「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

食材盗んで懲戒免職は重すぎる? やはり解雇は難しい??

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食材を盗むというのは

「窃盗罪」という立派な犯罪。

 

 

しかし

社員が何らかの犯罪行為を行ったからといって

 

 

その社員を懲戒解雇できるとは限らないので

注意が必要です。

 

(今日の「棒人間」 大根を盗む男)

 

<毎日更新1177日目>

食材盗んで懲戒免職は重すぎる?

名古屋市立の小学校の元調理員の人が

 

 

廃棄前の給食用の食材を小学校から

盗んで持ち帰ろうとしたとして

懲戒免職処分になりました。

 

 

具体的には

持ち帰ろうとした食品は

パン2個と油揚げ2袋で

 

 

食中毒が発生した際に検査するため

冷凍保存されていたそうです。

 

 

この専用冷凍庫にあった食材がなくなり

この元調理員の人が

自分が食材をとったと申告したため

 

 

名古屋市の教育委員会は

この元調理員を免職にしたとのことです。

 

 

そこで

この元調理員の人は

 

 

名古屋市に免職などの処分の

取り消しを求めて裁判を起こしました。

 

 

裁判所の判決は

この元調理員がとった食材の

財産的価値は相当軽微であること

 

 

元調理員が過去に懲戒処分を

受けたことはないこと

本人が反省していることも踏まえて

 免職は妥当ではない

と判断し

市の行った懲戒免職処分を

取り消しました。

 

食材盗み免職「重過ぎる」 学校調理員処分取り消し

 

 

これは

名古屋市の公務員の話ではありますが

 

 

一般の会社でも

社員を解雇できるかどうかの判断で

問題になってきます。

 

 

 

 

社員を解雇するための要件

このブログでもよく

取り上げていますが

 

 

社員を懲戒解雇するためには

前提として就業規則でその根拠となる

規定を定める必要があります。

 

 

さらに、その上で

実際に社員を解雇するためには、

① 解雇の客観的合理的理由
② 解雇の社会通念上の相当性

 

という2つの要件を

満たす必要があり

 

 

これを満たさない解雇は

「解雇権の濫用」として

解雇が法的に無効とされます。

 

 

具体的に

どんな場合に解雇が

許されるのかと言えば

 

 

典型例としては社員が不祥事

犯罪行為などを行った場合です。

 

 

よくある例としては

多額の横領(使い込み)

長期間の無断欠勤

 

 

重要機密情報の意図的な

漏えいなどがあります。

 

 

ただし

 

 

実際に

社員が何らかの犯罪行為を行えば

 

 

懲戒解雇が有効になるかと言えば

そうとも限りません。

 

 

ここが

よく誤解されている点

ではあるんですね。

 

 

 

 

 

 

 

「犯罪行為」があるから解雇が有効とは限らない?

 

確かに

犯罪行為はやっては

いけない行為です。

 

 

ただ

会社がそれを理由にこの社員を

懲戒解雇できるかどうかは

 

 

これまた別問題です。

 

 

この点は

上記の「② 解雇の社会通念上の相当性」

の要件が関係してきます。

 

 

すなわち

いくら犯罪行為を行ったからといって

 

 

社員のやったことと比較して

「懲戒解雇」が重すぎるという場合には

 

 

この「相当性」の要件を満たさない

ということになります。

 

 

この点

冒頭の事例では

 

 

たとえ廃棄予定の食材であっても

小学校が管理する食材を

許可を受けずに勝手に持ち帰る行為は

 

 

刑法上の「窃盗罪」に該当する行為で

「犯罪」です。

 

 

ただ、この食材は

廃棄用であったし

 

 

パン2個と油揚げ2個と

小学校側が受けた財産的な損害は

かなり小さいものでした。

 

 

そして

この元調理員の人は

 

 

過去に懲戒処分を受けたことはなく

真面目に働いてきたこと

 

 

本人が反省していることなどの

要素が考慮されました。

 

 

その上で

「免職は妥当ではない」としています。

 

 

上記の解雇の要件に当てはめるならば

(犯罪行為をしているので)

①の解雇理由はあるとしても

 

 

②の解雇の社会通念上の相当性を満たさない

 

 

すなわち

本人がやったことと

 

 

解雇という最も重いペナルティーとの

バランスがとれていない

ということですね。

 

 

そんなわけで

やはり社員の「解雇」は

簡単ではありません。

 

 

というか

非常に会社側のハードルは高い。

 

 

社員が何らかの犯罪行為を行ったから

安易に社員を解雇するのは

とてもリスクがあります。

 

 

実際の事案によって判断は

微妙な部分はありますが

 

 

犯罪行為があれば懲戒解雇が

有効になるとは限らない

 

 

ということは押さえておいた方が

良いポイントだと思います。

 

 

それでは

また。

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今回は、「もっと勉強すればよかった?いや、今からやりましょう!」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

 

活動ダイジェスト

 昨日は、午前中は自宅で仕事、裁判所の調停に電話で参加。こういうことができるようになったので嬉しい限りです。午後は、息子の小学校の保護者面談。普段の子どもの学校での様子などを聞けてよかったです。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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