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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【強制的出向】出向命令に社員の「同意」は必要なのか?

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雇用契約を維持したまま

グループ会社など他社の

業務をさせる在籍出向。

 

 

この出向を

会社は社員に強制することは

できるのでしょうか?

 

 

出向に社員の「同意」が必要と

なるのはどんな場面でしょうか?

 

 

(今日の「棒人間」 出向のイメージ)

 

<毎日更新1136日目>

小学校の先生が、出向の強制は違法と提訴

同意していないのに、強制的に市立の小学校へ出向を命じられたのは違法!

 

奈良市の国立奈良教育大付属小の教員3人が

 

 

市立の小学校へ出向を

命じられたのは違法だとして

提訴したとの報道がありました。

 

強制的な市立小出向、違法と提訴 奈良教育大付属小の教諭ら

 

報道によれば

この奈良教育大附属小学校では

 

 

これまで公立校への出向は

実施されていなかったそうです。

 

 

ところが

この学校では

 

 

学習指導要領に沿わない

指導があった問題を公表。

 

 

この問題の原因が

教職員の固定化にあると大学側が考え

 

 

改善策として教員の他校への

出向方針を打ち出したそうです。

 

 

そして

この方針に同意できない

としていた教員3名に対し

 

 

4月付で奈良市立小への

出向を命じたとのことです。

 

 

そこで

この3名の教員が、

 大学側の出向命令は必要性や根拠を欠いている

 出向命令は権利の濫用である

と主張し

大学側を提訴したとのことです。

 

 

 

 

出向命令の「根拠」はあるか?

 

このケースは

公立学校のケースですが

 

 

これを民間企業に置き換えてみて

果たして社員に出向を命じる際に

社員の「同意」は必要となるのでしょうか?

 

 

この点

出向には

 

 

在籍出向と転籍出向の

2つの種類があります。

 

 

転籍出向は

元の勤務先との雇用関係を解消して

出向先と新たな雇用契約を結ぶことになります。

 

 

この転籍出向は

当然の前提として

社員の同意が必要となります。

 

 

他方で

在籍出向は

 

 

雇用先の企業との雇用を維持し

在籍したまま

 

 

他社(グループ会社など)で業務を

させることを意味します。

 

 

今回テーマにあげている「出向」は

この在籍出向を前提にお話ししています。

 

 

さて

上記の小学校教員の出向のケースでは

原告である教員側が、

 出向命令の根拠を欠いている

と主張している点が重要です。

 

 

 

民間企業の場合

会社と社員との間の法的関係は

「雇用契約」ということになります。

 

 

社員の同意がないのに

社員に「出向」を命じる

 

 

すなわち社員に出向を

強制できるかどうかは

 

 

この社員との間の「雇用契約」の

内容によって決まってきます。

 

 

これは、要するに

社員との雇用契約書や就業規則などで

 

 

社員の出向に関する根拠が

定められている必要があります。

 

 

これがまさに

出向命令の「根拠」と

言われるものになります。

 

 

もし雇用契約書や就業規則などで

出向の「根拠」が定められていなければ

社員に出向を強制することはできません。

 

 

その場合には

社員に出向に応じてもらおうと思えば

 

 

社員の「同意」が必要だ

という結論になるわけです。

 

 

それでは

雇用契約書や就業規則で出向の

根拠が定められていれば

 

 

会社は常に社員に出向を

強制することができるのでしょうか?

 

 

この点

出向の根拠があっても

 

 

他方で

その社員との雇用契約で

 

 

職種や職務内容

勤務場所などを限定する

合意がある場合があります。

 

 

この場合には

会社の行う出向命令は

 

 

その合意の範囲内に限定

されることになります。

 

 

すなわち

合意の範囲を超えた

出向を命じるには

 

 

別途社員の「同意」が必要だ

ということになります。

 

 

 

 

 

 

出向命令が「権利濫用」となる場合

さらに

雇用契約書や就業規則に根拠があっても

 

 

出向命令が「権利濫用」となる場合には

社員に出向を強制できないとされています。

 

 

上記の小学校教員のケースでも

原告側は、大学側の趣向命令が

「権利濫用」であることを主張しています。

 

 

「権利濫用」というのは

一見正当な権利行使

のように見えるものの

 

 

具体的な状況や実際の

結果などに照らして

 

 

それを認めるべきではないと

判断される場合

のことを言います。

 

 

そして、

どんな場合が

「権利濫用」となるかについてですが

 

 

具体的には

主に次の3つの場面です。

 

 

すなわち、まず

その出向命令が業務上の

必要のないものであった場合。

 

 

業務上の必要が

特にないのであれば

 

 

社員に出向命令を行う意味はなく

これは「権利濫用」となるわけです。

 

 

上記の小学校の教員のケースでも

 

 

原告側は

この出向命令の「必要性」が

ないことも主張しています。

 

 

次に

たとえ業務上の必要があっても

 

 

その出向命令が

不当な動機や目的をもって

なされたときです。

 

 

これは、たとえば

単なる嫌がらせの目的とか

差別や報復人事などがこれに当たります。

 

 

そして

なぜその社員に出向を命じたのかという

 

 

出向の人選の合理性がない場合にも

権利濫用となります。

 

 

具体的には

他に適任者がいるのに

 

 

育児や介護など

深刻な家庭事情のある社員に

 

 

あえて単身赴任などの不利益を

課す出向などがこれに当たります。

 

 

いずれにしても

出向というのは

 

 

単なる転勤や配置転換と比較しても

一般的には社員の負担が

大きくなりがちです。

 

 

それだけに

やはり会社側としては

社員に出向を命じる場合には

 

 

慎重に段取りを踏むべきであり

基本的には「同意」を取り付けて

から行う方が無難でしょうね。

 

 

社員とのトラブルや

「裁判沙汰」を避けるためにも

 

 

押さえるべきところは

押さえておきたいものです。

 

 

それでは

また。

 

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最新動画 

今回は、「【不動産を競売で取得】中にいる人に退去してもらう方法」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、午前中は自宅、速読(楽読)のオンラインレッスンの受講、顧問先とのオンラインでの打ち合わせなどでした。
午後は新幹線で広島へ。私のブログの師匠である板坂裕治郎さんの「異端児エリート養成大学校 3年生」に参加するためです。セミナーは今日ですが、昨日から前乗りして広島入りしました。
夜は、以前広島に来た時に連れてきてもらった鉄板焼きの「としのや」へ。1人鉄板焼きを堪能。焼き牡蠣が美味しかったです。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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