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渋谷の弁護士吉田悌一郎

【有期雇用契約】「雇止め」とは何か?「雇止め」が許されない場合とは?

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契約で期間が決まっている

有期雇用契約。

 

 

期間が満了になって

会社が契約更新を自由に拒絶できるかというと

必ずしもそうではありません。

 

 

有期雇用に関するトラブル

「裁判沙汰」を予防するためにも

 

 

有期雇用に関する法的ルールは

理解しておく必要があります。

 

(今日の「棒人間」 許されない場合)

 

<毎日更新1220日目>

「雇止め」とは何か?「雇止め」に対する法律の規制

社員を雇う雇用契約の中でも

雇う期間が決まっている

有期雇用契約と

 

 

期間が特に決まっていない

無期雇用契約とがあります。

 

 

有期雇用契約を結んだ社員のことを

一般に「契約社員」などと言うことがあります。

 

 

他方で

無期雇用契約の社員を

「正社員」と言ったりします。

 

 

ただし

パートやアルバイトの社員も

無期雇用という場合もありますので

 

 

一概に「無期雇用=正社員」

というわけではありません。

 

 

いずれにしても

 

 

雇用期間が定まっている有期雇用か

定まっていない無期雇用かで

法律の扱いも異なってきます。

 

 

有期雇用契約ということは

雇用の期間がたとえば6ヶ月とか

1年とか決まっています。

 

 

そうすると

期間が満了となれば

原則としてそこで雇用契約は終了します。

 

 

もちろん

会社と社員との間の合意があれば

 

 

期間が満了しても

契約を更新することは可能です。

 

 

しかし

たとえば会社として

 

 

もう期間の満了で雇用契約は終了させたい

更新はしないと判断することも

原則として可能です。

 

 

この

有期雇用契約の期間が満了して

契約を更新しないことを

 

 

一般に「雇止め」と

言ったりします。

 

 

本来であれば

会社の判断で自由に「雇止め」を

行うことができるように思えます。

 

 

ところが、法律では

この会社が行う「雇止め」に対して

一定の制約が課されています。

 

 

どのような場合に「雇止め」が

規制されるかというと

労働契約法19条というところで

① 有期雇用契約が、期間の定めのない雇用契約と社会通念上同視できるような場合や、
② その社員に有期雇用契約が更新されるものと期待することについて合理的理由あるものと認められる場合

とされています。

 

 

 

 

 

 

「雇止め」が許されない具体的な場面

 

それでは

上記の「雇止め」が規制される要件を

具体的に見ていきたいと思いますが

 

 

まず

① 有期雇用契約が、期間の定めのない雇用契約と社会通念上同視できるような場合

についてです。

 

 

たとえば、会社が

社員の契約更新の

手続きをルーズにやっていて

 

 

実質的に見て正社員の雇用契約と

同視できるというような場合です。

 

 

具体的には

更新する際に雇用契約書を

きちんと作っていないとか

 

 

更新した後に雇用契約書を

作ったりしていると

これに該当する可能性があります。

 

 

逆に

ちゃんと期間満了前に新しい

契約の手続きをとっていて

 

 

契約の内容もその都度

きちんと協議をして決めている

というような場合は

 

 

「期間の定めのない雇用契約と同視できる」

とは判断されにくいでしょう。

 

 

契約更新の都度

その社員と個別の面談を

していたかどうか

 

 

ということも重要です。

 

 

毎回きちんと面談をしていた

ということであれば

 

 

「期間の定めのない雇用契約と同視できる」

とは言いにくくなるでしょう。

 

 

さらに次の要件

すなわち

② その社員に有期雇用契約が更新されるものと期待することについて合理的理由あるものと認められる場合

については

社員が雇用契約の更新を

期待することについて無理もない

 

 

と言えるような事情がある

場合がこれにあたります。

 

 

具体的には

契約社員の仕事の内容が正社員の

それと変わらないような場合や

 

 

契約社員について長年雇い止めをしない

運用が社内でされているような場合。

 

 

採用担当者や上司などから

 

 

長期間の雇用を約束する

ような発言があった場合も

これに当たる可能性があります。

 

 

また

同様の地位にある他の社員の

雇止めの有無も1つの要素となります。

 

 

他の多くの社員が契約を更新されて

いたということになれば

 

 

更新の合理的期待が

あるとされやすいでしょう。

 

 

以上より

契約社員を雇い止めするにあたっては

 

 

これらの①及び②の要件に

該当しないかどうかということを

確認する必要があります。

 

 

さらに

有期雇用契約が繰り返し更新されて

通算で5年を超えた場合には

 

 

社員からの申込みがあった場合には

有期雇用契約から無期雇用契約に転換される

という制度があります。

 

 

これを俗に

 

 5年ルール

などと呼ばれることがあります。

 

 

ですから

有期雇用契約を結ぶ際には

この点の注意も必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

会社としてどう対処すべきか?

有期雇用契約の社員を雇うにあたり

会社として注意しなければならないのは

 

 

契約期間の満了で契約を終了したいと思っていても

いざ「雇止め」ができない

という事態に陥ることです。

 

 

そうならないために

会社としてはどのように

対処したらよいでしょうか?

 

 

これは結局

上記で述べた

 

 

雇止めが規制される要件に

当てはまらないような運用を心がける

ということに尽きます。

 

 

具体的には

有期雇用の社員で

契約を更新する際には

 

 

必ずその都度事前に

契約書を作成し直す

 

 

そして

きちんと個別面談を行なった上で

更新を判断するということです。

 

 

面倒ですが

この手続きを怠っていると

 

 

いざというときに「雇止め」がで

きない可能性が高くなります。

 

 

さらに、普段から

社員に対して契約更新の期待を

抱かせるような言動も控えるべきでしょう。

 

 

そして

明確に契約更新を予定していない場合や

一時的な事業や業務のために社員を雇う場合は

 

 

やはり契約書に更新の上限期間なども

明記しておく必要があるでしょう。

 

 

また

上記の「5年ルール」にも

注意が必要です。

 

 

有期雇用契約というのは

雇われる社員の側からすれば

 

 

契約が更新されるのかどうか

その地位が不安定である

という点は否めません。

 

 

ですから

その気がないなら

「余計な期待は持たせない」

という配慮が

 

 

会社側にも求められるでしょう。

 

 

逆に

有期雇用でも

 

 

長期間契約更新が続いて

いるような社員の場合

 

 

会社にとってその社員は必要な

人材であることも少なくないでしょう。

 

 

このような場合には

たとえばこの社員を正社員に

登用すべく社員教育を行ったり

 

 

人材育成に取り組む

というのもとるべき

方策かも知れません。

 

 

いずれにしても

「雇止め」は

 

 

社員との間でトラブルが

起きやすい問題でもあります。

 

 

有期雇用社員との間のトラブルや

「裁判沙汰」を予防するためにも

 

 

この「雇止め」に関する法的ルールを

理解しておく必要がありますね。

 

 

それでは

また。

 

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今回は、「【カスハラ撃退】カスハラは断っても良いのです!」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、早朝から久しぶりに渋谷区倫理法人会の経営者モーニングセミナーに参加。その後は事務所へ。午前中は事務所の所内会議、午後はLINE公式についての勉強会にオンラインで参加しました。夕方は息子の習い事(美術教室)の送迎、合間に仕事でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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