「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

「契約書」を作っていなければ、いつでもキャンセルできるって、本当?

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「契約書」を作らないと、

法律上「契約」が成立しない

と思っている人がいますが、

誤解です。

 

 

「契約書」を作らない限り、

いつでもキャンセルできる、

というわけではありませんので、

注意が必要です。

 

 

 

(今日の「棒人間」 契約書を作っていなければキャンセルできるのか?)

 

<毎日更新772日目>

「契約書」作ってないからキャンセル?

先日、

ある建設会社の社長さんから

こんなご相談を受けました。

 

 

この手の話も、

割とよく聞く話ではあります。

 

 

ある大手の会社から

建物の建設を請け負いました。

 

 

担当者と打ち合わせを重ね、

工事の内容や金額、

期間や仕様などいろいろなことが

決められていきます。

 

 

しかし、

この時点ではまだ「契約書」は

作成されませんでした。

 

 

ただ、

決して「契約書」を作らないつもり

だったわけではなく、

双方でもっと工事の内容が

煮詰まってから正式に「契約書」に

調印することになっていました。

 

 

この大手の担当者から、

なるべく準備を早めに始めて

ほしいと言われていたので、

社長は資材の調達などに

動いていました。

 

 

ところが、

いざ「契約書」に調印、

という段階になって、

この大手の担当者の態度が

一変します。

いや、ちょっと我が社の方で方針が変わりまして・・・。
すみませんが、今回のお話はなかったことに。

という土壇場のキャンセルです。

 

 

社長は到底納得行きません。

 

今さらそんなバカな話あるか!
こっちはアンタが早めに準備しろというから、金をかけて資材も調達してるんだ!
これどうしてくれるんだ?

いやいや、そんなこと言われても、まだ「契約書」まいてませんからね〜。
法的にはうちには責任ありませんよ。

 

 

 

口約束でも契約成立となる場合がある

「契約書」をまだ

作っていないので、

上記のように一方的に

キャンセルできるのでしょうか?

 

 

「契約書」は作っていなくても、

相手方の求めに応じて、

お金をかけて準備を

してしまっている、

といケースはよくあります。

 

 

ここで、整理すると、

「契約」と「契約書」は違います。

 

 

「契約」というのは、

法的な約束をした、

という意味で、

契約が成立してとなれば、

当事者双方はその「契約」に

拘束されます。

 

 

上記でも、

建築請負契約が当事者間で

成立している、

ということになれば、

大手会社の一方的な都合で

キャンセルなどできなくなります。

 

 

他方で、

「契約書」というのは、

当事者間でそのような内容の

契約を結びましたよ、

ということを記載した

「書面」です。

 

 

大切なことは、

「契約書」を作成しない限り、

「契約」が成立していないのか

どうか?ということです。

 

 

この点、

一定の例外を除いて、

「契約」が成立するためには、

必ずしも「契約書」の作成は

必要ないとされています。

 

 

すなわち、

口約束であっても、

法的に「契約」は成立する

ということです。

 

 

ですから、

上記の例でも、

たとえ「契約書」が作られて

いなかったとしても、

それまでの当事者間のやり取りで、

契約が成立している、

と判断される可能性があります。

 

 

さらに、

もし契約の成立にまで

至っていないとしても、

近い将来当然契約することを

前提に、

相手方の求めに応じて

契約の準備などをしていた場合。

 

 

このような場合には、

契約が成立するものと信頼した

当事者が救済されることがあります。

 

 

すなわち、

上記のご相談の社長のケースのように、

建物の建築工事を請け負うことを前提に、

相手方の求めに応じて、

お金をかけて資材の調達などを

していた場合です。

 

 

この場合には、

無駄になった資材の調達コスト

などの損害について、

大手会社に賠償請求できる

可能性があります。

 

 

 

 

 

 

大切なことは、どうやって証拠を残すか?

ただし、

いずれにしても、

あくまで「契約書」というものが

作成されていませんので、

口約束であれなんであれ、

それまでのプロセスを証拠に残す、

ということが非常に重要です。

 

 

いくら「口約束」でも法律上

契約が成立するといっても、

何も証拠が残っていないと、

言った、言わないの

いわゆる「水かけ論」に

陥ってしまいます。

 

 

ですから、

上記のようなケースでは、

正式な「契約書」は後で作るとしても、

ある程度の工事内容や期間、

仕様や代金額などが決まった段階で、

「仮契約書」や「覚書」などの形で、

合意したことを書面に残す工夫が

必要です。

 

 

また、

「発注書」や「見積書」なども、

間接的な証拠にはなり得るので、

なくさないでしっかり保管

しておきましょう。

 

 

さらに、

電子メールやSNSなどで、

担当者とテキストで

やり取りした記録も

しっかりと残すようにして下さい。

 

 

そんなわけで、

「契約書」を作っていない

からといって、

一方的なキャンセルができる

とは限りません。

 

 

ただ、

契約の成立とか、

損害賠償を主張する当事者は、

上記のように相手方との協議の

プロセスを「証拠」に残す

という意識を持っていただくことが

大切です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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