社員を新たに採用した後で、
うちの会社に合わないと思った場合、
「試用期間」後にその社員の
「本採用」を拒否する、
という方法があります。
ただし、
この「本採用拒否」も
そう簡単ではありません。
安易にやってしまうと、
「裁判沙汰」などトラブルの
原因となりますので、
注意が必要です。
(あなたは「拒否」?@美ら海水族館)
<毎日更新706日目>
4月に入り、
新入社員が入社する季節
となりました。
入ったばかりの新入社員は、
毎日希望に満ちあふれ、
迎え入れる会社側も、
新入社員に早く仕事を
覚えてもらおうと、
はりきっています。
多くの中小零細企業にとって、
この人手不足の世の中で、
自社に入社してくれた社員は
大変に貴重でしょう。
しかし、
世の中には、
残念ながら、
必ずミスマッチな採用と
いうものが起こって
しまいます。
履歴書や採用面接だけでは、
なかなかその人となりを
すべて理解することは難しい。
中小零細企業が社員の
「採用」に失敗すると、
なかなか大変です。
ただでさえ社員の数が
少ない会社では、
合わない社員が一人入って
くるだけで、
社内の空気が一変して
しまうことがあります。
それだけで、
社内の雰囲気がギスギス
してしまい、
すぐに会社全体の生産性に
影響が出てしまいます。
他方で、
法律による解雇の規制が
ありますので、
合わない社員だからといって、
いったん雇った社員を
そう簡単に辞めさせることも
できません。
ただ、
新入社員の段階で合わない
人材であることがわかった、
という場合、
まだ「試用期間」が過ぎて
いなかったらどうでしょう?
「試用期間」後の
「本採用」を拒否する、
という形で辞めてもらうことは
できるのでしょうか?
多くの会社では、
新たに社員を雇う際に、
いきなり「本採用」ではなく、
いわゆる「試用期間」を
設けることが多いですね。
この「試用期間」とは、
たとえば3ヶ月とか、
6ヶ月とか期間を決めて、
試しに採用するという制度です。
そして、
その「試用期間中」に、
この会社の社員として適格で
あるかどうかを判定する
ことになります。
問題は、
もしこの「試用期間」を経て、
この社員は、うちで働いてもらうには厳しい
と判断した場合です。
この場合に、
その社員の「本採用」を拒否
することができるかどうか、
ということです。
法律的に見ますと、
「試用期間」というのは、
もしこの社員が不適格だった場合に、
解約できる権利がついた雇用契約、
ということになります。
これは、専門的には
と言ったりします。
すなわち、
試用期間の終了時に、
会社が解約権を行使することは、
法的には解雇の一種、
ということになります。
つまり、
本採用拒否は、
ということになるのです。
上記で述べたとおり、
日本の労働法では、
解雇は厳しく規制されています。
ただ、
本採用拒否の場合は、
通常の解雇よりは緩やかに
認められる傾向にはあります。
具体的には、
採用の決定後、
試用期間中に当初会社側が
知ることができなような
事情が発覚した場合です。
この点、
裁判例などで、
本採用拒否が認められた
事例として、
次のようなものがあります。
逆に言えば、
この程度の事情がないと、
なかなか本採用拒否は難しい、
ということになります。
さしたる事情もないのに、
単に「うちの会社には合わない」
などという理由で、
会社の一存で本採用拒否ができる、
というわけではありませんので、
注意が必要です。
というわけで、
今日のポイントは
ということです。
そんなわけで、
やはりいったん雇ってしまうと、
「試用期間」後の本採用も、
会社の自由にできる、
というわけではありません。
やはり、
「採用」というのは慎重に
行う必要がありますね。
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今回は、KALDIの下請法違反、不当な代金の減額や返品は違法ですと言うテーマでお話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。