人手不足だから
少しでも応募が集まりやすい
「正社員」で募集したい。
しかし
実際に雇うとなると
「まずは有期雇用で様子を見たい」と
いうのが会社の本音かもしれません。
実は
こうした採用条件の
ちょっとした「ズレ」が
思わぬ「裁判沙汰」を招くことがあります。

(今日の「棒人間」 ズレは埋まらない???)
<毎日更新1970日目>
深刻な人手不足が続く中
求人を出してもなかなか応募がないと
悩む中小企業は少なくないでしょう。
そこで
会社としては
少しでも応募が集まりやすいように
「正社員」とか「期間の定めなし」といった
なるべく好条件の求人を出したいところ。
ところが
実際に人を雇うとなると
会社側にも不安はあります。
面接では良さそうに見えたけど
実際に働いてもらったらイマイチだった。
思ったほど仕事ができない
会社の雰囲気に合わない
勤務態度に問題があるなどなど。
特に中小企業では
1人の採用の失敗が会社に与える
影響も小さくありません。
そこで
「求人では正社員として募集するけど
最初の2〜3ヶ月は有期雇用にして様子を見たい」
と考える会社もあるでしょう。

その気持ちはよくわかります。
しかし
こういったあいまいな対応は
後々のトラブルや「裁判沙汰」
のタネになります。
実際に
ハローワークの求人票に
と記載した会社が
採用した女性とは「2ヶ月間の有期雇用契約」
を結んだという事例がありました。
会社はこの女性が入社して2ヶ月後
女性に契約期間満了を告げました。
しかし
この女性は

正社員の求人を見て応募したのだから、話がちがう!
として裁判を起こしたのです。
会社側は
求人票の記載について
「事務担当者のミスだった」と説明。
本当は
まずまず2ヶ月間働いてもらい
成果を見た上で無期雇用に
切り替えるつもりだったようです。
ところが
実際に働いてもらうと
期待した成果が出なかったので
2ヶ月で終了したと主張しました。
しかも
実際の雇用契約書には
「7月1日から8月末まで」と明記され
女性本人も署名していました。
会社としては
「本人が契約書にサインしているのだから
問題ないだろう。」と考えたのでしょう。
しかし
裁判所はそうは判断しませんでした。
裁判所は
求人票には勤務場所や賃金などの具体的な
条件が記載されていたことなどを指摘し

雇用契約書を取り交わす前の内定通知の時点で契約が成立していた
と判断しました。
そして
「期間の定めなし」から
「2ヶ月の有期雇用」への変更は
女性にとって不利益な労働条件の
変更にあたると判断したのです。
会社は裁判の中で
「きちんと説明して本人の承諾を得た」
と主張しましたが
どのように説明し
納得してもらったのかが具体的ではないとして
その主張は認められませんでした。
その後会社側とこの女性との間に和解が成立し
会社は2ヶ月後も雇用が
続いていたと仮定した賃金相当額など
約350万円を支払うことに
なったとのことです。
*以上は、日本経済新聞・中小企業リーガル処方箋「正社員求人票見て応募、実際の雇用は2カ月 条件変更伝わらず訴訟に」より引用しました。
ここで注意したいのは
とは限らないということです。
要するに
求人から採用までの流れの全体の中で
「会社がどんな条件を示し
途中で何を変更し
それを本人にどのように説明したのか」
が問われるということなのです。
もちろん
求人を出して応募があった後になって
採用条件を変更しなければ
ならない場合もあるでしょう。
また
「いきなり正社員として採用するのは怖い
まずは有期雇用で適性をみたい」という
会社の考え方も理解できます。
ただ
そうであれば
最初からその条件を明確に
しておくべきでしょう。
たとえば
といった条件を
求人段階からきちんと示しておくことです。
そして
途中で条件を変更する必要が生じたのであれば
契約を結ぶ前に変更内容と理由を
明確に説明すること。
その際
メールや書面にてやり取りの
証拠を残しておくことも大切です。
人手不足の中で
少しでも応募者を増やしたい。
他方で
採用の失敗も避けたい。
その両方を求めたくなる会社側の
気持ちはよくわかります。
しかし
そこで求人条件をあいまいにしたり
「とりあえず正社員募集にしておこう」
などと考えると
後々大きなトラブルになりかねません。
ですから
やはり採用の際には求人票
内定通知書
労働条件通知書や雇用契約書などの
内容がきちんと一致しているかを確認する。
採用活動にあせる気持ちはわかりますが
いったん落ち着いてこうした
地道な詰めを行うことが
余計なトラブルや「裁判沙汰」を
予防するために大切だったりします。
「急がば回れ」ではないですが
気をつけたいところですね。
それでは
また。
◾️裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール
◾️あなたの会社のトラブルを予防します〜あんしん法務ガード(顧問契約)
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。