昨今
中小企業の取引でもその重要性が
指摘されている「秘密保持契約(NDL)」
トラブルや「裁判沙汰」を防ぐための
「秘密保持契約書」を作成する際の
ポイントを解説しました。
(今日の「棒人間」 それは秘密??)
<毎日更新1234日目>
現代では
「秘密保持契約」というものの
重要性が非常に高まっている
と言われます。
「秘密保持契約」とは
当事者の一方から他方に
対して提供される情報を
契約をもって秘密として
取り扱うことを
内容とする契約です。
いわば
秘密情報を正当な理由なく外部に
漏らしたりしないことを約束する契約
と言えます。
私も日々
顧問先から「秘密保持契約書」の
作成やリーガルチェックを
依頼されることがあります。
たとえば
新製品や技術開発などにおいては、
自社内だけではなく
外部の企業や専門家と提携したり
協力関係を持つ必要が出てきます。
この点
新製品等の開発においては
その会社の企業秘密なども
用いることになるため
こうした秘密が競争相手に
漏れたりすると
会社は大きな損失を被る
ことがあります。
ここで
ソフトウエア開発会社であるA社が
開発の一部を外部企業であるB社に
業務委託するとします。
その際
A社側にとって
どのような内容の「秘密保持契約」を
結んだら良いのか
そのポイントについて
解説したいと思います。
まずもって
A社としては
この「秘密保持契約」において
具体的に何を「秘密情報」として扱うのか
その範囲を明確化し
定義化する必要があります。
何が「秘密情報」かが明らかになっていないと
せっかく結んだ「秘密保持契約」の効果が
半減してしまいます。
具体的な「秘密情報」
の定義の仕方としては
本契約において、秘密情報とは、本事業遂行の目的で、書面、電子メール、口頭、電子記憶媒体、ソースコード、技術仕様書、プロジェクト計画、取引先リストその他形態を問わず、相手方(開示者)より提供又は開示された技術上及び営業上の情報のうち、開示の際に秘密である旨明示されたものをいう
などと定められることが多いです。
「秘密情報」を定義化した後は
その「秘密情報」の取り扱いに
関する規定の整備です。
すなわち
この「秘密情報」について
提供を受けた側が
事業遂行の目的以外に
使用することを禁止します。
また
開示者の書面による事前の
同意を得ることなく
秘密情報を第三者に開示
することも禁止します。
さらに
秘密情報の提供を受けた側の
この秘密情報を利用
できる者の範囲も
事業を遂行する上で必要最小限の
範囲の取締役その他の役員及び
従業員に限定したりします。
そして
これらの人に対しても
在任中であると退職後
であるとを問わず
本契約で定められた
秘密保持義務と同等の義務を
課すことが重要になります。
また
秘密情報の複写や複製も規制し
やはり開示者の事前の
書面による同意を
要求したりします。
さらに
情報提供を受けた側の
秘密情報の管理体制も問題にし
開示者が秘密情報の管理状況の
報告を求めることが
できるようにしたり
場合によっては会社に
立ち入り調査を行う権限を
設定したりします。
要するに
秘密情報を提供する側からすると
相手方に対して
秘密情報を守るために
いかに厳しい義務を
課すことができるか。
さらに
相手方の情報管理の体制にどれだけ開示者が
介入することができるような権限を設定するか
ということがポイント
ということになってきます。
次に
知的財産権の取扱いについて
定める必要があります。
これは
開発を委託した成果物に関する
知的財産権(著作権、特許権、商標権など)が
誰に帰属するかを明確にする必要があります。
上記のA社の立場からすれば
委託先であるB社が開発した
ソフトウエアの著作権や特許権が
委託社であるA社に帰属することを
契約書で明記しておきます。
また
開発過程で共有される技術的な
ノウハウやアイデアについても
「秘密情報」の対象にしておき
他社がその技術を活用して競合製品などを
開発することを防ぐ必要があるでしょう。
また
契約に違反した際のペナルティーの規定も
当然必要です。
すなわち
秘密保持契約に違反した場合の
具体的な損害賠償責任や
違約金の設定を明記しておきます。
これは
たとえば委託先であるB社の違反によって
委託社であるA社が被る損害を
回収するという意味合いがあります。
しかし
それだけではなく
こうしたペナルティー条項があることで
そもそもB社による契約違反を
抑止する働きがあり
将来のトラブルや「裁判沙汰」を
予防する意味があります。
さらに
委託先(B社)側に契約違反
の行為があった場合に
損害賠償だけではなく
法的な手続きによって
その開示行為をやめさせる差止め
請求権があることも明記します。
こうすることで
万が一B社に契約違反があっても
早期にA社の損害拡大を防ぐことができます。
このように
現代では「秘密保持契約」を作成する
ことが重要であるだけでなく
問題はその内容です。
「秘密保持契約」が
自社の取引にとってきちんとリスクを回避し
有利な内容になっているかどうか。
もし不安な場合は
専門の弁護士によるリーガルチェックを
受けることをお勧めします。
ぜひご自身での契約書チェックに不安がある
という方はご利用いただければと思います。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。