「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

契約書の訂正を、取引先に頼みづらいとき、どうするか?

契約書

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取引先から提案された契約書。

 

 

中身をチェックしてみると、

いろいろ問題があるので、

訂正をお願いしたい。

 

 

しかし、

取引先との力関係から、

なかなか契約書の訂正を

頼みづらい。

 

 

そんなとき、

どうしたら良いのでしょうか?

 

 

 

 

(今日の「棒人間」 契約書の訂正はお願いしにくい??)

 

<毎日更新870日目>

契約書の訂正を、取引先に頼みづらい??

会話

この契約書は、一部御社に不利な点がありますので、訂正を依頼した方が良いと思います。

なるほど。
ただ、この契約書は、うちの大口取引先が、新規の取引のために用意してきたものなんです。
なかなかうちから訂正してくれとは、言いづらいんですよね〜。

ときどき、

会社の取引先との間の契約書の

リーガルチェックを依頼される

ことがあります。

 

 

リーガルチェックというのは、

要するに、

契約書の中身について、

法的に見て何か問題に

なるものはないかどうか、

チェックするというものです。

 

 

形式的なところでは、

契約書の誤字脱字、

特に金額や期間など

重要な部分でミスが

ないかどうか。

 

 

また、

論理的に矛盾しているような

条項がないかどうかといった

ところをチェックします。

 

 

さらに、

そうした形式面をクリアしていても、

内容が法的に見て問題が

あるケースがあります。

 

 

たとえば、

契約の条項の中で、

強行法規に違反している

ような場合があります。

 

 

わかりやすい例では、

貸金の契約で、

利息制限法を超える

利息の利率を定めている

ような場合は、

その条項は法的には

無効になります。

 

 

次に、

そうした強行法規違反の問題は

クリアしていたとしても、

契約の内容が一方的だったり、

不公平だったりして、

自社に不利な(相手方に有利な)

内容になっている

ことがあります。

 

 

よくあるのが、

何か当事者が契約違反を

した場合の損害賠償額について、

その上限を定める条項です。

 

 

たとえば、

契約違反の場合の

損害賠償額については、

支払われた製品代金額の

2倍を限度とする、

というような条項です。

 

 

問題となるのは、

こうした損害賠償額の上限を

定める条項が、

一方当事者のみに

定められている場合です。

 

 

この場合、

一方当事者が契約違反を

した場合の損害賠償は、

上記契約書によって、

一定額(上限額)に制限されます。

 

 

ところが、

他方の当事者がの契約違反の損害賠償は、

特に上限はありません。

 

 

そうなると、

場合によってはかなり高額の

賠償額を負担させられ危険がある、

といったケースがあります。

 

 

現実にあり得る問題として、

取引当事者の力関係として、

優位にある方が、

こうした一方的な契約内容や、

不公平な契約内容を

しれっと提案してくることが

あるのです。

 

 

ところが、

提案された方は、

上記のように、

この契約書は不公平だから、

修正してほしい、

と言いにくい場合があります。

 

 

そんなことを言ったら、

取引相手の機嫌を損ねたり、

下手をすると取引を打ち切られて

しまうのではないか、

という懸念が生じるからです。

 

 

 

 

相手方の言いなりになっているとどうなるか??

さりとて、

こうした一方的だったり、

不公平な内容の契約書について、

相手方の言いなりになって

調印してしまうと、

どうなるでしょうか?

 

 

基本的に、

契約というものは、

いったん成立すれば、

それを守らなければならない

という法的な拘束力が

生じます。

 

 

同じく契約違反をした場合でも、

賠償額の上限額を定める

条項が相手方にだけ適用されて、

自社には適用されないと

どうなるか?

 

 

場合によっては、

自社だけが高額の賠償責任を

負わされる危険性が

あるわけです。

 

 

そのときになって、

実は一方的だったとか、

不公平な内容の契約書だと叫んでも、

どうにもならず、

後の祭りになってしまいます。

 

 

それだけではなく、

実は、

取引の契約書をまともに

チェックしない会社は、

取引相手から舐められます。

 

あの会社は顧問弁護士もいないし、こちらが提案した契約書をろくにチェックもしない。
そもそもチェックする能力もないから、こちらに有利な内容をしれっと入れてしまおう。

こんな風に考えて、

取引先が、

こちらにとって不公平な条項を

何食わぬ顔で入れてくる

ということがあるのです。

 

 

取引社会というのは、

資本主義を前提とする限り、

自由競争の世の中です。

 

 

強行法規に違反しない限り、

どんな内容の契約を結ぶかは

基本的に当事者の自由

なのです。

 

 

ですから、

契約書のチェックをせずに

調印してしまうと、

やはりそれ相応のリスクを

背負わなければならなく

なってしまいます。

 

 

 

 

 

契約書の訂正について、取引先と上手に交渉するには?

とは言え、

冒頭のご相談のように、

取引先との力関係などから、

なかなか「契約書を訂正して」

と言いにくい場合は、

どうしたら良いのでしょうか?

 

 

そのような場合でも、

たとえば、

上記で見たように、

契約書の形式面、

誤字脱字があるとか、

論理的に矛盾がある

ような場合は、

もちろん指摘して訂正

してもらうべきでしょう。

 

 

さらに、

相手が承諾してくれるか

どうかはともかく、

もし契約内容にこちらだけが

不利になるような不公平な

条項があった場合には、

やはり公平性の観点から、

そこを指摘して、

訂正を依頼すべきだと

思います。

 

 

というのは、

こちらが負うリスクの

大きさにもよりますが、

場合によってはそのような

不公平な契約は、

そもそも結ぶべきではない

ケースもあります。

 

 

上記の賠償金の上限額の

定めがないようなケースでは、

こちらだけが莫大な損害賠償額を

負担させられかねないリスクがあり、

会社の経営判断として、

そのまま調印すべきではない

ケースもあるでしょう。

 

 

そして、

このように契約書の内容の

リーガルチェックをきちんと

行なって、

指摘すべきことを指摘することは、

逆に、

この会社はきちんとした

会社だと信頼されることに

つながることもあります。

 

 

さらに、

この場合、

弁護士と顧問契約を

結んでいる場合には、

顧問弁護士に取引先との

契約書のチェックを依頼する

こともできます。

 

 

相手方と交渉するときにも、

うちの顧問弁護士に契約書をチェックしてもらったところ、この点を訂正した方が良いと指摘されまして

と言えば、

背後に弁護士がいることも

匂わせることができます。

 

 

相手に対しては、

これは油断ができない取引相手だ

と牽制する効果もあります。

 

 

それだけではなく、

きちんと専門家のチェックを

受ける体制のある会社だ

ということで、

これも対外的な信用性が

アップする要素にもなります。

 

 

いずれにしても、

やはり取引先から

提示された契約書は、

きちんとその中身をチェック

した上で調印すべきですね。

 

 

くれぐれも、

いわゆる「メクラ判」を

押すようなことのないように、

気をつけたいものです。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

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活動ダイジェスト

昨日は、早朝から渋谷区倫理法人会の経営者モーニングセミナーに参加。
その後は夕方まで事務所で仕事、お客様との打ち合わせ(オンライン1件、リアル1件)などでした。
夕方自宅に帰って、学童保育から帰ってきた息子の習い事(美術教室)の送り。
夜は、夕食作りを担当し、得意のドライカレーを作りました。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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