたが
裁判所は法律の原則どおり
これを認めなかった
というわけです。
社員がメンタル疾患などで
休職していたりする場合
会社の退職をめぐって冒頭の事例
のようなトラブルが起きがちです。
社員の側から退職の
意思表示をしたものの
後でそれが撤回される
ケースはあり得ます。
社員の側も事情があって
揺れているのでしょうが
会社としてもいったん退職
として処理したものを
後から「撤回」されても困るでしょう。
冒頭の事例では
当初女性社員からメールによって退職
を希望する意思表示がなされています。
こういうメールは
後で万が一社員とトラブルになった際には
非常に重要な証拠になりますので
必ず保存しておくべきです。
そして
会社がそれを「承諾」する場合には
必ず返信メール等でその意思を
きちんと表示すること。
これによって
法的には上記の「合意退職」が
成立することになります。
さらに
「後で撤回」というトラブルを
予防するためには
できれば社員が退職する際にきちんと
「退職合意書」という書面を作成して
おくことができれば万全です。
いずれにしても
この手のトラブル予防の鉄則としては
社員から退職を求める
意思表示を受けた場合には
それをきちんと証拠化し
会社としてそれを承諾したのかどうかを
曖昧にしないことですね。
「立つ鳥跡を濁さず」ではありませんが
何ごとも「終わり方」に気をつける
ことは大切ですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
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私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。