「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【説明義務違反】隣に高層マンションの建築計画があることを説明する義務

不動産売買

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日照や眺望が良いというのが

売りのマンションを買ったら、

隣に高い建物が建って、

日当たりも悪くなり、

眺望も台無しに。

 

 

このようなケースで、

場合によってはマンションの

販売業者が説明義務違反の

責任を負わされること

があります。

 

(今日の「棒人間」 説明は大事??)

 

<毎日更新1011日目>

購入したマンションの隣に、高層マンションが建築??

最近では、

タワーマンションなど

高層マンションが多く

建設されています。

 

 

そうしたマンションの中には、

高層階で部屋からの眺望や

日照を売りにしている

ものがあります。

 

 

たとえば、

南向きのマンションの部屋で、

日当たりがよく、

高層階なので眺望も良好、

といったような宣伝文句で

マンション販売の広告を

する場合です。

 

 

こういうマンションは、

当然日照や眺望の良さが

売りになっていて、

販売価格にもそれが

反映されています。

 

 

ところが、

マンションを購入したところ、

数年経って隣にもっと高層の

マンションが建築されてしまった。

 

 

おかげで、

南向きで日照や眺望が

売りだったマンションなのに、

日当たりが悪くなり、

眺望も台無しになって

しまいました。

日照や眺望が売りで高いマンション買ったのに、ひどいじゃないか!
訴えてやる!!

これについては、

裁判例があり、

売主には、マンションの眺望や日照を将来にわたって確保されることを保証するのは困難である。
日照等の環境は、時間の経過により当然変化するものであるから、売買契約の段階で、日照等が将来にわたって害されないマンションを引き渡す義務を負うものではない。

という趣旨の判断を

しています。

 

 

この辺は難しいところですが、

現段階で日照や眺望が

優れているマンションであれば、

マンション販売業者としては

 

 

当然それを売りにして

宣伝しますし、

販売価格にも

反映されます。

 

 

しかし、

将来時間の経過によって、

そのマンション周辺の

環境がどう変わるかは、

通常は予測できる

ものではありません。

 

 

ですから、

今の良好な環境が、

将来にわたっても

維持されることを、

売主に保証させる

のは酷だろう、

という判断であろうと

思われます。

 

 

 

不動産業者の説明義務違反になる場合とは?

ただし、

これはあくまで、

販売業者が将来マンションの

周辺に高い建物が建つ

ことを知らなかった

ような場合です。

 

 

もし、

販売業者が、

近い将来このマンション

周辺に高い建物が建つ

計画があることを知っていた。

 

 

しかも、

それをマンションの買主に

説明しなかった場合は、

どうなるのでしょうか?

 

 

この点、

日照などの環境は、

時間の経過によって

当然変化し得るものでは

あります。

 

 

ただ、

マンションを買う立場の

人にしてみれば、

日照などの環境が良いかどうかは、

そのマンションを購入する

大きな動機になっている場合が

多いでしょう。

 

 

また、

上記のように、

日照や眺望などの環境は、

マンションの購入価格にも

反映されています。

 

 

つまり、

買主は環境が良いということで、

その分高いマンションを

購入しているわけです。

 

 

こういうケースも

裁判例がありまして、

マンションの販売強者は、宅建業法の重要事項説明の趣旨や信義則の観点から、売買契約に付随する債務として、買主に対して、事実を知っていながら故意にこれを隠してはならない義務を負っている。

と判断し、

販売業者の説明義務違反が

あったとしました。

 

 

 

 

 

場合によっては、説明しないことが契約違反になる??

マンションの売買契約

においては、

売主の義務は、

あくまで対象となる

マンションを買主に

引き渡すことが

その中心です。

 

 

そのマンションの周辺の環境が、

将来どう変わるかなどに

ついて説明することは、

厳密に言えば売主の

本来的な義務ではありません。

 

 

それは、

上記で述べたとおり、

周辺の環境が将来どう変わるかは、

わからないという面が

あるからです。

 

 

他方で、

売買契約の当事者は、

互いに誠実に対応し、

不当に相手を裏切る

ようなことをしてはならない、

という義務があります。

 

 

これは、

道徳的な義務ではなく、

きちんとした

法的な義務でして、

民法1条2項で

権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

と定められています。

 

 

これを、

信義誠実の原則(信義則)

と言います。

 

 

この信義則の観点から、

マンションの販売業者が、

もし周辺に高い建物が

建つ計画があることを

知っていたならば、

 

 

買主にそれを

説明する義務がある、

と判断したのが、

先ほどの裁判例です。

 

 

このような場合に、

買主にきちんと説明しないで、

漫然とマンションを販売すると、

これはマンション販売業者の

説明義務違反になり、

一種の契約違反ということに

なってしまうわけです。

 

 

当たり前のことですが、

やはり取引相手に対する

誠意というものは

とても大切です。

 

 

「マンションを売りたい」

という一心で、

こうした信義を欠く行為

をしてしまうと、

買主とトラブルになり、

最悪は「裁判沙汰」に

なってしまいます。

 

 

これは何も、

不動産業だけではなく、

あらゆるビジネスでも

同じことが言えますね。

 

 

気をつけたいものです。

 

 

それでは、

また。

 

 

 

 

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昨日は、午前中は自宅で仕事、午後は事務所に出勤して、新規のお客様の法律相談など。
夜は友人と自由が丘で会食でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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