Googleの口コミサイトに、
事実無根のひどい書き込みを
された。
店舗ビジネスをしていると、
こういったリスクがあります。
今日は、
こんなときの対処法について、
書いてみました。
(今日の「棒人間」 口コミサイトへのひどい書き込みは許せない??)
<毎日更新897日目>
先日、都内で飲食店を営んでいる私の顧問先のAさんから、ご相談を受けました。
今日は、うちの店に来たお客さんとの間でちょっとトラブルになっていまして、ご相談したいのです。
お客さんとのトラブルですね。
どんなご相談でしょうか?
このお客さんは、先週うちの店にランチを食べに来店したのですが、うちの店員が間違えて、オーダーとは違う料理を出してしまったそうなんです。
オーダー間違いですね。
そうなんです。なるべく気をつけてはいるのですが、ランチタイムの混雑時だと、どうしてもそういうことも起こってしまいます。
なるほど、確かにそうでしょうね。
それで、どうなりました?
そのお客様には、丁寧に謝罪して、すぐにご注文いただいたお料理をお出ししました。
なるほど、その場はそれで済んだのですか?
そうなんです。お客様はお料理を召し上がって、料金をお支払いいただき、そのままお帰りになりました。
ところが、後日とんでもないことが発覚したのです。
それは、どんなことですか?
なんと、そのお客様が、うちの店のGoogleの口コミサイトに書き込みをしていたのです。
どんな書き込みでしょう?
「あの店の店員がひどい。オーダーミスをして指摘しても、料理を変えてくれない。しかも、オーダーミスした料理の料金まで支払われて、最悪。」とう書き込みをされた挙句、星ひとつの評価をつけられました。
それはひどいですね。
うちとしても、これは許せないので、きちんと対処したいです。
まず、このような事実無根の書き込みを残しておくと、うちの営業上非常にマイナスですので、これを消してもらうことはできないでしょうか?
そうですね。名誉毀損等の不当な書き込みということで、Googleに削除を求める、という方法があります。
それと、この書き込みをした本人に対しても、何か法的に対処することはできないでしょうか?
この場合は、発信者情報の開示請求を行った上で、書き込みを行った人に対して、名誉毀損を理由に、不法行為に基づく損害賠償請求を行う、という方法があります。
飲食店などの店舗ビジネスでは
よく問題になりますが、
Googleの口コミサイトなどに
ひどい書き込みをされて、
低評価をつけられる、
という問題があります。
それが事実であればともかく、
事実と違っているとか、
事実無根の場合には、
問題は深刻です。
Googleの口コイサイトというのは、
結構閲覧している人がいて、
それを見てその店に行くか
どうかを決める、
という人は少なくありません。
酷い書き込みをされてしまうと、
客数の減少に影響し、
一種の営業妨害となって
しまいます。
この点、
こうした口コミサイトに
事実を書き込み、
それによって、
名誉を傷つけられた、
という場合は、
「名誉毀損」の問題に
なります。
名誉毀損とは、
簡単に言えば、
公の場に事実を示されることで、
他人の社会的評価を低下
させる行為のことを言います。
「名誉毀損」は、
刑法上の犯罪として罰則も
定められていますし、
民事上も不法行為となって、
損害賠償の対象になります。
程度問題や、
事実の書き込みの具体性
にもよりますが、
上記のように、
Googleの口コミサイトに
酷い書き込みをされれば、
お店の評判に影響し、
社会的評価が低下
することになります。
ですから、
口コミサイトの書き込みが
「名誉毀損」に当たる
ことは十分にあり得ます。
ただし、
難しいのは、
書き込みが「事実」ではなく、
「意見」や「評価」だった
場合です。
たとえば、
感想として料理が
美味しくなかったとか、
店員の対応に不満を感じた
などの書き込みです。
というのは、
名誉毀損が対象としているのは、
あくまで「事実」の書き込みです。
ご承知のとおり、
憲法では表現や言論の自由が
保障されています。
こういった「意見」や「評価」は、
いわゆる誹謗中傷に当たるような
例外的な場合を除けば、
書き込みは言論の自由の
範疇(はんちゅう)ということに
なるのです。
ただ、
いずれにしても、
上記の例のように、
事実無根の書き込みを
されたような場合には、
十分に「名誉毀損」になり得る
と考えられます。
その上で、
具体的にどのように
対処したら良いか?
という問題ですが、
まずは、
お店としては、
このような酷い書き込みが
残っていること自体が
問題でしょう。
お店にとって営業妨害となるため、
一刻も早く削除してもらいたい
ものです。
この点、
書き込みが名誉毀損に
当たるような場合には、
Googleに対して、
その書き込みの削除を
請求するという方法が
あります。
また、
Google自身も、
を定めており、
これに該当すると判断されれば、
削除してもらえる可能性が
あります。
もしどうしてもGoogleが
削除してくれない場合には、
非常手段として、
裁判所に対し、
口コミによる権利侵害を理由に
削除命令を求める、
という方法もあります。
次に、
実際にこの口コミサイトへの
書き込みを行った人への
対応です。
通常、
このような書き込みは、
大抵匿名で書かれていることが
多いでしょう。
その場合には、
プロバイダー責任制限法
という法律に基づいて、
発信者情報の開示を求める
手続きがあります。
その上で、
書き込みを行った本人に対して、
名誉毀損を理由に、
不法行為に基づく損害賠償請求や、
悪質な場合には刑事告訴を
行うという方法もあります。
ただし、
名誉毀損の損害賠償(慰謝料)は、
実際に裁判などで認定される
金額は少ない(多くのケースでは
数十万円から100万円程度)のが
現状です。
そのため、
時間とお金をかけて
「裁判」を行うかどうかは、
よく検討した方が良いでしょう。
あくまで交渉次第という
ことにはなりますが、
場合によっては、
交渉のみで、
相手方の謝罪と
今後はやらないという誓約、
そして一定の和解金を
支払ってもらうことで、
手打ちにするという
やり方もあり得ます。
いずれにしても、
店舗ビジネスをやっている場合、
こうした心無い書き込みを
されるリスクは常にあります。
そんなときの法的な対処法も、
一応頭に入れておかれた方が
良いかと思います。
それでは、
また。
裁判しないで解決するノーリスクプロモーター・弁護士 吉田悌一郎のプロフィール
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今回は、社員が会社の顧客を奪って独立! こうしたトラブルを避けるためには? 「競業避止義務」をどう活用するか?というテーマでお話しています。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。