「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【土地の所有権】「空間」は誰のもの?

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土地の所有権というのは

地べただけではなく

 

 

その地上(空間)や

地下にも及びます。

 

 

空間部分でも

原則として他人の土地に

「越境」してはいけないのです。

 

 

(今日の「棒人間」 他人の土地の空間に越境??)

 

<毎日更新1211日目>

「龍のしっぽを切れ」と命じた裁判所

断腸の思いで龍のしっぽを切る判断をしました

 

大阪・ミナミの人気ラーメン店

「金龍ラーメン道頓堀店」

 

 

ここの立体看板はおもしろいデザインで

店舗正面の北側上部に龍の本体があり

 

 

しっぽ部分が西側の壁から

飛び出すようになっています。

 

 

問題は

この西側の壁から飛び出している

龍のしっぽの部分が

 

 

土地の境界線を超えて

隣地にはみ出ていることです。

 

 

すなわち

店の西側の壁から龍のしっぽが飛び出し

 

 

空間とはいえ隣地の境界線を

超えてしまっているということです。

 

 

この看板自体は

1992年頃に設置されたそうですが

 

 

隣地の所有者は

この隣地に将来建物を

新築予定なのだけれども

 

 

このラーメン店の壁から

飛び出したしっぽが邪魔で

 

 

建物の建築に支障が

出るとのことです。

 

 

そこで

この隣地の所有者が

 

 

金龍ラーメン側に対し

このしっぽの撤去を求めて

裁判を起こしました。

 

 

裁判所の判決は

(龍のしっぽの越境によって)土地の一体的な利用が妨げられ、その不利益は大きい

などと判断し

金龍ラーメン側に対し

しっぽの撤去を命じました。

 

 

この判決を受けて

店側は今回

 

 

しっぽの部分を撤去

したとのことです。

 

大阪・ミナミの金龍ラーメン、立体看板のしっぽ撤去へ…判決確定受け「断腸の思いで」

 

 

 

 

 

土地所有権の及ぶ範囲

この事件がおもしろかったのは

空間部分の隣地の越境に対しても

撤去を命じたことです。

 

 

普通

隣地の境界線を越える越境というと

何か境界線を超えて工作物を設置したり

 

 

物を置いたりして隣地の所有者の

権利を侵害することを

イメージすると思います。

 

 

この点

土地の所有権について定めた民法207条では

土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。

と規定されています。

 

 

つまり

法令で何らかの制限が

あるような例外は除き

 

 

土地の所有権というのは

空間や地下も含む

ということです。

 

 

ちなみに

「法令の制限」というのは

たとえば航空法という法律で

 

 

航空機は一定の高さ以上の地上であれば

他人の所有地を通過しても

良いとされています。

 

 

あるいは

「大深度地下の公共的使用に

関する特別措置法」という法律で

 

 

地下40メートルを越える部分

について所有権は制限される

と考えられていて

 

 

地下鉄なども他人の土地の

地下を通ることができます。

 

 

ただ

こうした例外はあるものの

 

 

基本的にその一定範囲の土地の

地上空間および地下にも

土地の所有権が及ぶということです。

 

 

土地の所有権が及ぶということは

所有者の承諾なくその部分を使用したり

越境してはならないことを意味します。

 

 

冒頭のラーメン店の龍のしっぽを切れ

という話は

 

 

法律的にいえばこういうことが

根拠となっているわけです。

 

 

 

 

 

 

 

所有権に基づく妨害排除請求

そして

土地所有者の持つ権利として

 

 

その所有権を侵害する人に対して

「妨害排除請求権」

という権利があります。

 

 

つまり

自分の土地に越境していたり

 

 

自分の所有地に何か勝手に

物を置かれたような場合は

それを撤去しろと請求できる権利です。

 

 

冒頭のラーメン店の事例では

隣地の所有者が

 

 

所有権に基づく

妨害排除請求権の行使として

撤去を求める裁判を起こした

 

 

というわけです。

 

 

ちなみに

この「金龍ラーメン道頓堀店」

の龍の立体看板

 

 

なかなか斬新なデザインで

評判を呼んでいたようです。

 

 

この立体看板の制作者で

今回切除作業をした中村雅英さんは

心の中で泣きながらしっぽを切った

と名残惜しそうに

話していたそうです。

 

 

狭いニッポン

 

 

なかなかこうした斬新なデザインの建物は

近隣との土地所有権の関係に阻まれて

難しいものですね。

 

 

それでは

また。

 

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名前吉田 悌一郎
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Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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