「一人親方」に対して仕事を発注して
いる工務店や建設会社は多いでしょう。
この「一人親方」を相手にする取引に
「フリーランス保護法」の規制が
かかる場合がありますので
注意が必要です。
(今日の「棒人間」 違反のリスク)
<毎日更新1290日目>
今年の11月1日から施行された
「フリーランス保護法」
この法律は
要は経済的に力の弱い立場にある
「フリーランス」を保護するために
作られました。
実は
この「フリーランス保護法」の構造は
下請法の内容とよく似ています。
この点
下請法は建設業には
適用されませんでした。
建設業には
「建設業法」という法律があり
その中で下請法に似た規制が
なされていたためです。
しかし
今回制定された「フリーランス保護法」は
建設業にも適用されます。
多くの建設会社や工務店などは
いわゆる「一人親方」の大工さんに
業務を発注しているケースが多い。
この取引相手である「一人親方」が
フリーランス保護法にいうところの
「フリーランス」に該当すれば
このフリーランス保護法が適用される
ということになってきます。
すなわち
要するに
取引の相手が
1人の個人事業主か
会社の1人社長である場合に
このフリーランス保護法の対象となる
ということですね。
ちなみに
「一人親方」の中には
妻が経理をやったりして仕事を
手伝っているケースがあります。
しかし
同居親族はここで言う
「従業員」には当たりませんので
同居親族しか使用して
いない「一人親方」は
フリーランス保護法の
適用対象になってきます。
ここでは
ある工務店なり建設会社
(役員が複数ないし社員がいることが前提)が
「一人親方」に仕事を発注する
場面を想定してみましょう。
その場合、まずは
発注する仕事の内容や
報酬の額、支払期日などを
書面または電磁的記録(メールなど)
にて交付(ないし送信)しなければ
ならないとされています。
これは
フリーランス保護法の3条に
規定されているため
通称「3条通知」などと言われます。
3条通知の内容や書き方などは
下記の記事をご参照ください。
なお
「一人親方」に仕事を発注する際には
いつも電話で依頼する
一々書面なんか作っていない
というケースもあるでしょう。
この点
3条通知は
上記のとおりメールやSNSで送信
することでもOKとされています。
少々面倒ではありますが
例えばLINEなどで必要事項を記載して送る
という方法もあるかと思います。
そして
「一人親方」に対する支払期日については
基本的に仕事の完了日から60日以内の
できる限り短い期間内で定め
この支払期日までに支払う
ことが義務づけられています。
さらに
一定期間以上継続して仕事を
発注している「一人親方」に対しては
次の行為を行うことが
禁止されています。
このように
これまで通り「一人親方」に
仕事を発注する場合でも
フリーランス保護法の適用がある場合
発注者側はいろいろと対策を
講じなければならない場合が出てきます。
しかし
この「フリーランス保護法」はまだ
意外に知られていないようです。
仕事の発注を行う企業の50%超が
この「フリーランス保護法」を
知らないと回答したとの調査結果も
あるようです。
知らず知らずのうちに
「フリーランス保護法」に違反しない
ように気をつけたいものです。
ちなみに
発注者企業がこの「フリーランス保護法」
に違反した場合です。
この場合には、
公正取引委員会は
違反事業者に対して
勧告や命令を出したり
事業者名や違反内容を
公表することができます。
さらに
事業者が命令に従わない場合には
が科せられることもあります。
このように
「フリーランス保護法」に違反すると
発注者企業は思わぬ不利益を
受けるリスクがあります。
「一人親方」と取引をする
工務店や建設会社は
「フリーランス保護法」の規制に
注意しておく必要がありますね。
それでは
また。
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中小零細企業の顧問契約をメインの仕事としています。
中小零細企業が法的トラブルに巻き込まれるのを未然に防止すること、 そして、 情報発信を通じて弁護士の敷居を下げ、中小零細企業にもっと弁護士を利用していただくことを使命として活動しています。
【私のミッション】
中小零細企業の味方であり、中小零細企業のトラブルを「裁判しないで解決すること」をミッションにしています。
中小零細企業のトラブルが、「裁判沙汰」にまで発展すると、経営者の方にかかる時間的・経済的負担が大きく、エネルギーを消耗します。
私は、中小零細企業のトラブルをできる限り未然に防止する、万が一トラブルになっても、それをできるだけ小さいうちに「解決」することで、経営者の方の余計な負担をなくし、本業にエネルギーを傾けていただきたいと考えています。
また、中小零細企業の「お困りごと」に関しては、法律問題という弁護士の職域を超えて、経営コンサルタント(キャッシュフローコーチ)として、経営相談や金融機関融資の支援などを通じて、日本経済を支える中小企業の「お困りごと」全般のお手伝いをすることにも力をいれています。