「裁判しないで解決」する建設業・不動産業を多く扱う
渋谷の弁護士吉田悌一郎

【懲戒処分の有効性】給料の話をしたら1万円減給??

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社員の懲戒処分は

あらかじめ就業規則で定めて

おかなければなりません。

 

 

それでは

どんな内容でも

就業規則に定めておけば

 

 

懲戒処分が有効になるかというと

そうではないので注意が必要です。

 

 

(今日の「棒人間」 それは罰金??)

 

<毎日更新1228日目>

給料の話をしたら「1万円減給」って??

給料出たでしょ、いくらだった?

●●円

え〜、そんなにもらってるの〜。いいなぁ〜。アタシなんてさ〜・・・

 

 

 

 

 はい君たち、減給1万円!!!

 

湘南美容外科に次ぐ大手の

美容クリニックである「東京中央美容外科(TCB)」

 

 

ここで

社員が「給料の話をしたら1万円減給」などという

理不尽すぎる罰金制度の存在が明らかになっています。

 

「給料の話をしたら1万円減給」“TCB東京中央美容外科”の理不尽すぎる罰金制度の実態「もう、全てが狂っています」

 

 

このクリニックでは

今年の春に入社した社員に対して

「一斉クビ切り宣言」をしたり

 

 

絶対に合格しないテストを

受けさせて雇止めにしたりと

 

 

いろいろセンセーショナルな

話題が報じられています。

 

 

今回新たに注目されたのは

このクリニックの「服務規律」。

 

 

このクリニックの服務規律の中で

51個ある違反項目の中に

 スタッフ同士で給与の話をしない ー2ポイント

というのがあるそうです。

 

 

報道によると

これに違反すると

1ポイントあたり5000円の減給となり

 

 

4ポイント貯まると正社員から

降格させられるそうです。

 

 

ポイント

というとなんか得する気分ですが

 

 

まったく逆で

いわばペナルティーの貯金

として機能しているようです。

 

 

スタッフ同士で給料の話をしただけで

減給処分が下される。

 

 

果たして

法律的にこんなことが

許されるのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

懲戒処分の有効性について

法的にこの問題を分析しますと

「減給」というのは

 

 

一種の社員に対する

「懲戒処分」にあたります。

 

 

会社が社員に懲戒処分を課すためには

あらかじめ就業規則で懲戒処分に関する

規定が定められていることが必要です。

 

 

具体的には

減給も含めた懲戒処分の種類と

 

 

どんな行為を行うとどんな懲戒処分が

適用されるかなどに

ついての定めも必要です。

 

 

ただし

 

 

この就業規則に定めれば

どんな懲戒処分も有効になるかといえば

それは違います。

 

 

この点

労働契約法15条が

この懲戒処分に関して定めを置いています。

 

 

すなわち

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

とされています。

 

 

つまり

いくら就業規則に「服務規律」を定めて

懲戒の規定を定めても

 

 

この労働契約法15条にあてはまると

懲戒権の濫用となり

懲戒処分は無効とされてしまいます。

 

 

 

 

 

理不尽なルールはNG

さてさて

 

 

冒頭の「東京中央美容外科(TCB)」における

給料の話をしたら1万円減給、という

懲戒処分は果たしてどうなんでしょうか?

 

 

まずもって

会社が社員に対して懲戒処分を科す

目的はいったいなんでしょうか?

 

 

実は

法律の問題というのは

 

 

わからなくなったらその制度や手続きの目的

趣旨にさかのぼって考える

というのは1つの有効な方法なんです。

 

 

この点

懲戒処分の目的は

 

 

社内の秩序維持

円滑な組織運営といった

ところにあります。

 

 

この点

スタッフ同士で給料の話をしない

ということは

 

 

常識的に考えて

この社内の秩序維持や円滑な組織運営に

ほとんど関係がありません。

 

 

したがって

そもそもこうした懲戒処分は

 

 

上記の「客観的に合理的な理由」が

ほとんどないと言わざるを得ません。

 

 

加えて

それに対するペナルティーが1万円の減給

などというのもあまりにも理不尽です。

 

 

すなわち

上記の「社会通念上相当であると認められない場合」

にモロに該当するものと考えられます。

 

 

したがって

法律的に言えば

 

 

「東京中央美容外科(TCB)」で行われている

給料の話をしたら減給1万円というのは

 

 

懲戒権の濫用であり

無効な懲戒処分であると言わざるを得ません。

 

 

それにしても

業界大手の美容クリニックで

 

 

こんな理不尽な懲戒制度が行われているとは

非常に驚きです。

 

 

しかし

世の中には

 

 

意外にこんな非常識なルールが

まかり通っている会社や組織が

あるかも知れません。

 

 

果たして自社の就業規則の

懲戒規定に問題はないか?

 

 

これを機に

一度見直しをしてみるのも

良いかも知れませんね。

 

 

それでは

また。

 

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今回は、「顧問弁護士に社員の個人的相談は可能?企業でよくある疑問を解説!」というテーマでお話ししています。

 

 

 

 

活動ダイジェスト

昨日は、早朝に久しぶりに6キロランニング。午前中は足立区の顧問先で打ち合わせ、午後にいったん事務所に戻り、その後は西のあきる野市の顧問先で打ち合わせ。東京を東西に横断した1日でした。

 

 

 

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名前吉田 悌一郎
住まい東京都

Profile

中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。

中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。

【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。

中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。

私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。

また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。

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