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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【配転命令が無効?】社員の職種や業務内容に限定があった場合

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雇用契約書や就業規則に根拠があれば

会社は社員に配転命令を

出すことができるとされています。

 

 

ただし

その社員との間で

 

 

社員の職種や職務内容を限定する

合意があった場合には

 

 

会社の配転命令権は

その合意の範囲内に限定

されることになります。

(今日の「棒人間」 その配転命令は大丈夫??)

 

<毎日更新1093日目>

技術職の社員が、事務職への配置転換

春になり

年度が変わり

 

 

会社の「人事異動」の

季節ではあります。

 

 

この会社の「人事異動」や

「配置転換」に関して

最高裁判所の判決がありました。

 

 

どういう判決かと言うと

職種や業務内容の限定ついて労使の合意がある場合には、社員(労働者)の同意なく配転命令をすることはできない

と判断したのです。

 

 

この事件では

技術職として長年働いてきた男性が

 

 

事務職への配置転換を命じられた

ことを不服として裁判を起こしました。

 

 

今回の判決は

職種や業務内容を限定する

という合意があれば

 

 

社員の同意なく配転命令を

行うことはできないという判断を

 

 

最高裁が初めて示した

ものということで

注目されています。

 

 

しかも

この判決では

契約書など明示的な理由で

 

 

この男性の職種限定の合意が

裏付けられていなかった

とのことです。

 

 

これはいったい

どういうことでしょうか?

 

 

 

社員の配転命令には「根拠」が必要

そもそも

配置転換(配転)とは

 

 

社員の勤務地や勤務内容を

変更することを意味します。

 

 

日本の会社では

社員に様々な経験を積ませることや

 

 

事業環境に応じた会社内の

労働力の調整などを目的として

広く配置転換が行われています。

 

 

ただ

法律的に見ますと

 

 

会社は社員に対して

自由にこの配置転換を

命じることができる

 

 

というわけではなく

一定の制限があります。

 

 

まず第一に

その社員との労働契約上

 

 

会社に配置転換命令権が

与えられていることが必要です。

 

 

この点

たとえば社員が入社する際の

雇用契約書などで

 

 

会社が社員に配置転換を命じることが

できる旨の規定がある場合などが

これにあたります。

 

 

また

仮に雇用契約書で配転命令に

関する定めがなかったとしても

 

 

会社の就業規則で規定している場合には

やはり配置転換の根拠となる

場合があります。

 

 

具体的には

労働契約法7条で、

労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。

と規定されています。

 

 

たとえば

会社の就業規則に、

会社は、業務上必要がある場合に、社員に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。

という規定がある場合。

 

 

この場合

その就業規則の定めが社員に

周知されているれば

 

 

会社に配転命令権の根拠がある

ということになります。

 

 

 

 

 

 

 

社員の職種や業務内容に限定があった場合

ただし

上記の労働契約法7条では

後段で 

ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件     を合意していた部分については、・・・この限りでない。

と規定されています。

 

 

つまり

会社に配転命令権の根拠があっても

 

 

会社と社員でそれと異なる

個別の合意をしていた場合は

 

 

そちらの合意の方が優先しますよ

という意味です。

 

 

この

会社と社員での個別の

合意の典型例が

 

 

冒頭の

社員が行う職種や職務内容を

限定する旨の合意です。

 

 

このような

職種を限定する合意

があった場合には

 

 

会社の行う配転命令権も

その合意の範囲内に限定

されることになります。

 

 

典型的には

その社員との雇用契約書で

 

 

その社員の職種や職務内容が

限定されているようなケースです。

 

 

ただし

上記の最高裁判決は

 

 

契約書など明示的な理由で

この男性の職種限定の合意が

裏付けられていなかったようです。

 

 

それにもかかわらず

最高裁は

 

 

冒頭の事例で会社と社員との間で

職種や職務内容を限定する

 

 

合意があった

と判断しました。

 

 

それは

いったいどういうことでしょうか?

 

 

実は

職種を限定する合意は

 

 

雇用契約書などに職種を限定

することが明示されていなくても

認められる場合があります。

 

 

裁判例上は

たとえば

 

 

医師や看護師

大学教員など専門性の高い資格や

技能が必要な職種の社員については

 

 

雇用契約書に明示がなくても

職種を限定する合意があると

認められやすい傾向にあります。

 

 

冒頭の事例も

 

 

この社員が技術職として

長年働いてきた

ということで

 

 

職種限定の合意があったと

判断されたようです。

 

 

さてさて

会社が社員に配転命令を

有効に出せるためには

 

 

上記のとおりそもそも

雇用契約や就業規則などで

会社の配点命令権の根拠があること。

 

 

さらに

会社と社員との間で

 

 

職種や職務内容を限定する

合意がないこと

が必要だということになります。

 

 

それでは

就業規則などで会社の

配転命令権の根拠があり

 

 

かつ社員との間で職種限定の

合意がない場合には

 

 

会社は自由に配転命令を

出すことができるのでしょうか?

 

 

実は

さらにもう1つハードルがあります。

 

 

配転命令権の根拠がある場合でも

会社の配転命令が「権利濫用」

となる場合には

 

 

配転命令が無効と

される場合があります。

 

 

長くなりましたので

この点はまた明日お話しします。

 

 

それでは

また。

 

 

 

 

 

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活動ダイジェスト

昨日は、連休の合間の平日で、事務所へ行って仕事。ブログ、YouTubeの動画撮影、メルマガ執筆などのほか、裁判所へ提出する書面作成や、遺産関係の案件の遺産分割協議書の作成など、事務仕事が中心でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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