「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

配置転換の命令が「権利濫用」となる場合とは??

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会社は、社員に対して

自由に配置転換を命じる

ことができるでしょうか?

 

 

実は、そうではなく

会社の配転命令が「権利濫用」

であるとして

 

 

無効とされる

場合があります。

(今日の「棒人間」 権利濫用のイメージ)

 

<毎日更新1094日目>

会社の配転命令が有効であるための要件

そもそも

配置転換(配転)とは

 

 

社員の勤務地や勤務内容を

変更することを意味します。

 

 

日本の会社では

社員に様々な経験を積ませることや

 

 

事業環境に応じた会社内の

労働力の調整などを目的として

広く配置転換が行われています。

 

 

昨日のブログでは

社員の職種や業務内容

限定があった場合

 

 

その限定範囲を超えた配転命令が

無効になる場合がある

というお話をしました。

【配転命令が無効?】社員の職種や業務内容に限定があった場合

 

会社が有効な配転命令を

行うためには、まず

 

 

雇用契約書や就業規則などで

配転命令の根拠が定め

られている必要があります。

 

 

さらに、その社員との間で

職種や職務内容を限定する

合意があった場合です。

 

 

この場合には

会社の行う配転命令権も

 

 

その合意の範囲内に限定

されることになります。

 

 

それでは

就業規則などで会社の

配転命令権の根拠があり

 

 

かつ社員との間で職種限定の

合意がない場合には

 

 

会社は自由に配転命令を

出すことができるのでしょうか?

 

 

実は

さらにもう1つハードルがあります。

 

 

配転命令権の根拠がある場合でも

会社の配転命令が「権利濫用」

となる場合には

 

 

配転命令が無効と

される場合があります。

 

 

 

配転命令が「権利濫用」となる3つの場面

この「権利濫用」というのは

ちょっと抽象的で

わかりにくいですね。

 

 

「権利濫用」というのは

一見正当な権利行使

のように見えるものの

 

 

具体的な状況や実際の

結果などに照らして

 

 

それを認めるべきではないと

判断される場合

のことを言います。

 

 

民法1条3項には

権利の濫用は、これを許さない。

と定められています。

 

 

とは言え

これだけでは

 

 

いったいどんな場合が

「権利濫用」となるのか

わからないですね。

 

 

実際には

会社の配転命令が「権利濫用」

となる場合について

 

 

多くの裁判例が出ています。

 

 

それらの裁判例によって

 

 

ある程度具体的にどんな場合が

「権利濫用」となるかについて

明らかにされています。

 

 

具体的には

次の3つの場面です。

 

 

すなわち、まず

その配転命令が業務上の

必要のないものであった場合。

 

 

業務上の必要が

特にないのであれば

 

 

社員に配転命令を行う意味はなく

これは「権利濫用」となるわけです。

 

 

次に

たとえ業務上の必要があっても

 

 

その配転命令が

不当な動機や目的をもって

なされたときです。

 

 

これは、たとえば

単なる嫌がらせの目的で

 

 

それまで事務職の経験

しかない社員を

 

 

営業職に配転するような

ケースが典型的です。

 

 

その他

報復人事などの目的で

その社員の能力からして過大

 

 

あるいは過小な業務に配点を

命じるような場合です。

 

 

次に

業務上の必要があっても

その社員に対し

 

 

通常甘受すべき程度を

著しく超える不利益を

負わせるような配転命令です。

 

 

これは、たとえば

介護や育児を抱えている

社員に対して

 

 

遠方の営業所への配属を

命じるような場合が

考えられます。

 

 

以上

会社の配転命令が「権利濫用」となる

3つの場面をまとめると以下のようになります。

 

会社の配転命令が「権利濫用」となる3つの場面

 

業務上の必要のない転勤命令

 

あるいは、業務上の必要があっても、

 

転勤命令が他の不当な動機や目的を持ってなされたとき

 

労働者に対し、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるとき

 

 

 

 

 

 

安易な配転命令の末路

というわけで

会社の配転命令が法的に

許されるかどうかを

 

 

図にまとめると

下記のようになります。

すなわち

労働契約上配転命令の

根拠がある場合で(上記2)

 

 

配転命令が権利濫用

とならない場合(上記b)

が合法となるわけです。

 

 

そんなわけで

会社の行う配転命令も

 

 

会社が自由に行える

というものではなく

 

 

それなりに制限がある

ということは覚えて

おかれた方がよいでしょう。

 

 

安易に配転命令を行うと

社員との間でトラブルになり

 

 

配転命令の有効性をめぐって

「裁判沙汰」になることも

考えられます。

 

 

それだけではなく

最近の傾向としては

 

 

意に沿わない配転命令を

受けた社員が

 

 

すぐに会社を辞めてしまう

という問題もあるようです。

 

 

人手不足の世の中ですので

やはり会社の配転命令も

慎重に行いたいものです。

 

 

それでは

また。

 

 

 

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今回は、「借地権付建物を買ったら、土地の土壌汚染が⁉︎ どんなリスクがあるか?」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

 昨日は、早朝から渋谷区倫理法人会の経営者モーニングセミナーに参加。
その後は事務所に行かずに、渋谷フクラスのスタバで少し仕事。
その後は渋谷から電車に乗ってJR拝島駅まで移動。
倫理の仲間たちと、福生市にある石川酒造という酒蔵を訪れるツアーに参加しました。
昼間からおいしいお酒を飲み、仲間と話し、幸せでした。

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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