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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【電子契約書】印紙は不要なのか?プリントアウトしたらどうなる?

契約書

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一定の契約書には、

印紙税法という法律で、

一定額の印紙を貼ることが

求められています。

 

 

それでは、

最近はやりの電子契約書には、

印紙を貼る必要はあるのでしょうか?

 

 

また、

電子契約書のデータをプリントアウト

した場合はどうなのでしょうか?

 

 

(電子契約書、「プリントアウト」しても印紙は不要?)

 

<毎日更新659日目>

電子契約書に印紙は不要か?

昔、10数年前にまだ私が

若手弁護士だった頃、

初めて私に顧問契約の依頼を

していただいた会社がありました。

 

 

その顧問先から依頼された主な仕事は、

とにかく契約書に貼る印紙代を節約したい、

というものでした。

 

 

正直言って、

まだ実務経験が浅かった当時の私は、

印紙税にはあまり詳しくありませんでした。

 

 

しかし、

そこは私も顧問先のためと、

いろいろと研究しながら、

上手に節税できる方法をあれこれと

考えたものでした。

 

 

そう、一定の契約書には、

印紙税法という法律によって、

定まった金額の印紙を貼ることが

求められています。

 

 

どのような契約書に印紙を貼る必要が

あるかは、下記の国税庁のホームページに

詳しく書かれています。

 

 

たとえば、

以下の契約書には印紙を貼る必要があります。

 

・不動産の売買契約書
・金銭消費貸借契約書
・取引基本契約書
・請負契約書
・運送契約書
などなど

 

実際にいくらの印紙を貼るのかは、

それぞれですが、契約金額が大きくなれば、

印紙代も数万円の負担となり、

契約書の数が多くなると結構バカに

なりません。

 

 

そこで、

最近では紙の契約書ではなく、

いわゆる電子契約書を使って取引をする

ケースも増えています。

 

 

この電子契約書については、

法律上印紙は不要とされているのです。

 

 

 

というのは、

印紙税法において印紙税が課税されるためには、

課税文書、つまり紙の書面に必要事項を記載して

それを交付することが要件となっているためです。

電子契約は、

基本的に紙ではなくデータの送信で成立

しますので、印紙税法上の課税文書の作成に

該当せず、結果的に印紙税が課税されない

ということになるのです。

 

 

 

 

 

電子契約書をプリントアウトした場合はどうなる?

紙の契約書の場合は印紙税が課税されるのに、

電子契約の場合は課税されない。

 

 

なぜこのように結論が異なるのか?

 

 

これについては、

あまりきちんとした理由はありません。

 

 

要するに、

印紙税法という法律ができた当時、

まだインターネット社会ではなくて、

電子契約の存在自体が想定できなかった、

ということがあります。

 

 

なので、

形式的に電子契約は印紙税法上で課税される

課税文書にあたらないので、

課税されないという結論になるわけです。

 

 

そうなると、

今後は印紙税法が改正されて、

電子契約にも印紙税が課税される

可能性があるのではないか?

 

 

たしかに、

その可能性は否定できないでしょう。

 

 

しかし、今のところは、

電子契約に課税しようという動きは

特にないようです。

 

 

ここで、電子契約書について、

それをデータの形ではなく、

紙にプリントアウトした場合は

どうなるのか?

 

 

その時点で課税文書になって、

印紙税が課されてしまうのではないか?

 

 

そんな疑問があります。

 

 

しかし、

電子契約書をプリントアウトしただけでは、

単に電子データの写し(コピー)にすぎない

と扱われますので、それだけでは、

課税文書にはあたりません。

 

 

ただし、たとえば2部プリントアウトしたものに

当事者双方が印鑑を押して、

各当事者が1通ずつ持つことにするような場合。

 

 

これは、いわば紙に書いて交付するという

課税文書の「作成」に該当すると考えられますので、

その場合には印紙税の課税対象となってきます。

 

 

いわば、

紙の契約書を作って押印した場合と

変わらないケースですね。

 

 

それでは、

紙の契約書にハンコを推して、

それをPDF化して相手方に送信する

行為はどうか?

 

 

この場合には、

あくまで電子データを送信したにすぎないわけで、

書面を交付したことにはならないので、

課税文書の「作成」にはあたらず、

印紙税は課税されないと考えます。

 

 

同様の理由で、

電子データを送信された相手が、

そのデータをプリントアウトした場合も、

課税文書にはあたりません。

 

 

なんだかややこしいですが、

簡単に言えば、紙に書いて交付したら課税文書、

電子データで送信した場合や、

それをプリントアウトしたにすぎない場合

は非課税と、この辺は形式的に判断されるようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

というわけで、

今日のポイントは

 

 電子契約書は非課税で、電子データをプリントアウトしても基本的には非課税!

ということです。

 

 

最後に自慢話を1つ。

 

 

冒頭で、

若い頃に私が顧問先会社のために、

印紙税節約の工夫を考えたという話をしました。

 

 

もちろん、

税金をごまかすわけにはいかないので、

契約書の作成方法などで、

可能な限り節税できる方法を私もいろいろと

考えて顧問先に提案しました。

 

 

後で、

その会社の顧問税理士さんがそれを見て、

 とても上手な方法ですね!

と褒められたことがあります。

 

 

やはりあまり経験のない仕事でも、

依頼された以上はしっかり研究と工夫を

重ねることが大切だということですね!

 

 

下記の関連動画もご覧ください!

 

 

 

 

 

 

 

 

最新動画 

今回は、買いたたきは許さない、ということで、下請法を使ってコストの上昇に見合った価格の転嫁を、というテーマでお話しています。

 

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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