一定の取引では
一定期間内であれば理由なく契約を
解除できるクーリングオフ制度があります。
事業者としても
一定の取引について
このクーリングオフの制度を
正しく理解しておく必要があります。
(今日の「棒人間」 クールリングオフする人)
<毎日更新1263日目>
SNSで注目を集める方法を、●万円で教えます。
わぁ〜すごい!
契約します!
はいはい。あとで解約はできませんよ。
それじゃ、ここにサインして。
情報商材を販売する業者が
特定商取引法という法律に
違反して逮捕された
という報道がありました。
報道によれば
この業者は
契約者に交流サイト(SNS)で注目を
集める方法などを教えていたそうですね。
問題は
この情報商材を顧客に販売する際に
クーリングオフに関する説明を
記載した書面を渡さなかったということ。
さらに
この業者は
契約者に対して
複数回にわたって
契約は解約できないなどと
虚偽の事実をアナウンスしていたそうです。
いわば
特定商取引法によって
顧客はクーリングオフの権利があるのに
業者がそのことを知らせず
さらに顧客の解約を妨げていたようですね。
ちなみにこの業者
全国の20~40代の約500人と
計約12億円に上る契約をしていたそうで
1人あたり平均すると約240万円
という高額な取引をしていたようで
かなり大がかりな事件ですね。
ただ
このクーリングオフ制度は
事業者にとって一定の取引について
規制を受けるものですから
その内容は押さえておいた方が良いでしょう。
ここで
クーリングオフとは
一度契約を締結した後でも
一定期間内であれば無条件で契約を
解除することができる制度です。
この制度は
主に不意打ち的な勧誘や複雑な取引
による契約から消費者を守るために
設けらた制度であると言われています。
本来
契約というものは
一度結ぶと
正当な理由(たとえば
相手方の契約違反など)がなければ
一方的に解除できるものではありません。
それがまさに
法律上の「契約の拘束力」
というものです。
それは
事業者間(BtoB)の契約であろうと
事業者対消費者(Bto C)の
契約であろうと変わりません。
しかし
事業者対消費者の契約ということになると
やはり資金力、情報力、交渉力等で
様々な格差が存在するのが事実です。
そこで、いわば
力の弱い立場にある消費者を保護するために
上記の「契約の拘束力」の原則
を一部修正したのが
このクーリングオフの制度
というわけです。
すなわち
一定の取引については
契約をした消費者は
一定の期間内であれば
書面または電磁的記録
(メール、ウェブサイトのフォームなど)
によって契約を解除する
ことができるとされています。
このクーリングオフ制度は
あらゆる取引が対象と
なっているわけではなく
次の取引に適用されます。
<クーリングオフ期間が8日間のもの>
<クーリングオフ期間が20日間のもの>
ちなみに
冒頭の情報商材の販売については
報道によれば
「契約者に交流サイト(sns)で注目を
集める方法などを教えていた」とのことです。
これは
業者が提供する役務(サービス)を
消費者が利用することで
消費者に利益が得られるとして
勧誘する取引になりますので
上記の「業務提供誘因販売取引」に
あたると考えられます。
この特定商取引法で
クーリングオフ制度の適用が
ある取引ということになると
業者側に対して一定の規制があります。
すなわち
業者としては
消費者と契約するに際して
クーリング・オフ事項を含む
法律で決められた事項を記載した
書面を渡す必要があります。
上記の情報商材業者は
この義務に違反して
法律で定められた書面を顧客に
渡さなかったわけですね。
そして
たとえば
今回の「業務提供誘因販売取引」契約の場合
契約をした消費者(顧客)は
上記の書面を受け取った日から
20日以内であれば
何らの理由なく契約を解除する
ことができるとされています。
契約解除の方法は
上記のとおり
書面あるいはメール等
によって行うことができます。
さらに
業者側では
クーリングオフなどの契約解除に
関することなどについて
「故意に事実を告げず
又は不実のことを告げる行為」
をしてはならないとされています。
上記の情報商材業者は
「契約は解除できない」などと事実に
反することを顧客に告げていますので
この規制にも違反しているわけです。
ちなみに
業者がこうしたクーリングオフ制度の
規制に違反した場合には
罰則も定められています。
すなわち
まず
上記のクーリングオフ事項を含む
法定の書面の交付義務に違反した場合は
さらに
上記の不実告知の
規制に違反した場合は
とされています。
そんなわけで
特にBtoC
すなわち一般消費者を相手にした
一定の取引を行う事業者の場合は
やはりこのクーリングオフの制度を
きちんと理解しておく必要があります。
このクーリングオフの規制に違反した場合
顧客と「裁判沙汰」を含む
トラブルになったり
刑事罰が科されたりする
おそれがありますので
注意が必要ですね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。