原材料費や人件費が上がる中
取引先から「値上げをお願いしたい」
と言われたら
どう対応すべきでしょうか?
実は
値上げ交渉にまともに応じず
一方的に価格を据え置くことが
法律違反になる場合があります。
中小企業が知っておきたい
「価格交渉」のルールについて
考えてみます。

(今日の「棒人間」 値上げの請求?)
<毎日更新1984日目>
原材料も人件費も
電気代も上がっている。
それにもかかわらず
取引先に請求する金額はもう
何年も据え置きのまま。
特に
長年お付き合いしている取引先ほど
「値上げしてください」とは言いづらい。
しかし
無理な価格で取引を続けることが
果たしてお互いのために
なるのでしょうか?
公正取引委員会と経済産業省が
下請け企業に不利な商慣習の是正に
乗り出すという報道がありました。
報道によれば
公取委などは
価格転嫁や賃上げを妨げる商慣習を洗い出し
2027年春までに業種ごとの対応方針を
まとめるとのことです。
たとえば
製造業でよくある
商品を作るための金型や工具を下請け企業に
無償で保管させるというケース。
あるいは
繊維業では
取引代金から「謝礼」などの名目で
一方的に金額を差し引く「歩引き」
と呼ばれる慣習など。
こういった取引が
問題視されているわけです。
この報道で印象に残ったのが
企業間取引
すなわち「BtoB」の取引でも
価格転嫁をしやすくする
流れが進みつつある
という点です。
言うまでもなく
ここ数年は物価高騰が続いています。
原材料だけではなく人
件費や物流費
エネルギーコストなど
企業が負担するコストは
どんどん上がっています。

ところが
こういったコストの上昇分を
そのまま取引価格に反映できるかというと
なかなかそうはいきません。
特に
中小企業の場合は
取引先(大企業)との力関係
というものがあります。
そんな不安から
なかなか価格交渉に踏み切れない
という会社も少なくないでしょう。
実は
こうした価格転嫁の問題については
法律上もルールが整備されつつあります。
その1つが
今年の1月から施行された
「中小受託取引適正化法」
いわゆる「取適法」です。
これは
従来の下請法を改正した法律です。
この取適法では
対象となる取引について
発注側の企業が
受注側の企業から価格協議を
求められたにもかかわらず
協議に応じなかったり
必要な説明をしなかったりして
一方的に代金を決めることを
禁止しています。
たとえば
ある中小企業が
長年取引している発注企業に対して

すいません、人件費や原材料が上がっているので、取引価格を10%上げていただけないでしょうか?
とお願いしたとします。
ところが
発注企業の担当者は

いや、うちは昔からこの値段でやってるんだから、それはダメです。
と
まともに話し合うこともなく
一方的に従来の価格を押し付けてしまう。
こういった対応は
上記の取適法に違反する
可能性があるわけです。
もちろん
取引先から値上げを要求されたら
必ずその金額を受け入れ
なければならない
というわけではありません。
大切なのは
きちんと価格について協議し
必要な説明を行うことです。
発注側の企業としても
今までのように「値上げは
一切認めない」という姿勢では
法的なリスクを抱える
可能性があるのです。
ところで
長年お付き合いしている取引先ほど
値上げの話は切り出しにくいものです。
何年も
あるいは何十年もお世話になっている。
先代の社長の頃からのお付き合いとか
そんな関係であればなおさらでしょう。
そう考える気持ちもよくわかります。
しかし
考えてみれば
長くお付き合いしたいからこそ
お互いに無理のない価格で取引を
続けることが大切なのではないでしょうか。
受注側の会社が
コストの上昇をすべて
自社で負担し続ければ
いずれ経営が苦しくなります。
利益が出なければ
この人手不足の中で
社員の賃上げもできず
設備投資もできません。
最悪の場合
事業を続けることすら
難しくなってしまいます。
そうなれば
発注側の企業にとっても
大切な取引先を失うことに
なってしまいます。
もちろん
発注側の企業にもいろいろ
事情はあるでしょう。
だからこそ
受注側の会社としても
ただ値上げを要求するのではなく
コスト上昇の根拠を示しながら
丁寧に話し合うことが大切です。
そして
発注側企業も相手の事情をきちんと聞く。
価格交渉というものは
相手との関係を壊すためのものではなく
むしろ良好な取引関係を長く続ける
ためにこそ必要なものだと思います。
これからの時代
中小企業にとって大切なのは
「値上げを言わないこと」でも
「値上げを認めないこと」でもなく
お互いが納得できる取引条件を話し合うこと。
法律のルールは
まさにそんな健全な取引関係を
後押しするものです。
無理な取引を続けた結果
取引先との関係が悪化し
最後は「裁判沙汰」に・・・。
そんな事態を避けるためにも
普段から価格についてきちんと話し合える
関係を築いておきたいものですね。
それでは
また。
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Profile
中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。