会社が新たに社員を雇う際には、
「労働条件」を明示する
義務があります。
2024年4月から、
この労働条件明示のルールが
一部変更されます。
<毎日更新923日目>
来年の4月から、また労働条件の明示に関するルールが変わる、と聞いたのですが。
たしかに、
法律というものは、
ちょくちょく改正などが
あります。
経営者としても、
ご自身の会社経営に
関係する法律の改正については、
ポイントを押さえておく
必要があるでしょうね。
まず、
会社が新たに雇い入れる際には、
社員に対して賃金や
労働時間その他の労働条件
を明示する義務が
あるとされています。
これは、
労働基準法15条というところで、
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
そして、
具体的にどんなことを
「明示」する必要があるか、
ということについては、
労働基準法施行規則5条
というところで、
細かく定められています。
大まかに言えば、
次の5つについては、
書面で明示することが
義務づけられています。
そして、
これらの事項を記載した書面を、
社員に渡すことによって
明示することとされています。
ただし、
この労働条件の明示は、
社員が望んだ場合には、
書面ではなく、
メール等によって明示
することも可能と
されています。
この労働条件明示に
関するルールですが、
来年、
すなわち2024年4月から、
そのルールが一部変更されます。
具体的には、
上記の明示を義務づけられた
事項のうち、
2の「就業の場所・従事する業務の内容」
の部分です。
この就業の場所や従事する
業務の内容の明示に加えて、
「変更の範囲」も明示
しなければならなくなります。
これまでは、
社員を雇入れた直後の就業場所と、
その社員が従事する業務の内容を
明示すれば問題ありませんでした。
しかし、
今回の改正で、
雇入れてしばらく経った後の
「変更の範囲」も明示
しなければならなくなります。
この「変更の範囲」とは、
将来の配置転換などによって
変わり得る就業場所・業務
の範囲のことを意味します。
さらに、
今回の改正で、
有期雇用契約の社員については、
有期労働契約の締結と契約更新
のタイミングごとに、
更新上限(有期労働契約 2 の通算契約期間
または更新回数の上限)の有無と内容の
明示も必要となります。
この労働条件の通知義務と
セットで問題となるのが、
新たに社員を雇う場合に、
「雇用契約書」を作った方が
良いかどうか、
ということです。
私は、
なるべく「雇用契約書」を作成し、
その中で上記の労働条件を
明示するのが合理的だろう
と考えています。
それは、
「雇用契約書」の場合は、
単に労働条件を明示
するだけではなく、
社員の服務規律や守るべき
社内ルールを社員に知らせる
こともできるからです。
それによって、
新たに入社する社員さんに
自覚を持ってもらう、
という効果も期待できます。
この辺については、
詳しくは下記のブログ記事を
ご覧ください。
いずれにしても、
会社は、
新たに社員を雇う際には、
労働条件を明示する
義務があります。
そして、
上記のとおり
その労働条件明示のルールが、
2024年4月から一部変更になります。
社員とのトラブルや
「裁判沙汰」を予防するためにも、
こうしたことは押さえておきたい
ものですね。
それでは、
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。