「弁護士は揉めごとが
起こってから相談するもの」
そう思っている方も
少なくありません。
しかし、
「揉めごと」が起こって
しまった後では、
「時すでに遅し」
ということがあります。
(今日の「棒人間」 契約書のチェックはしんどい??)
<毎日更新832日目>
いつでも気軽に相談してください。
いやいや、我が社では、弁護士さんに相談するようなことは、なにもありませんよ。
本当にそうでしょうか?
そうですとも。
うちは平和ですから、弁護士さんのご厄介になるような揉めごとはありません。
このように、
「弁護士は揉めごとが
起こってから相談するもの」
というイメージが根強く
あります。
少し前のことですが、
日本弁護士連合会というところが
中小企業の経営者を
対象に、
弁護士のニーズ調査
のアンケートを
行ったことがありました。
その結果、
今まで一度も
弁護士に相談した
ことがないという
経営者がかなり
いました。
その経営者に
対して、
その理由を聞いた
ところ、
一番多かった答えは、
「特に弁護士に相談する
ことはない」
というものでした。
その理由はいくつか
考えられますが、
多くの日本の中小企業の経営者は、
というイメージが
根強くあることが、
その理由の1つでは
ないかと思います。
実際、
ご新規でご相談に
お越しになる経営者の方も、
大半は「揉めごと」が
起こってからいらっしゃいます。
しかし、
中には、
「揉めごと」が起こって
しまった後では、
「時すでに遅し」
ということがあります。
建設業を営むA社は、
大手企業であるB社から、
継続的に大規模な工事を
請け負うことになりました。
A社の社長としては、
新規に大手のB社と継続的に
取引できるということで、
非常にテンションが
上がっていました。
そして、
B社から建築請負工事の
基本契約書のドラフトを
提示されました。
早く取引を始めたい、
と舞い上がっている
A社の社長は、
B社から提示された契約書の
中身をよくチェックしないまま
調印してしまいました。
B社は業界で大手の会社だし、
B社が用意する契約書なら、
間違いはないだろうと
信用していたのです。
そして、
実際にB社との取引が
始まったのですが、
A社がそれまで経験したことも
ない大規模な工事に手間どい、
いろいろとトラブルが
発生してしまいました。
結果的に、
A社は納期を大幅に
遅らせた挙句、
B社から契約を解除されて
しまいました。
ところが、
悲劇はそれで
終わりませんでした。
さまざまな工事の
不備などの理由で、
B社から多額の損害賠償を
請求されたのです。
この時点になって、
A社の社長は、
慌てて弁護士に相談に行きます。
そこで、
当初B社との間で結んだ
契約書を見せたところ、
この契約書には、
損害賠償の上限を定める
リスクヘッジの条項が
抜けていることを
指摘されます。
どういうことかと言うと、
通常、
新たな取引先とこうした
大規模工事を継続的に行う場合、
A社のリスクヘッジとして、
A社の負担する損害賠償金額の
上限を一定額に制限するという
条項を契約書に入れる
ことがあります。
たとえば、
甲が本契約に関して乙に対して負う損害賠償の額は、第●条に基づき甲が乙より受領した金額を超えないものとする。
この場合、
甲が工事を請け負ったA社、
乙が工事を発注した
大手のB社です。
大規模な建築工事
などを行う場合、
工事の不備が
あったような場合に、
その賠償額が多額に
上ることがあります。
そこで、
そのように万が一
損害賠償責任を負う場合でも、
損害賠償額に上限を
定めておくことで、
多額の損害賠償を
しなければならないという
事態を回避することが
できます。
ところが、
これはあくまで工事を請け負う
A社にとって必要な条項であり、
工事を発注するB社にとっては
必要のない条項です。
それどころか、
B社としては、
A社の損害賠償に「上限」など
設けない方が都合が良い、
とも言えます。
確かに、
大手企業が作る契約書は、
法務部の社員などが
しっかりと作り込んでいます。
ですから、
たとえば法律上の規制に
違反していないとか、
正確性とか、
そういった面では信用
できるかも知れません。
しかし、
それ以外の部分で、
契約当事者双方にとって
「フェア」な内容の契約書
である保証はどこにも
ありません。
というか、
大手企業だって、
自社の利益が何より
大事ですから、
自社にとって一番有利な
契約書を作成したい
わけです。
結果的に、
大手が作った契約書を
チェックせずに調印したA社は、
後で多額の損害賠償請求を受ける
ことになってしまったわけです。
こうなってしまうと、
はっきり言って、
この時点で慌てて
弁護士に相談しても、
もはやどうにもなりません。
「時すでに遅し」とは
こういうことを言うのです。
それでは、
A社の社長としては、
どうしていればこんなトラブルを
防ぐことができたのでしょうか?
大手企業であれば、
専門の「法務部」という部署が
ありますので、
そこでしっかりと事前に
リーガルチェックを
することができます。
しかし、
中小零細企業では、
専門の「法務部」を持っている
ような会社はほとんど
ありません。
かといって、
社長が自ら契約書を
チェックするのも大変です。
通常は専門的知識もありませんから、
仮に契約書をチェックしたところで、
上記のような問題点には
気づかないことが多いでしょう。
ですから、
A社としては、
大手であるB社から、
契約書のドラフトを
示された時点で、
弁護士に相談し、
契約書の中身をチェック
してもらうべきだったのです。
そうすれば、
その時点で、
上記のA社にとっての
損害賠償額の上限を定める
条項が抜けていることを
教えてもらいます。
そうすれば、
損害賠償額の上限を
契約書に入れてもらうように
B社と交渉することも
できたでしょう。
しかし、
契約書に調印してしまった後では、
どうしようもありません。
いかがでしょうか?
それでも、とお思いでしょうか?
実は、
そうではなく、
弁護士は、トラブルを「予防」
するためにこそ利用すべきです。
簡単に「予防」できるトラブルを
「予防」できないと、
トラブルが深刻化し、
「裁判沙汰」にまで至って
しまう危険があります。
「裁判沙汰」になれば、
時間・お金、そして膨大な
経営者のエネルギーを
奪われてしまいます。
この点、
私のミッションは、
ということです。
「裁判沙汰」を避けるためには、
「コトが起こってから
弁護士に相談すれば良い」
とタカをくくっていては
いけません。
トラブルを予防するには、
「コトが起こる前」にぜひ
相談するようにしてください。
なお、
弁護士と顧問契約を結んでおくと、
月々の定額で、
こんな時にも弁護士に
気軽に相談できますし、
契約書のチェックなども
依頼することができます。
顧問契約の場合、
弁護士が御社の実情なども
理解していますので、
臨機応変なアドバイスや対応を
することも可能になります。
「裁判沙汰」を予防
するための顧問契約も、
一度ご検討いただければと
思います。
最新動画
今回は、下請会社の社員のミスで、第三者に損害が発生した場合に、元請会社が使用者責任を負う場合があるか、そんなテーマでお話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。